4月11日、予算委員会(公聴会)で質問に立ちました。 | たまき雄一郎ブログ

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予算委員会公聴会で、次の2点について、4人の公述人の方に質問をしました。
(1)親の年収と大学進学率など「学ぶ機会」との関係
(2)「社会保障と税の一体改革」への評価と今後について
質疑の概要は以下のとおりです。


<親の年収が大学進学率等に与える影響について>

(玉木)昨日の予算委員会で枝野議員が使用した資料の中で、4年制大学への進学率は、親の年収が高くなればなるほど高くなるという正の相関があり、また高校卒業後の就職率には、親の年収と逆相関があるとの結果が出ていた。教育の現場で、実際に親の年収によって学力に差がついているということを実感するか教えていただきたい。また、改善策についてお考えがあれば教えていただきたい。

写真:山口二郎(北海道大学大学院法学研究科教授)

(山口)学生支援機構で借りた奨学金について、卒業後の返済が滞るという事例は増えている。実家からの仕送りがなく、学費については奨学金で賄うが、学生生活を賄うためにアルバイトをする学生も多い。そういう学生については、アルバイトに割く時間が多くなり、必然的に学習時間が少なくなる。学歴格差という程、今のところ直結はしていないが、学ぶ環境については経済的な力によって影響されるということは実感している。

写真:片田俊孝(群馬大学理工学研究院教授)

(片田)親の経済状況が厳しい中で、アルバイトをせざるを得ない学生は多々見られる。そんな中にあっても、しっかりと学業に励む学生もいる。既に進学してきた生徒だけを見ているからかもしれないが、私の実感としては、まだそういった明確な相関は感じられない。ただ、そういった相関関係があるということは認識している。感じるのは、学ぶ姿勢やしつけ、礼儀といった面は、少し相関が見られるように思う。しっかりしたご家庭にはしっかりした子どもが育つという構造は様々な面で見られる。

写真:中原 徹(大阪府教育委員会教育長)

(中原)学力と保護者の年収という関係は、中学校から私立に入る率が高い首都圏について強く見られる。関係がないということは無理だ。何をするにも資金は必要である。大阪府では、高校無償化、さらに公立小学校の始業前、放課後、土曜日の学習指導という施策をしている。ただし、何らかの助けが本当に必要な層がある一方、学習に対する努力が足りないと言わざるを得ない層もいる。きちんと区別して、本当に恵まれないところには、必ずチャンスが与えられるようにしていきたいとは思っている。

<「社会保障と税の一体改革」の評価と今後について>


与党の経験をして実感したのは、「制約の中の選択」をせざるをえない現実だ。特に今、3つの制約を感じる。グローバル経済の中で、自分の国の意見だけでは自由に物事を決められなくなっている。例えば、円安政策をとっているが、それはアメリカ側にそれを容認する経済的余裕があるということと、結果としてのコーディネーションがうまくいっているというところが大きい。アメリカが円安を容認しなくなった瞬間に、今の状況は続かなくなる。次に、先進各国で高齢化が進み、どの国も高齢者向けの支出を義務的経費として一定程度確保せざるを得ないため、他の政策的経費にまわす資金が限られてきている。最後に、SNSの発達が後押しし、国民一人ひとりが情報を発信したり、何かを要求したりする能力が格段に高まっている。こうしたグローバル化や高齢化に伴う財政の制約、国民の要求の高まりの中、「社会保障と税の一体改革」のような政策は、重要であっても国民にとって必ずしも人気がない、長期的に見ればベストな政策だが、短期的には理解を得られにくい。民主党の大敗した。そこで、民主党、自民党、公明党の3党合意で決めた「社会保障と税の一体改革」をどう評価されるか。また、これからの社会保障制度改革のあり方、方向性、そして国民の理解を得ながら進めていくことの困難さをどう乗り越えていけばいいかについて伺いたい。

(山口)グローバル化で政策的な選択の余地が少なくなるという話について、日本としてどういうモデルを選ぶのか、いくつかパターンを示して、国民としてどうするかの議論をしなくてはならない。また高度経済成長の惰性、90年代以降の国債の大量発行などにより、租税国家(国民が税金を払うことで政府を支えて国民が受益を得る)という概念が崩壊してしまった。社会保障と税の一体改革で、国民に一定の負担を求めながら社会保障制度を再構築することを政治的に決めたことには意味があると考える。中長期的なビジョンをしっかりと打ち出す、可処分所得といった概念を変える必要がある。給料から税金を引かれたものが可処分所得ではない。医療や教育について公的にカバーするのか、アメリカのように自分で払うのかを整理して、国民として議論して政策を決めていくというやり方を政治の方で進めていただきたい。

写真:高田 創(みずほ総合研究所株式会社常務執行役員チーフエコノミスト)

(高田)社会保障と税の一体改革は私も重要であり評価しているが、それ以上に市場の評価が高い。一体改革の大きな道筋が超党派で示されたことで、国債市場の支えができている。今後は、社会保障の給付体系にどうメスをいれていくのかと同時に、租税負担が低い日本において、グローバルな投資家はまだ上げることが出来るということを信じており、税率を上げることについて、どう国民の合意を得ていくのか、国民の声を求めることが必要だと考える。

(玉木)大変貴重な意見をありがとうございました。

質疑の内容は衆議院TVでご覧いただけます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42638&media_type=fp