予算委員会で質問(総理、苗の注文していいですか?) | たまき雄一郎ブログ

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衆議院議員玉木雄一郎のオフィシャルブログです。

2月4日の衆議院予算委員会で質問に立ちました。





主なやりとりは以下のとおりです。


1.厚生労働省の短期特別訓練事業について


厚労省「短期集中特別訓練事業」不正入札事件


まず、昨年度(平成25年度)の厚労省の補正予算である「短期特別訓練事業」について質問しました。この事業は、私が昨年の通常国会で問題を指摘し、半額にあたる70億を国庫に返納してもらったものです。先日、厚労省の職員2名が、本予算の執行に関して書類送検されたとの報道があったため、事実関係を聞きました。


警察庁から、官製談合防止法で書類送検したとの回答がありました。


由々しき問題です。しかし、無理な補正予算の編成と執行こそ、この事件の真の原因です。つまり年度内の執行を急ぐあまり、天下り団体に事業を引き受けてもらおうと、入札不正に手を染めたのが事件の実態なのです。


こうした不幸な事件の再発を防止するためにも、補正予算の計上は、財政法の定める「緊要性」が認められる場合に厳しく限定されるべきです。


2.農地中間管理機構の予算について


「農地バンク」のしくみ

次に、農地の集積を進めるため、本年度から各都道府県に設置された農地中間管理機構(農地バンク)の補正予算について質問しました。


最初に、最新の集積状況と、農地の出し手に対する支援策である「機構集積協力金」の執行状況について聞きました。


これに対して農水省から、23万haの引き受け希望に対し、マッチングができたのは506haのみであり(昨年8月末時点)、また、農地の出し手に対する支援策である農地集積協力金については、253億円の予算のうち、0.5億円しか交付されていない(本年1月末時点)との回答がありました。


いずれも、比率にして約0.2%で、著しく低い執行率と言わざるを得ません。


農地のマッチング、実績は…

にもかかわらず、26年度の補正予算でさらに200億円を積み増しているのです。資金が余る可能性が高い中で、補正予算を組む「緊要性」が見当たりません。ちなみに財政法29条では「特に緊要となった経費の支出に必要な予算の追加を行う場合」にのみ補正予算を作成できると規定されています。


農地バンク予算の推移

そこで、この点について麻生大臣に質問。


麻生大臣からは、当初借り受け希望面積を14万haと考えていたが、これが23万haに9万ha増えたので、その分を計上したとの返答がありました。しかし、これは詭弁です。


まず、今年度はもう2か月弱しかありません。1月末時点で0.2%という執行率を考えると、本年度までの予算253億円を使い切れるとは常識的に考えられません。


次に、出し手への支援策なら、予算査定する際には「受け手」希望面積ではなく、「出し手」の希望面積を把握しなければならないのに、この数字を把握すらしていないことも分かりました。いい加減な査定と言わざるを得ません。


「緊要性」がないのに補正予算を編成することは、財政法29条に反します。財政規律を維持するためにも法律に違反するような予算を編成すべきではないと厳しく指摘しておきました。


最後に、まもなく始まる27年度の本予算の審議が始まるまでに、農地バンクの最新の活動実績と、関連予算の執行状況を調べ、予算委員会に提出することを求めました。これらの数字がなければまともな予算審議はできないはずです。


3.TPP交渉について


次にTPP交渉について質問。甘利大臣は「コメを一粒も増やすなということは不可能」、「譲歩の範囲をできるだけ小さな範囲で決着させることが全て」と述べています。仮にコメについて譲歩するなら、自民党の公約や国会決議に明確に違反するのではと総理に質しました。


総理は「交渉は何ら確定しているものではない。」とだけ答え、公約や国会決議との関係には一切触れませんでした。


あまりにも不誠実な回答だったので、「農家は生活がかかっている。総理、次の作付けに向けて、苗を注文してもいいのですか。」と再質問。


これに対して総理からは「注文してもらって結構」との返答がありました。総理にはこの発言を決して忘れることなく、TPP交渉や農政改革に取り組んでもらいたいと思います。


4. 農協改革と「農業・農村所得倍増戦略」


次に、総理が力を入れて進めている農協改革に関して質問。特に、中心的なテーマになっている「全中」(全国農業協同組合連合会は)の監査権限の見直しが、なぜ農家の所得向上につながるのか質問しました。


総理は長々と農家の付加価値向上や生産性向上の必要性は強調されましたが、最後まで、監査権限の見直しと農家所得の向上との関係について明確な説明をいただけませんでした。


もともと因果関係がないからです。大騒ぎはしているものの、結局は「改革のための改革」だと言わざるを得ません。現場に混乱を生じさせないためにも茶番劇はやめるべきです。


最後に、自民党の公約であり、政府の目標にもなっている「農業・農村所得倍増戦略」について質問。前者の「農業所得」という概念は分かるが、後者の「農村所得」が何を指すか分からないので、自民党総裁としての説明を求めました。


政府・自民党が掲げる農業・「農村」の所得倍増

そもそも10年間で倍になるためには、年率7.2%の成長が必要で、「倍増」は常識的に考えれば相当困難です。


しかし、この質問に対しても明確な説明はなく、単なる「気合い」の域を出ない目標だということが分かりました。事実、農水省の審議会のメンバーや役人も「倍増」戦略には疑問を呈しています。


「農村の所得倍増」は『政治主導』でできた言葉

選挙向けの「倍増」目標はそろそろ取り下げて、年度末にも策定予定の「食糧・農業・農村基本計画」では、現実的な所得「増加」目標を定めるべきだと提案し、質問を終えました。