■人工赤血球はどこまで実現しているのか? | タマちゃんの暇つぶし

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GIGAZINE:2024年07月08日 19時00分人工赤血球はどこまで実現しているのか?より転載します。
 
貼り付け開始、

https://gigazine.net/news/20240708-blood-substitute/

 


輸血された血液の保存期間は短いため、献血の環境が整った先進国でも慢性的な血液不足に悩まされています。そんな問題を解決すると技術として嘱望されている人工血液の現状と今後について、アメリカの科学学術雑誌・Scienceがまとめました。

The ultimate blood substitute? The U.S. military is betting $46 million on it | Science | AAAS
https://www.science.org/content/article/ultimate-blood-substitute-us-military-betting-46-million

血液の代替品として最も大きく注目を集めている技術のひとつに、人間のヘモグロビンから作られた「エリスロマー」があります。粉末のまま長期保存でき、必要に応じて生理食塩水と混ぜるだけで使えるエリスロマーは、血液型の不一致を起こす赤血球表面の物質を含んでいないため、どの血液型にも使うことが可能です。

エリスロマーはまだ臨床試験の前の調査段階で、臨床的な成功例はありませんが、アメリカの国防高等研究計画局(DARPA)が2023年に4600万ドル(約73億円)の助成金を投じてエリスロマーを含む全血代替物の研究を行うと発表するなど、実用化に向けた動きが活発化しています。


しかし、エリスロマーの成功は必ずしも約束されたものではありません。エリスロマーの前身である「ヘモグロビンを利用した人工酸素運搬体(Hb-based O2 carriers:HBOC)」は、以前行われた治験で死亡者を出して研究が行き詰まっています。また、南アフリカとロシアで承認された、これまでで最も進歩したHBOCも、副作用への懸念が根強く残っており、やはり前途多難とされています。

人工血液の開発を難航させているのは、ヘモグロビンの機能を安全に再現する技術です。まず、ヘモグロビン自体が扱いが難しい分子で、そのまま血液に使うと血管や体組織に有害です。また、ヘモグロビンが運ぶ酸素も人体に有害な酸化剤として振る舞うため、もし間違ったタイミングや場所で酸素が放出されると破壊的な結果をもたらします。

また、酸素だけでなく一酸化窒素も問題となります。赤血球は、活動中の筋肉に酸素を運ぶのと同時に一酸化窒素も放出し、これが血管を拡張して血流を増加させます。そして、運動が終わると赤血球は酸素を大量に放出するのをやめますが、この時一酸化窒素がヘモグロビンと結合して取り込まれるため、これが血管を収縮させます。

こうした赤血球の作用を適切に再現できないため、保護されていないヘモグロビンが使われたHBOCでは、一酸化窒素が過剰に取り込まれるせいで血管が収縮し、これが心臓発作や脳卒中の原因となるおそれがありました。


一方、メリーランド大学のアラン・ドクター氏らが開発したエリスロマーのヘモグロビンは膜に包まれているため、一酸化窒素の吸収は穏やかです。

エリスロマーは動物実験で一定の成果を上げており、マウスの血液の70%をエリスロマーで置き換える試験では効果的に酸素を供給することが実証されました。また、ウサギの血液の半分を抜き取った実験でも、エリスロマーを注入すると本物の血液と同様にウサギが蘇生することが確かめられました。

ドクター氏らのチームは、DARPAの助成金が終了する2028年ごろをめどに、健康な人間を対象としたエリスロマーの初期安全性試験を実施したいと考えています。

ドクター氏はScienceに「すべての人に提供できる量のO型Rhマイナスの血液はありません。保存可能で、誰にでも使える血液が必要なのです」と話しました。

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