白道  | 右岸だより

右岸だより

 歳を取り、ヒマになりなり、昔やりたかったことを手掛けようと思っていますが、思うようにできません。そんな中で出来ることを探したり、出来るように工夫したりしてもがいている毎日を綴ってみたいと思っています。

白道 瀬戸内寂聴 講談社

 どこかで瀬戸内が西行について語っているのを読み、本書にたどり着いた。西行の伝記だが独特の書き方になっている。西行を思慕し、これを追い求める気持ちが表に出てくる。また、西行の面影を求めてゆかりを訪ねる旅でもある。感心するのはすべてが歌で始まり、歌から読み取っていることだ。文中に「歌は真言」と言うことがば出てくるが、極めた人にとってはそんな境地に至るようだ。残念ながら私にはそんなことは出来ない。

 瀬戸内の発想もスゴイ。歌をたどっていくと西行には意中の女性がおり、この人を追い続けていたとことが分かるという。これによって彼の人生が高められ、それが秀歌を生むパワーになった。―――私には理解できる世界ではない。時代を超えてこんな交流が出来るという歌の力を改めて知った。