マティスの晩年の切り絵を楽しみに
国立新美術館へ。




私のミニアルバムのジャケットに作って
頂いた作品も切り絵で出来ているものですから。


ところが切り絵に至るまでの過程が凄く興味深くて。それはまるで1つの曲を、どう仕上げていくか
試行錯誤する過程を見ているようでした。

同じ題材を絵画と彫刻、両方で作ってみたり
同じモチーフを変化させ、いく通りにもして
展開していたり。

展開を印刷物として出版されている
「デッサン テーマとバリエーション」は
表紙がまるでクラシックの楽譜で。(題名も、ね)

なんだろう。。と思い帰宅し、
調べていたらマティスの厳格な父の躾の中の
ひとつにバイオリンのお稽古があったそうで。
父が選んだ先生は弓で生徒を叩くような厳しい人で、マティスはレッスンの度に家の塀を乗り越えて逃げ出していたという記事を見つけました。

そんなマティスは父になり我が子に
厳しいバイオリンのレッスンを
強いたというのもまた興味深いお話。

家族が弾くピアノの絵に「プレイエル」と
ピアノメーカーの名前も描かれていたりして。
いつかマティスの伝記を読んでみようかなと
思っています。

リトグラフではよく見たことのある作品の、
本物の切り絵のゴツゴツした感じや
レイアウトを何度も考えたのかなと思わせる跡。








動画や録音が本物の演奏の比にならないのと
同じように。ホンモノの熱量はプリントの比になりません。どちらもツルっとした、綺麗になりすぎない肌触りというか。もっと色んな成分が含まれているのを感じられるのが醍醐味ですよね。

音楽を勉強して来たマティスの言葉に
親近感を抱いています。

私は音楽が好きだ。よくヴァイオリンを弾いたものだ。情感はたっぷりあるのだが、技法を豊かにしようと努力しすぎたせいで、情感を殺してしまった。今では人の演奏を聴く方が好きだ。

フランソワ・ジロー著 「ピカソとマティス」より