元型イメージを実現のものにできる人間をどのようにして育てるのか?という問いを残し、前稿を締めたのですが、これは実に難しい問題であります。理由はこれまでも何度も申し上げておりますので詳しくは述べませんが、無意識を感じることは気分が悪くなるからであります。また、現在の教育がそのようになっていることがまた問題なのであります。
こういいましても、無意識は一般の人には無意識として感じることができないので、それこそ無意識に無意識を排除するようになっているので、現代の教育が意図して無意識を排除しているわけではないところが、私としては問題だと感じているのであります。無意識の扱いで難しいのはこの部分でありまして、排除するつもりはなくても、知らないうちに排除している主体が存在するわけでありまして、これを矯正するのはほぼ不可能に近いかと思われます。しかしながら、話は進めなければなりませんので、私なりの考えを述べてゆこうと思います。
例えば、私に興味を持ってもらうためにどうすればよいか?を考えたとき、つまり、元型イメージを相手にイメージさせれば簡単に興味をもってもらえます。ではどのようにして元型イメージを自分に、そして相手に投影してもらうかを考えていくのですが・・・
私が関西において使う元型イメージは老賢者が主流となります。ここがポイントでありまして、地域によって最初に使う元型イメージを使い分けなければならないことです。また、行動の主体よって同じ関西でも個体差がありまして、子供の元型イメージが非常に関西にて有効になる人物もいます。この理由を話し出すとそれだけで10万字くらいの論文となってしまうのでここでは述べませんが、答えだけを申し上げますと、関西で私が主に使うのは老賢者の元型イメージであります。これを客体に投影してもらい、転移、そこから転移の引き戻しとなるのですが、そのプロセスもここでは割愛するとして、ここから自己へと運び、関西での自己実現というプロセスを私は楽しんでおります。
では老賢者とは何者か?という具体的なイメージが必要となるのですが、これについては心理学者としてはたくさんの物語を読め!といいたい気持ちでいっぱいなのですが、一般の人にもわかりやすくするため、老賢者を分析してみますと・・・
※老賢者の特徴:
1:現代的な用語でいう知恵者である。
2:老人である。
3:知恵はあるが、カネはない老人である
4:急に現れ、急に去る特徴を持つ。
5:去った後、追いかけたくなる愛嬌を持つ。
以上の5つに集約されるかと思います。
先ず、老賢者の元型イメージを使用するには、主体が中年以上であることが条件であります。運よく20代で高学閥の博士号を取得できたとしても老賢者にはなれないのが特徴であります。なぜなら、「老」が必要となるからであります。それ故に私でもこの元型を使えるようになったのは最近であり、それ以前でこの元型イメージを使用すると、非常に大きな失敗をします。
上記の5つを見ていただければそのイメージはかなり鮮明となるかと思うのですが、この抽象的な元型イメージをそれなりの形にするならば、読む、書く、話すの全てができる状態でなければならないこと、そして、人との接触を極限にまで控えることであります。心配しなくても、老賢者そのものは無駄に群れることはしませんが、投影している客体は老賢者に入り込んでおりますので、人気は後からいくらでもついてきます。その後に自分の持てる全てをまとめ上げ、自己へと発展するとこれが自己実現となります。
例えば、プロミュージシャンとしての自分を関西にて売り込みたいとき、最初は老賢者として関西の人々に接触します。その後、老賢者として納得してもらった後に、楽器を手にした姿を見ていただくことにより、主体は自己の領域へ進むことができ、客体もそれへの投影を始めることになります。
20代や30代の若い人は子供の元型イメージを使い、新たなる可能性を発揮することにより老賢者へと発展し、若くても自己へと到達できる事例をいくつも関西では見ております。
これからの音楽家(教育者)を目指す人はこれを真似していただきたいのですが、まさに夢の世界を歩むことになるので真似することそのものが難しいのではなかろうかと思います。しかし、「真似をしているだけ」と考えると、簡単に行動できるのではないでしょうか?
今回はここで筆をおきます。ご高覧、ありがとうございました。