特別支援学校の整備計画とその検証―予算委 | 田辺かずきのブログ

特別支援学校の整備計画とその検証―予算委

福岡県議会の予算特別委員会は24日、教育費を審議。


私は「すべての子どもに教育の機会を確実に保障すべき」との観点から、「県立特別支援学校の整備計画とその検証」をテーマに質問しました。


私から、県教委の整備計画における児童生徒数の見通しの甘さにより、推計と実数に大きな差が生じ、福岡都市圏の古賀特別支援学校や太宰府特別支援学校で通学区域が変更されたり、通学バスの利用が困難になるなどといった看過できない事態が起きていることを指摘。そのうえで、子どもや保護者の皆さんに新たな負担が生じないようにするため、県教委として、学校への財政支援も含めた責任ある対応をとるよう強く要請しました。


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教育長は「(学校における問題として、保護者に新たな負担を生じさせない対応するには)財政的な側面はある。そういうことも踏まえ、しっかり、県教委として財政的な支援も含めて対応していきたい」と明言し、提案を受け入れました。


詳しく見ていきます。


この問題の大前提は、「障がいのある子も、障がいがない子も、教育を受け、社会で生きていくための基礎を築いていくことは、普遍の権利である」との考え方です。


福岡県は特別支援教育の充実を図るため、県立特別支援学校の具体的な整備のあり方を示した「県立特別支援学校の整備に関する計画」を2008年1月に策定し、整備を進めてきました。質疑では、最初に「児童生徒数の推移」を取り上げ、福岡県が置かれている現状を確認しました。


予特・特別支援2


県全体で一貫して増加傾向にあることが分かります。この理由について、県教委は「特別支援学校が障がいのある子どもの能力を最大限に伸ばすための学校であることに、県民の皆様の理解が広まっている。これを背景とし、従来なら小中学校の特別支援学級などへの通学を希望していた知的障がいのある子どもの保護者が、特別支援学校への通学を希望するケースが増えてきているため」との認識を示しました。


こうしたことから県教委は整備計画を策定し、特に福岡都市圏には太宰府特別支援学校を新設、2012年度に開校しました。この時、古賀特別支援学校に通っていた糟屋郡南部(宇美町、志免町、須恵町)の子どもたちは通学区域が変更され、太宰府特別支援学校に通うことになりました。


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ところが、わずか2年しか経たない次年度(2014年度)から糟屋郡南部3町の通学区域が、古賀特別支援学校に戻ることになりました。この原因を追うと、太宰府特別支援学校と古賀特別支援学校の「児童生徒数の推計と実数」に大きな差が生じていたことが分かりました。


太宰府特別支援学校が開校した2012年度、既に計画策定時の推計である151人を大幅に上回る242人が実数となっています。つまり、最初の年から計画時の推計とは大きく異なる事態となりました。そのうえ、今年度(2013年度)もさらに伸び、143人も上回っています。こうした推計と実数の差は、なぜ生じてしまったのか。今回の質疑で、この推計が「各通学区域内の市町村で、これまで特別支援学校に就学していた子どもの数」のみに基づいており、「各区域内における小中学校の特別支援学級に通っている子どもの数」が加味されなかったことが分かりました。「特別支援学級に通っているが、特別支援学校が新設されるなら、そちらに通いたい」というニーズが想定されなかったことになります。


私は「特別支援学校への就学のニースが増加している傾向を把握できていながら、推計に反映させなかったのは非常に大きな問題」と指摘。このことが原因となり、通学区域が「朝令暮改」に変更されたことについて、「子どもたちの学ぶ権利、保護者の教育を受けさせる義務を真剣に考えているとはとても言えない」と指摘しました。


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2014年度からの県内の特別支援学校の通学区域


このことから、県教委は太宰府特別支援学校には2014年度から3年間、仮設の校舎を緊急設置し、教室棟の増築を進めます。


一方、通学区域が元に戻ったことで、古賀特別支援学校の児童生徒数も毎年度増加していことが見込まれており、保護者の方々から「これまで通学バスを利用できていたものが、利用できなくなる」といった強い懸念が生じています。そこで私から対応を質し、県教委は「通学バスの乗車については、児童生徒数の増加で保護者の負担が過重なものとならないよう、通学バスを適正に配置し、適切な運行を学校に求めたい」との考えを表明。そこで、私から教育長に対し、学校に適切な運行を求める限り県教委から学校への財政支援は必要不可欠と指摘し、冒頭に示したように、教育長は「しっかり、県教委として財政的な支援も含めて対応していきたい」と明言しました。


こうした対応の前提として、教育長はこの日の答弁で、「2008年に整備計画を策定した際には、当時把握できたデータに基づいて児童生徒数を推計した。しかし、その後、特別支援学校に対する保護者のニーズが(県教委の)見込みを超えて急速に高まったことから、現在、一部学校で運動会などの全校行事の実施や特別教室の利用が窮屈になるなど教育活動に一定の影響が生じている。こうしたことを踏まえ、今後の推計に当たっては、精度を高める工夫が必要と考える。また、児童生徒・保護者に新たな負担が生じないよう、鋭意取り組んでいるが、今後も県教委として児童生徒の一人一人の障がいの状況、通学事情、保護者や学校の要望などを丁寧に把握していきたい」との考えを示しています。


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さらに私からは、今回の事態を踏まえ、「県立特別支援学校の整備に関する計画」を検証し、見直す必要があると提起。今回のような問題を二度と起こさないため、切れ目なく次期計画を策定し、展開することを求めました。


なお、この日は教育費に先立ち、警察費も審議。私は「新法解剖の意義と実施状況」について質問しました。2014年3月25日付ブログ をご参照ください。


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県議会は25日、常任委員会を開催。


私は新社会推進商工委員会で議案審議に臨み、「福岡県スポーツ推進計画」などを可決しました。また、プレミアム付き地域商品券の早期発行に向けた取り組み状況や水素エネルギー製品研究試験センターの新試験棟、女性活躍推進の先進企業事例集などについて説明を受けました。


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地元・古賀市の農業振興ヒーロー「ヨメニコーン改」が小川洋・福岡県知事を表敬訪問。JA粕屋青年部の皆さんとともに全国青年大会の最優秀賞を報告しました。2014年3月25日付の日本農業新聞が九州面で報じてくれています。


ヨメニコーン改と知事


JA全国青年大会の最優秀賞の受賞の様子については2014年2月14日付ブログ もご参照ください。


JA全国青年大会2


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