天下り規制が国会で問題になっています。
内閣府にいわゆる新「人材バンク」を設けて、各省の人事当局による再就職のあっせんを禁止し、政府としてのあっせんを、この人材バンクに一元化しようとする内容になっています。
各省庁による予算や権限を背景にした「押し付け」的な天下りを廃止しようということで、再就職のあっせんを内閣府に一元化しようとしているわけです。
そして、この人材バンクに、各省の人事担当者が関わることができるかどうかが争点になりました。
各省の人事当局からの情報がなければ、適確なあっせんができないというのが、その理由です。
しかし、そもそも、あっせんが必要なのか?
これが多くの国民の疑問だと思います。
民間企業では、リストラされても、誰も再就職先をあっせんしてくれません。
私は、少なくともキャリア官僚といわれる人たちの再就職のあっせんは一切やめるべきだと考えています。
高度な試験を受かって、本当に能力があるなら、再就職先くらい自分で見つければいいと思いますし、できるはずです。
それに、今や、エグゼクティブ向けの人材派遣会社は世の中に山のようにあります。
また、人事当局が人材バンクに人事情報を出さないと、うまく再就職が成立しないと主張されていますが、普通、再就職をしようとする人自身が、履歴書等を書いて、職歴や得意分野をアピールするものです。
私は、役所が、人材派遣業から、そろそろ手を引くべきだと思っています。
特に、各省の人事部局には、通常、各省でも最も優秀な人が配属されているので、そんな優秀な人材こそ、人材派遣業ではなく、本来の役所の仕事をやってもらうべきだと思っています。
先輩の明日を考える仕事より、日本の明日を考える仕事に専念してもらった方がいいと思います。
「官から民へ」というのであれば、各省の人事当局が行っている「人材派遣業」を真っ先に民営化すべきだと考えます。
そもそも、今の若いキャリア官僚の多くは、天下りのような「かっこ悪い」制度に期待していないと思っています。
採用するときに、天下りを期待して入ってくるような輩は、一人残らず落とせばいいと思います。
私は、あっせんを全廃する代わりに、現在の再就職規制はやめて、原則、どこにでも行けるようにすればいいと思います。
人材が有効に活用されることは、日本社会全体にとってもいいことだと思います。
非生産的な部門に優秀な人材を貼り付けていることは、社会全体として極めて非効率だからです。
ただ、内部情報の漏洩を後輩に働きかける行為などを違反行為と明確に定めて、違反者に対しては厳しい罰を課せばいいと思います。
不正の発生を防止しつつ、自らの人生を切り開く自由と責任を、公務員にも求めていくのが、改革の方向性だと思っています。
優秀な人材には、官でも民でもいいので、思う存分働いてもらわなければなりません。
人材不足の日本に、官だ民だと言っている余裕はありません。
単に公務員を悪者にするだけでは日本は良くなりません。
天下りの呪縛から、彼らを解放してあげる改革が必要だと思っています。