「直子。いままで絶対に誰にも言わなかったこと。教えてあげる。命のこと。つながりのこと。人の生きていけるミッション(使命)のこと。全部教えてあげる。そのかわり、僕のことを信じるんだよ。いままでのように。」
彼女はそのとき、少し僕を見て希望の光を、黒く潤んだ瞳にたたえてくれた。僕は僕の誠実と愛とすべてを語りだすことを、その刹那に決心した。
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直子は小学生の時から正義感が相当強かった。そのときにはもう、父親を心臓の病で亡くして、祖父母と母の元で生活していた。それでも、いつも学級をまとめ、弱い子にはとても優しく接する人でもあった。
僕はといえばずるいことは嫌いだけれど、自分のことを自分で完結できないだらしない子供だったので、いつも何かと彼女に叱られたりお世話になっていたように思う。
悲しいことを悲しいと言わず
辛いことを辛いと言わず
寂しいことを寂しいとは言わない。
そんな子供が直子であり、僕たちの守り神みたいな子だったように思う。だから皆も彼女のことを好きだったし、お世話になることが心地よかった。
そして彼女は小学生の頃からドクターになることを決めていたように思う。「苦しむ人を助けてあげるの。。。」だから勉強してがんばるの。。。」そういっていた彼女の横顔を思い出していた。
「ねぇ直子。きっと、とても辛いことが待っているんだね。君がか弱い女性のように涙を流すなんて、僕の中ではずいぶんショックなことだよ。」
「ねぇ。多聞ちゃん、それは後で言いたいの。たくさん聞いてみたいこともあるの。。。でも、私はドクターで、夢がかなって、そして苦しいの。」
彼女は涙を拭いて、そしてあの正義感の強い少女の目線で僕を凝視しながら質問を続けた。
「私たちの前で死んで行く人がたくさんいるわ。私もあなたもそう。生まれて死んで行く。でも、そのストーリーはたくさんあって、苦しみ方や喜び方も違うわ。苦しみもがく人を助ける手伝いもできるけど、そのために生きることもできるけど、自分が苦しみもがくことも、もちろんあるの。
ねぇ、生きていることって何だろう。命ってなんだろう。貴方はいつも未だ訪れない苦しみの淵をあらかじめ教えて、それを回避することを教えてくれたわ。なんで?何かを知ってるから?いま、私にはその答えがとても重要なことなの。」
彼女の質問は僕には理解できたけれど、本当は彼女は僕に何を聞きたいのか?僕は悩んでしまった。でも、ここで、彼女の命に関する感慨は正しいと思うし、僕もずっと考えていることなので、一所懸命に答えてみようと思った。そのためには今度は僕が彼女に質問してみなくてはならなかった。
「直子。命ってなんだろうね。命ってたくさんあると思うかい?」
「うん。私も考えているわ。私には命がある。それは間違いない事実で、貴方にも、星にも宇宙にもあるわ。」
「じゃね、命ってたくさんあるのかな?だから千差万別でいろいろなステージがあるのかな?」
急に変なことを言い出した僕に、彼女は戸惑っているようにも見えたし、不思議に感じてもいただろう。でも、彼女は決して聞こうとする姿勢を緩めることはなく、僕を凝視しながら話を進めてくれた。
「だって、無数の命があるわよね。この命は私の命。多聞ちゃんが生きているのも貴方の命。花も木も虫もそれぞれのステージで生きているわ。」
「そうだね、うん。君は聡明で、洞察力があって、考え方も正しいよ。誰でもそう思うのは当然だね。でもね、直子。命ってね、ただの言葉なんだ。」
彼女はその刹那、予期せぬカウンターパンチを食らったボクサーのように目を見開いて体が固まってしまった。言葉すら出てこなかった。そして僕は間をおかずに話を続けなければならないことを悟っていた。
「柳の仲間。僕たちのふるさとにはポプラの防風林がたくさんあるよね。ポプラの大木がここに一本あったとしたら、そこには命が宿っていて、いつも成長を続けながら変化を繰り返しているよ。そこまでは理解できるね。」
「ええ、そのポプラは大地を育み風をせき止めて私たてをも見守ってくれる。その命は素敵で美しいものだと思うわ。」
「なら、直子。そのポプラを一本目のポプラと名前をつけようね。そのポプラの命はひとつなの?」
彼女は怪訝そうな顔をしならが、僕が何を言いたいのか想像もつかないようでいた。
「私の命がひとつなら、一本目のポプラの命もひとつだと思うわ。そうでしょだって。」
「そうだね。命はひとつに見えるね。君の感じる命って誰でもがそう感じる命なんだ。」
「じゃね、その一本目のポプラの枝を君が折って、隣の空いた土地にその枝を差したらどうなる?」
「ええ?もしも、私が地面に差し込んだその枝から根が出て成長をはじめたら、命は二つになるわね!」
「そうなんだ。ポプラに心があったとしたらね、君は一本目のポプラから見ると神に等しい存在になるし、命を創造する限りない力を持っていることになるよ。でも、そんなことはないね、だからね、命って算数でもないし、物理的でもないし、ただの言葉なんだよ。」
僕の勘違いであったかもしれない。しかし、そのときの彼女の顔は明らかに宝探し遊びをしていて、最初の宝物を見つけた少女のように輝きだしたとおもう。そして、彼女はその日、僕に逢うことにした核心を語りだした。
「私を一人で育ててくれた母が。。。癌の宣告を受けたの。。。多聞ちゃん。。。転移してるのよ。」
あの優しいお母さんが、、、今度は僕の体が固まってしまった。しかし、彼女が再び滝のような涙を流すのを見たとき僕はその命をもっと輝かせる方法を真剣に考える決意を固めて、彼女に本当の命を語ることを続けた。
つづく。
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防 風 林
アスファルトに沸立つ雨が降る
雨をすり抜ける風は温度を失い
焼けつく胸を冷却しようと寄せる
幾千万の夜を越えて
秋を迎える大地の鼓動を聞いた
飾られた全ては幻に消えていく
そうだね僕は一人で生きてきた
泣きながら何もわからないまま
でも今なら話すことができる
信じて欲しいから本当は淋しいから
貴方へ僕の鼓動を伝えたい
僕に沸立つ雨が降る
心をすり抜ける風は想いを君へ運ぶ
僕が本当の僕を知ったから
雨に光る遠い防風林は浮かんでる
ここにおいでと呼んでいる
今までもこれからも何人も守るため
悔しくて負けないでいた僕を呼ぶ
僕を包んで守ってくれる場所がある
遠くにいる貴方に伝えたい
雨は降ることをやめて
故郷へ急ぐ僕の車の跡には
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