■五輪はテロ組織の格好のターゲット。 | タマちゃんの暇つぶし

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MAG2 NEWS:五輪はテロ組織の格好のターゲット。パリオリンピックでテロの標的となりうる国の名2024.06.26より転載します。
 
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https://www.mag2.com/p/news/602298
 
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7月26日に幕を開けるパリ五輪。国際情勢は近年にないほどの緊張状態となっていますが、「平和の祭典」は全17日間の日程を無事に乗り切ることができるのでしょうか。安全保障や危機管理に詳しいアッズーリさんは今回、これまでの五輪の会期中に発生した事件を振り返るとともに、今夏のオリンピックで想定されるテロについて考察。その標的となりうる国、さらに国家ぐるみでテロを企てる可能性のある国の具体名を挙げています。

かつてはイスラエル選手ら11名殺害事件も。パリ五輪でテロは大丈夫か

ドイツでは現在、サッカーの欧州ナンバー1を決めるEURO2024が行われており、各試合は各国のサポーターでほぼ満員御礼となり、日本でもサッカーファンは眠れない夜を過ごしている。しかし、サッカースタジアムの外ではテロを警戒する治安部隊が厳重な警備体制を敷き、非常に緊張感が漂っている。最近もアフガニスタンを拠点とするイスラム国ホラサン州のメンバーとみられる男が逮捕されている。

そして、EURO2024の終わりと同時に開催されるのがパリ五輪だが、パリ五輪においてテロは潜在的ではなく現実的なリスクだろう。治安当局がテロ対策を怠れば、テロは高い確率で考えられよう。過去を振り返っても、オリンピックはテロ組織の格好のターゲットになってきた。

1972年のミュンヘン五輪では9月5日、パレスチナ武装組織「黒い九月」が選手村のイスラエル宿舎を襲撃し、人質を獲って立て籠り、イスラエル選手ら11名が殺害された。1996年アトランタ五輪では7月27日、アトランタの五輪百周年記念公園で仕掛けられた爆弾が爆発し、1名死亡、100人以上が負傷し、白人至上主義の男が逮捕された。2008年の北京五輪の時には、中国からの分離独立を掲げ、新疆ウイグル自治区を拠点とする東トルキスタンイスラム運動の活動が活発化し、雲南省昆明市では16人が死傷するバス連続爆破事件が発生した。

2012年のロンドン五輪では幸いにもテロは発生しなかったが、スペイン・ジブラルタルでは五輪をパブリックビューイングしていた人々を狙ったテロ未遂事件が発覚し、チェチェン人2人、トルコ人1人が逮捕された。2014年のソチ五輪でもロシア当局が厳重な警備体制を敷いたことからテロは起こらなかったが、その直前には南部ボルゴグラードなどで繰り返しテロ事件が発生し、ロシア南部のイスラム過激派の活動が活発化した。2016年のリオデジャネイロ五輪でも開催期間中テロは起こらなかったが、イスラム国の過激思想の影響を受けたとされる地元の若者らが逮捕され、イスラム国のメンバーと連絡をとり、テロを計画していたとされるレバノン系ブラジル人がオリンピック開幕直前に逮捕された。

懸念されるイスラエルを標的としたテロの発生

では、今回のパリ五輪ではどのようなテロが想定されるのか。1つは、イスラエルを狙ったテロだ。昨年10月以降、イスラエルとパレスチナ自治区を実行支配するイスラム主義組織ハマスなどとの間では戦闘がエスカレートしているが、イスラエルはガザ地区への容赦のない攻撃を続け、一般市民の死亡者数は3万人を超えている。それによってイスラエルへの風当たりが強くなり、イエメンやレバノン、シリアやイラクなどに点在するイラン系の武装勢力は反イスラエル的な闘争をエスカレートさせている。

過去にはブルガリアやジョージア、インドやタイ、アルゼンチンなど各国でイスラエル権益を狙ったテロが発生、もしくは未遂事件が明らかとなっており、レバノンのイラン系武装勢力ヒズボラの関与などが指摘される。また、ドイツやオランダなどではハマスのメンバーや関係者らがユダヤ教のシナゴーグなどを狙ったテロを計画していたとして逮捕されており、パリ五輪においてはイスラエルを狙ったテロが最大の懸念と言えよう。パリ五輪ではサッカー日本代表が7月30日にイスラエル代表と対戦することになっているが、極めて注意が必要だろう。

また、今年1月にイラン、今年3月にロシアで大規模なテロを実行したイスラム国ホラサン州の動向も懸念されよう。イラクとシリアで活動するイスラム国の本体は既に弱体化しているが、アフガニスタンを拠点とするイスラム国ホラサン州は海外でのテロ活動を活発化させている。ドイツやオランダ、オーストリアなど欧州ではこの組織のメンバーらが相次いで逮捕されており、フランス当局もこの組織によるテロを極めて警戒している。ロシアのテロ直後、フランスではテロ警戒水準が最高レベルに引き上げられ、開会式が近づくにつれパリは緊張感が強く漂うことになる。

排除できないロシアが国家ぐるみでテロを企てるリスク

一方、可能性としてはそれほど高くはないが、ウクライナ戦争で欧米と対立するロシアが国家絡みでテロを企てるリスクも考えられよう。マクロン大統領はウクライナへの派兵を示唆する言動を繰り返しており、ロシアとフランスの関係は極めて悪化しており、ロシアが国家絡みで物理的な暴力行為に出る恐れもフランス当局は考えていることだろう。無論、サイバー攻撃などの非物理的な手段は考えるまでもなく実行されよう。

オリンピックは平和の祭典であり、オリンピックでテロなどは起こってはならない。しかし、過去のオリンピックでの出来事、そして今日の国際情勢に照らせば、上述のようなリスクが現実的なものとしてあると言わざるを得ない。

image by: HJBC / Shutterstock.com

アッズーリ


専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

 

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