農林水産委員会の概要【小泉政務官とのやりとり】 | たまき雄一郎ブログ

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衆議院議員玉木雄一郎のオフィシャルブログです。

10月30日の農林水産委員会での概要を以下にまとめました。


報道では東京新聞など一部しか報道されていませんが、TPP交渉に関する徹底した秘密主義が感じられるやり取りです。


小泉進次郎政務官は人気のある有能な政治家だと思います。しかし、だからといって彼の語る政府の対応や方針がすべて正しいとは限りません。


適切な情報公開のもと国民自身が判断できる機会を確保していくことが必要です。


なお、衆議院TVでは動画でもやり取りをご覧いただけます。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=43123&media_type=wb




○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。TPPの担当政務官である小泉政務官に伺います。小泉政務官は復興担当の政務官でもありますが、そもそもTPPは被災地の復興に対してどういうプラスの影響があるのですか。


○小泉大臣政務官 TPPの年内の妥結に向けて日本が交渉の中で役割を果たす、そういった思いの中で、それが国益をしっかりと守ることにつながるんだ、そしてその国益の中には被災地の復興も含まれる、そういった認識でいます。


○玉木委員 いつも歯切れのいい小泉政務官ですが、歯切れが悪い印象を受けます。今政府として考えている守るべき聖域とは一体何なのか、お答えください。


○小泉大臣政務官 守るべきものを守る、それが国益につながりますので、そういった方向で、しっかりと交渉の中で努力をしていきたいと思います。


○玉木委員 自民党のJ―ファイルでは、重要五品目等の聖域を確保するというふうに書いています。もう一度お聞きしますが、守るべき聖域とは何ですか。


○小泉大臣政務官 聖域とは何なのかと言われれば、守るべきものを守るのが聖域である、そういった認識でいます。


○玉木委員 お答えいただいていません。衆議院、参議院の農林水産委員会で決議には、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの例示があります。こうした五品目については、自民党のJ―ファイルにも同様の記載があるし、こういったことが確保できない際には脱退も辞さないというところまで書かれています。改めて聞きます。守るべき聖域は何ですか。


○小泉大臣政務官 はっきり言えたら楽なんですけれども、交渉というのはなかなかそういうわけにもいかないものですから。聖域というのは、衆議院、参議院のこの委員会で決議をされたこと、そして、自民党の方でTPP対策委員会でされた決議も3月にあります。その中には、委員がおっしゃったような品目が項目として挙げられていることも承知をしていますので、そういったことを念頭に置きながら、政府としてはしっかりと交渉をやっていきたい、そういう思いです。


○玉木委員 皆さん、お聞きになって、どうですか。将来に対して不安を感じている農家の思いに対して、どれだけ正面から誠実に向き合うことができるのか今政治が問われています。言葉でごまかしたり、レトリック(修辞学)を駆使したりすることを農家の方は求めていない。
そこで、改めて伺いますが、西川TPP対策委員長は、この586品目等の一部が関税撤廃の対象にならないかどうか検証すると発言され、甘利大臣も二十二日の予算委員会で「精査の作業をされていることはよく承知している、党から資料要求等があれば協力をしていきたい」というふうに述べていますが、この586品目の詳細情報について、西川対策委員長には情報を出していますか。


○小泉大臣政務官 委員お尋ねの西川委員長に対しての情報提供は自民党の検証にかかわることですので、政府としてはお答えできません。


○玉木委員 甘利担当大臣は「精査の作業をされていることはよく承知している、党から資料要求等があれば協力していきたい」と述べておりますが、担当部局から、あるいは大臣から資料を出しているのかどうか、このことについてもお答えできませんか。


○江藤副大臣 西川委員長のもとで検証作業が行われているというふうに私も仄聞で聞いてはおりますが、農林水産省として資料を提供しているということはございません。


○玉木委員 農林水産省から出ていないことは今副大臣から答弁いただきましたが、この586品目が一体何なのか、このことについて出さないと、西川委員長も検証できません。西川委員長に出しているかどうかも答えていただけないのですか、どうですか。


○小泉大臣政務官 西川委員長は自民党の方の対策委員長でありますので、その党の検証作業のことについて政府としてお答えすることは、申しわけありませんが、できません。


○玉木委員 随分歯切れが悪いですね。では、ちょっと違う観点から聞きます。この586品目のうち何を譲ろうとしているのか、交渉材料にのせようとしているのか、そういう情報は要りません。単に586品目はこういうものですよという客観的なデータを農林水産委員会に出していただきたいのですが、どうですか。


○小泉大臣政務官 この内訳は、農水省の方で決められた586ですので、そこに関しては、私たちとしては、農水省とそして政府の対策本部とで、交渉上、これを公にすることは不利益になる可能性もある、そういった認識を共有しています。


○玉木委員 どうして不利益になるのですか。これは関税率表上のデータであって、過去、関税が撤廃されていないものを集めて、我々の農林水産委員会でも決議した五項目にかかわるものとして、それを単に列挙していただければいいのです。それさえも出せないのか。


○林国務大臣 委員も586の、例えば米が幾つ、麦が幾つという表は多分お持ちだ、こういうふうに思いますし、それは我々共有をしております。そこから先に、どれがその50幾つに該当するのかという詳細をお示しすると、今、小泉政務官が答弁したように、交渉上、不利になるおそれがあるということで、その内訳をお示しすることは控えさせていただきたい、これが我々の考え方でございます。


○玉木委員 納得できません。一定の政策的な意図が入っている資料なら出さないことは理解できますが、客観的に関税率表の中にあって、かつて関税を下げたり抜いたことがないようなものが586あって、このリストも出せないんですか。もう一回答弁してください。


○林国務大臣 したがって、今委員がおっしゃったように、これは公表された一ライン、こういうラインがあって、これはどういうものであるというのは、輸入をやったことがある人ならわかるように、これは公表された当たり前の情報でございますが、我々が米といった場合に幾つあるか、それがこれとこれとこれであるということを指し示すことが交渉に不測の影響を与えるのではないか、そのことを先ほどから申し上げているわけでございます。逆に言えば、玉木先生から、このラインについて例えば関税率や輸入実績を示せ、こういうことであれば、そのラインについては客観的な数字がございますので、そういう数字をお示しすることはできる、こういうことであります。


○玉木委員 (586品目の内訳を)出していただけない理由がまだわかりません。公表された資料ですよ。そこから実際こうやって586ということを資料までつくられているんです。この内訳、例えば米の58が何ですかということを客観的に教えていただきたい、それを並べたものを教えていただきたいということを申し上げているんです。それがなければ、自民党で西川委員長は検証できないですよね。
では、与党には出すけれども、野党には出さない、そういう整理ですか。それならそう言ってください。しかし、今の答弁ではそうではない。ちゃんと答えてもらわないと、私、これ以上質問できません。


○林国務大臣 委員もお持ちの、米が58、小麦・大麦109、これは皆さんお持ちでございますから、これは与野党の違いはございません。したがって、我々が、米は58ある、こういう資料をお示ししておりますが、これが具体的な関税表の中でどのラインになるのかということを示すのが交渉に不測の影響を与えるという判断を我々がしているということでございます。


○坂本委員長 時間が経過をいたしております。質疑を終了していただきたいと思います。


○玉木委員 答えていただいていないので、質問を終われません。年内に妥結しようとしている一方で、このTPPの異常なほどの情報の秘匿性、これで本当にいいんですか。今ちょうど特定秘密保護法案が議論されていますけれども、こんな曖昧な理由で秘密だと言われたら、今後、何でもかんでも恣意的に秘密になって国民の前に出てこなくなるおそれがある。


○林国務大臣 我々として、特定のラインが米に当たるという判断をしているわけでございますので、その判断のところは客観的な情報と我々の判断という部分が分かれるところでございますので、委員からそういう御質問があったので、あえてお答えをしたわけでございます。


○坂本委員長 申し合わせの時間は既に終了しております。そこで、質疑を終結いたしたいと思います。


○玉木委員 最後に一言だけ申し上げますが、外交上の手のうちを明かすようなことになるので出せないという御説明でしたが、ということは、この586のうち、一部は譲る可能性があるということが前提になっている、だから出せない。論理的に言うとそういうことになる。
そして、国会での決議に「国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること」ということが入っているにもかかわらず、これほど情報を出さない秘密交渉を続けて、国益を守れる交渉ができるのかどうか甚だ疑問だ。情報公開をもっと進めることを強くお願いして、質問を終わります。(林国務大臣「最後に一言」と呼ぶ)


○坂本委員長 林大臣、簡潔にお願いします。


○林国務大臣 その思いは共有しております。したがって、ゆえに、交渉上、不測の、我々が不利になるようなことはここでは控えさせていただきたいということを申し上げました。譲るということを前提にして申し上げているわけではございません。


○玉木委員 終わります。