境界性人格構造と対象関係論 | サイコセラピスト(心理療法士) 棚田克彦 公式ブログ

こんにちは、心理セラピストの棚田克彦です。

 

まずは、以下をお読みください。


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(前略)
【特徴1】「見捨てられ不安がある」
あなたの特徴は、「人から見捨てられるのではないか?」「最後は独りぼっちになるのではないか?」という「見捨てられ不安」の感情を常に抱えていることです。
常に愛情の飢餓状態にあり、愛情欲求が人一倍強く、乳幼児のように際限なく相手の愛情を要求したくなります。
しかし、どれほどの愛を与えられたとしても、決して満足できません。
人から見捨てられることがないように人の関心を惹くことで生き延びてきたので、他人を喜ばせるのがとても上手で、出会った当初はとても魅力的で、相手に良い印象を与えます。
ところが、相手が自分から去ろうとするのを察知すると、相手に必死でしがみついたり、激しい怒りを表します。
アイドル歌手やタレントの中に、このタイプで成功している人が散見されます。

 

【特徴2】「理想化とこき下ろし(理想化と脱価値化)による不安定な人間関係」

あなたは、自分のことを支えてくれて、慢性的な愛情飢餓状態を解消してくれる人物を常に求めています。

「この人だ」という人物に出会うと、その相手を過度に理想化して、完璧な存在であるかのように思い込みます。

すると、その相手に気に入られようと必死で努力しますが、そうした不自然な関係が長続きすることはありません。

相手が自分のことを支え切れなくなったり、過度な要求に対して嫌気がさしたような態度をとると、「見捨てられるのではないか」という激しい不安に襲われて酷く絶望すると同時に、「裏切られた」という怒りを覚えます。

そうなると、今度は同じ相手を激しく攻撃し始めます(こき下ろし)。

こうして、親しい相手を過度に理想化したり、こき下ろしたりと、その落差が大きく、非常に不安定な対人関係を繰り返します。

 

【特徴3】「気分が不安定で、衝動的な行動をとる」

あなたは、気分が極めて不安定で、一日の内でもコロコロと大きく気分が変わります。例えば、鬱っぽい気分から、イライラや強い不安感への変化のように。

自分の思い通りにならないと、絶望感や激しい自己嫌悪、怒り等から、自己コントロールを失うことがあります。

深刻になると、衝動的に過食や多量の飲酒、破壊、浪費、服薬、性的逸脱行為等、危険な事や良くない事をやってしまいます。

こうした衝動的な行為は、「見捨てられ不安」に対する防衛として、不安な気持ちをかき消す目的で行われるものです。

 

【特徴4】「深い自己否定感と不確かなアイデンティティ」

あなたが抱える「見捨てられ不安」の背景であり、生きづらさの主な原因は、「自分はダメである」という深い自己否定の感覚にあります。

「自分には価値がない」と思っているために、望まずして自分で自分をぞんざいに扱ってしまい、自分を大切にすることができません。

少しでも優しい言葉をかけてくれる存在がいると、容易に体を許したり、よく考えずに結婚してしまうこともあります。

気分がコロコロと変化して、空虚感を感じたり、気分が落ち込みやすいのも、こうした自己否定感や見捨てられた感に起因した絶望感によるものです。

そうしたつらい気持ちを紛らわせるためには、常に刺激を必要とします。

恋愛・結婚、セックス、リストカット、薬物依存、犯罪行為等において、あなたが常識で考えるとあり得ないような行動に走ってしまうのは、そのためです。

また、あなたは、「自分はこういう人間だ」という一貫したアイデンティティ(自分らしさ)を持つことができない、という問題を抱えています。

通常、私たち人間は、一貫したアイデンティティを自分の中に持っていて、たとえ自分が身を置く場面や環境が変わったとしても、そのアイデンティティに則って考え、感じ、行動します。

しかし、一貫したアイデンティティが備わっていないと、様々な状況に置かれたときに、対象に依存する以外に、どう振る舞っていいのか、どう生きていいのかが分からなくなり、年齢相応の社会的役割を果たすことができません。

その結果、そのような姿に対して、周囲からも「脱落者」のイメージを持たれてしまい、本人も人生の目標や生きる目的に悩み、心の中に虚無感を抱えます。

 

【あなたの恋愛・結婚がうまくいかない本当の理由】

あなたは、感情や対人関係、行動などの面において「不安定な人」であり、例えば、先程まで機嫌良くはしゃいでいたかと思うと、いきなり落ち込んだり、大絶賛して褒めていた相手を、ちょっとしたキッカケから急にこき下ろし始めます。

また、自分の思い通りにならないことや辛いことがあると、衝動的に癇癪(かんしゃく)を起して大騒ぎをしたり、より深刻なケースでは、暴力や過量飲酒、過量服薬、リストカット等の自傷行為に至ることもあります。

すなわち、感情の持ち方や、人との関わり方、行動のとり方等において、程ほどのところで自分をコントロールすることができないために、衝動的に極端な考えや極端な行動に走ってしまい、自己コントロールを失って、周囲の人を巻き込んだり、振り回したりしてしまいます。

そうした不安定さの背景には、頼りにしたい相手を見つけると、ひどく依存的になる反面、小さな誤解や行き違いをきっかけに、「私は見捨てられるのではないか」という激しい不安(見捨てられ不安)に襲われることに原因があります。

こうしたパーソナリティ(人格)の特徴が、恋愛や結婚に影響を与えます。

極度の愛情飢餓と深い自己否定を抱えるあなたは、愛する人から見捨てられることに非常に敏感で、少しでもその兆候を感じ取ると激しい絶望と怒りから自暴自棄になりやすく、二人の関係性は常に不安定で、愛情生活が波乱に富んだものになることは避けられません。

あなたは、恋人や配偶者に対して過度な期待と激しい絶望の両方を繰り返し、理想化とこき下ろしの両極端の間を激しく揺れ動きます。

深刻な場合には、過食や過量服薬、リストカットや自殺など、衝動的な行為に走ることもあり、周囲を驚かせたり、困らせたりします。

そうして、本人も、周囲の者も、みな、傷付いて疲弊してゆくのです。

(後略)
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さて、いかがでしたか?

 

あなたの知人や身近な人物の中にも、上記の説明にピッタリ当てはまるタイプの人物がいるかもしれません。

 

上記の内容は、私の講座のテキストの中から「境界性パーソナリティ障害」に関する記述の一部を抜粋したものなのですが、特に、【特徴2】「理想化とこき下ろしによる不安定な人間関係」の内容に注目して下さい。

 

【特徴2】の「理想化とこき下ろし(理想化と脱価値化)」とは、もう少し具体的に言うと、今まで「素晴らしい!」「大好き!」と大絶賛していた上司や先生、友人や恋人等のことを、些細なキッカケから一転して「あいつはトンデモない奴だ!」「絶対に許せない!」等と騒ぎ出して、両極端に態度が変容する状態を指しますが、なぜそのようなことが繰り返し起きるのか、その人物の心の中で一体何が起きているのか、あなたには理解できますか?

 

境界性パーソナリティ障害にみられる「理想化とこき下ろし(理想化と脱価値化)」について理解をするためには、「境界例(境界性人格構造)」の概念について正しく理解する必要があります。

 

境界例の概念は、元々、かなり暖昧としたもので、明確に定義されたものではありませんでした。

 

一体これは何なのか、神経症と精神病の間の状態なのか(だから、境界例)、それてもこれから精神病になっていく途中の状態なのか、それとも軽い精神病なのか、それともこの段階にとどまり続けるのか。

 

ところが、1970年代にカーンバーグ(精神分析医)が、「境界例とは、境界性人格構造というパーソナリティ構造を持った人たちである」という説を出したら、それは非常に分かりやすくて、実際の境界例と呼ばれる人たちの症状をよく説明するものだったので、広く受け入れられるようになりました。

 

カーンバーグが提唱したその説の背景には、自我理論と対象関係論とを統合した発達理論が存在します。

 

ざっくり言うと、まだ対象関係の分裂が根っこに残っていて、エスも自我も超自我も分裂しているパーソナリティ構造であり、成人してもまだ「(防衛・適応規制の)分裂」を主防衛にしている状態と言えます。

 

(中略)

 

という訳で、2月期からの「Spiritual University オンラインゼミナール」は、新テーマ「対象関係論」が始まります。

 

境界性パーソナリティ障害について、

 

・ 「見捨てられ不安」→《愛着を感じてはいけない》のビリーフ

・ 「理想化とこき下ろし(脱価値化)」→《愛着を感じてはいけない》のビリーフ

 

というレベルから、さらに踏み込んだ理解をしたい人におすすめの授業になっています。

 

詳しくは、以下をご覧ください。詳しくは、以下をご覧ください。

Spiritual University オンラインゼミナール 

 

※Spiritual University オンラインゼミナールは最初の一ヶ月は無料で視聴できます (^_^)


【2月期の授業内容】『Spiritual University オンラインゼミナール』

(2-1)「対象関係論(その1)」

・ イントロ

・ フロイトは対象を欲動の充足を得るための媒体であり、欲動よりも二次的なものと位置づけていた

・ 現在では、発達の不全から生じる病理の説明として、特に境界性パーソナリティ障害に関する理論として、対象関係の発達とその障害が理論の中心になっている

・ つまり、パーソナリティ障害についてちゃんと理解しようと思ったら、対象関係論を避けて通ることはできない

・ 自我が持つ機能

・ 「対象(object)」とは?

・ 「表象(representation)」 とは?

・ 対象表象と自己表象について

・ 「関係性」の表象とは?

・ 対象関係における自我の働きについて

・ 対象関係論とは?

・ 精神異常や行動異常の原因は、「対象表象の歪み」や「対象への執着」に存在する

 

(2-2)「対象関係論(その2)」

・ 「他者表象」の実例

・ 「自己表象」の実例

・ 健全な対象表象とは?

・ 病的な対象表象と、その原因

・ 超自我と対象表象との関係

・ 対象表象は言動に現れる

・ 境界性パーソナリティ障害の原因

 

(2-3)「対象関係論(その3)」

・ 対象関係の発達過程について

・ 部分対象について

・ “よい対象(good object)”と“わるい対象(bad object)”

・ “よい自己(good self)”と“わるい自己(bad self)”

 

(2-4)「対象関係論(その4)」

・ 乳児の(初期の)表象形成

・ 乳児は「分裂(split) した部分対象」と「分裂した部分自己」とを持っている

・ 分裂した部分対処を持つ乳児は万能感(omnipotence)に支配されている

・ 赤ちゃんがギャン泣きする理由

・ 統合された表象

・ 全体対象表象(whole object representation) と全体自己表象(whole self representation) 

 

 

『Spiritual University オンラインゼミナール』の詳細とお申込みは、以下のリンク先をご覧下さい:

 

■運命を科学する理論的スピリチュアル

■Spiritual University オンラインゼミナール

http://spiritual-university.com/online-seminar/

※最初の一ヶ月は無料です。

 

心理セラピスト 棚田克彦