築地 テオドル べスター 木楽舎
文化人類学のテーマが激しく動いている。かつて対象にしていた「未開地」はもう無い。このため、いろんなことが対象になる。「市場」は経済学の対象だが、人類学の対象にはなれなかった。
本書では築地市場をいろんな視点から見ている。立地、建屋からはじまり、歴史、機能分析へと進む。知らないことばかりだった。著者が驚くことは何万トンかの鮮魚が1日のうちに残すことなく消費者に向けて振り向けられることだ。すごいシステムだが、設計されたものではない。日本橋魚河岸以来営々と築かれてきた成果だ。様々な課題を抱えながら動き続けている。こんな市場は世界に類を見ない。日本食が生食を重視した結果でもあるのだという。いろんな説明がなされているが、わかるはずがない。文化人類学のテーマとしては不足ない。築地も豊洲に移転したしまった。次は豊洲がテーマになる。