毎日あほうだんす  | 右岸だより

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 歳を取り、ヒマになりなり、昔やりたかったことを手掛けようと思っていますが、思うようにできません。そんな中で出来ることを探したり、出来るように工夫したりしてもがいている毎日を綴ってみたいと思っています。

毎日あほうだんす トムギル キョウトット出版

 横浜寿町で生涯を閉じた日雇い労働者の記録。イギリスの文化人類学者トムはフィールドワークでかつてドヤ街と言われていた寿町で主人公 西川紀光にあう。西川はトムを英人と見るや英語で英文学や英史の話題を話しかけてきた。それで彼を研究対象として選び、彼の人生を追うことになる。このような研究法を「一人民族誌」と言うのだそうだ。個人を出発点としてその地域の文化を理解しようとするのだそうだ。

 西川は日雇い労働をしながら、いろんな本を読んでいる。そこで蓄積した知識を披露したというわけだ。

 彼をどう評価するかは別の問題だが、彼の人生には興味がる。九州から出てきて職を転々とし、自衛隊員になる。除隊後にドヤ街くらし、日雇い暮らしが始まる。しかし、肉体が衰えてくると続けられない。労働日数を減らし失業保険と半々で暮らす時代を経て、生活保護で生活するようになる。そのころから入退院を繰り返すようになる。最後は認知症が出て、病院で亡くなる。日本の福祉の実態を知ることが出来た。