Fast-track-電光石火の申立て | 法律翻訳ネタと変人観察日記

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洋書に出てくる英語表現を使って、法律英語とアメリカの法体系について解説したり、変人観察日記に使える英語表現を紹介しています。
その他、食事日記やどうでもいいネタもあります。統一感のないブログですがよろしくお願いします。

Now, the plaintiff has two remaining motions.
The first is to fast-track this case, the second to expedite the deposition of Donny Ray Black.
The two are sort of related, so, Mr. Baylor, why don't we handle them together?

Sure, Your Honor.

Can you wrap up in ten minutes?

Well. Your Honor, my briefs speak for themselves. I really have nothing new to add.


Fast-tracking is completely within my discretion, as you know. The plaintiff's motion is hereby granted. The defendant's answer is due in seven days. Discovery will commence then and end one hundred and twenty days from today.

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plaintiff:原告
motion:動議、申立て
fast-track:電光石火(特定の訴訟を、他の訴訟に先駆けて正式事実審理にかけること)
expedite:早める
deposition:証言録取
discretion:裁量
commence:開始する
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【日本語訳】
さて、原告側からは2件の申立てが提出されています。最初の申立ては、本件を電光石火の対象とすることを求めるもの、もう一つはダニー・レイ・ブラックの証言録取を早めたいとするものです。この2つは関係していると言えますね、ミスター・ベイラー。ひとつにまとめたらいかがでしょう?

しかるべく

弁論を10分以内にまとめられますか?

原告側主張は、その準備書面の中に述べられております。追加事項は、特に何もありません。

みなさんご承知のように、電光石火化は完全にわたしの裁量範囲にあります。ここに原告の申立てを認めます。被告は7日以内に回答するように。それ以降を開示期限と定め、本日よりかぞえて120日目にその終了といたします。

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【解説】
正式審理(trial)の前に争点を明確にするために、双方の主張を書面で交換する手続(Pleading)を行ないます。ここでは、原告側の主張を受け入れるかどうか、判事が裁定を下す場面です。


民事訴訟においては、このPleadingが重要で、ここで対応を誤ってしまうと、訴訟の結果に重大な影響を及ぼすことになります。

以前にも説明しましたが、訴訟の流れは、原告が訴状(complaint)を送達→被告による答弁、その後に原告による申立てが行なわれることになっています。

答弁書には、訴状内容を明確にすることを求めたり、被告に不利な事項を削除する、原告の主張の全部または一部を否認する、訴訟提起に対して法的根拠がないこと、裁判管轄についての抗弁を提出する、などの内容を記載します。

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次回は、証言録取の申立てについて解説します。


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