深海からの声 | 右岸だより

右岸だより

 歳を取り、ヒマになりなり、昔やりたかったことを手掛けようと思っていますが、思うようにできません。そんな中で出来ることを探したり、出来るように工夫したりしてもがいている毎日を綴ってみたいと思っています。

深海からの声 富永孝子 新評論

 潜水艦技術者、友永中佐の伝記。学生時代から潜水艦に関わり、当然のように技術士官になった。ドイツに派遣され、Uボートで帰国途中にドイツ敗戦を知り、自決した。伝記なのでほめちぎっている。

 潜水艦は日独とも得意分野だった。敗戦色が濃くなり、わらをもつかむ思いで技術統合を試みたが遅すぎた。情報交換手段が狭められ、重要な機材や人材が到達確率の小さい潜水艦輸送にゆだねるしかなかった。もうこの段階で勝負は決まっていた。

 資料が残っておらず、伝記の部分はお粗末だが潜水艦や当時の戦況に関しては詳しい。Uボートと、イ号の違いも良く分かる。Uボートは小さく小回りが利く。戦闘機的な機能を発揮し、大西洋で活躍した。日本の潜水艦は、輸送艦として人員輸送や補給艦として使われた。ドイツでさえ、南方資源の輸送にイ号を期待していた。