カラパイア:有名な古代ローマの浴場の温泉水には本当に治癒効果があったことが判明 2024年06月15日より転載します。
貼り付け開始、
https://karapaia.com/archives/52332511.html
![バースの古代ローマ浴場のお湯に治癒効果があることが判明](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/4/e/4e8562f8.jpg)
イギリスの都市バースには、有名な古代ローマの公衆浴場があったことで知られている。この温泉水の浴場はローマ人が英国に上陸して作ったもので、関節の痛みを和らげ、治癒効果をもたらすと長年信じられてきた。
そしてそれは本当だったようだ。プリマス大学の新たな研究によって、ここの温泉水が単なるリラックス効果だけではなく、実際に病気を治す効力もあることが判明したようだ。
温泉水中の微生物が作りだすそれらの化合物が、大腸菌、黄色ブドウ球菌、赤痢菌など、人類がもっとも恐れる極小の敵に対抗するのに強力な助っ人となりえることが明らかになったのだ。
これら抗菌性物質を大量に採取できれば、医薬品に活用することができ、抗菌薬耐性(AMR)の問題を解決できる可能性がある。
AMRとは、同じ抗菌薬を繰り返し使っていると、微生物が耐性を持ってしまい、薬が効かなくなるという困った現象だ。
抗菌薬耐性は、もっとも重大な脅威のひとつとして認識されていて、新たな抗菌性物質の開発が急務になっている。
この研究は、バースのローマ浴場の温泉水の中にいる微生物が、新たな光明になりえることを明らかにした。
photo by iStock
漫画や映画「テルマエ・ロマエ」を見た人なら知っていると思うが、ローマ人は日本人に負けないくらい温泉好きで、帝国が次々と領土を広げていた時代、占領した先々で故国のこの習慣を持ち込んだ。
そして、2000年近くたった今、彼らに先見の明があったことが科学的に証明されたのだ。
「ローマ浴場の水には薬効があるとは昔から言われていましたが、現代科学のおかげでローマ人が正しかったことが証明されるかもしれないというわけです」
研究チームのリー・ハット博士は述べている。
研究チームは、バースの浴場内にある水温が蒸気で45℃に達するキングス・スプリングや、30℃以下のグレート・バスなど、さまざまなローマ風呂から水、堆積物、生物膜のサンプルを採取した。
ローマ風呂のレイアウト / image credit:Fina et al./The Microbe
ちなみに、バースの浴場の地下から湧き出る地下水は、石灰岩の帯水層を通じて地熱エネルギーが水温を69℃から96℃にまで上げる2700~4300mの深さまで浸透する。
加圧された温水は石灰岩の亀裂や断層に沿って地表まで上昇し、46℃の温水が断層を通じて大量に湧き出てくるという。
サンプルから合計およそ300の異なる微生物を特定することができ、このうち少なくとも15種は人に害を及ぼす病原菌の広がりを阻止することができる可能性を持つことをつきとめた。
これらの有望な微生物には、高温の水でもっとも繁殖するものもあれば、逆に低温で活発になるものもあり、有益な生命体の多様性がうかがえる。
もちろん、こうした微生物を見つけただけでは人間のためには役に立たない。これらを培養して医薬品にするためにはまだまださまざまなハードルがある。
だがもっとも興味深いのは、こうした"善玉"微生物はこれまで抗生物質の製造に使われたことがないため、大腸菌のような"悪玉"微生物は耐性がないということだ。つまり大腸菌を退治できるということになる。
これは極めて重要なことだ。現在、世界中で年間およそ125万人が薬剤耐性ができてしまった微生物が引き起こす病によって命を落としていると推定されている。
AMRのような薬物耐性は現実的な喫緊の懸案事項になっているのだ。
2000年近くの間、人々はバースを訪れ、温泉の恩恵を受けてきた。
人間だけでなくカピバラからニホンザルなど野生動物までもが入浴や飲泉などで温泉を活用するのは、ただ気持ちがいいという感情的なものだけでなく、地球の恵みであるその効力を本能的に体でわかっていたからなのかもしれない。
この研究は『The Microbe』誌(2024年6月3日付)に掲載された。
References:Could the Roman Baths help scientists counter the challenge of antibiotic resistance? - University of Plymouth / Could the world famous Roman Baths help scientists counter the challenge of antibiotic resistance? | ScienceDaily / written by konohazuku / edited by / parumo
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イタリア・トスカーナの温泉で発見された2300年前の24体のブロンズ像
貼り付け終わり、
https://karapaia.com/archives/52332511.html
![バースの古代ローマ浴場のお湯に治癒効果があることが判明](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/4/e/4e8562f8.jpg)
イギリスの都市バースには、有名な古代ローマの公衆浴場があったことで知られている。この温泉水の浴場はローマ人が英国に上陸して作ったもので、関節の痛みを和らげ、治癒効果をもたらすと長年信じられてきた。
そしてそれは本当だったようだ。プリマス大学の新たな研究によって、ここの温泉水が単なるリラックス効果だけではなく、実際に病気を治す効力もあることが判明したようだ。
温泉水の中の微生物が抗菌化合物を生成
英プリマス大学の研究者たちが、サマセット州バースにある古代ローマの遺跡「ローマン・バス」の浴場の温泉水の中にいる微生物のうち少なくとも15種類が抗菌化合物を生成していることを発見した。温泉水中の微生物が作りだすそれらの化合物が、大腸菌、黄色ブドウ球菌、赤痢菌など、人類がもっとも恐れる極小の敵に対抗するのに強力な助っ人となりえることが明らかになったのだ。
これら抗菌性物質を大量に採取できれば、医薬品に活用することができ、抗菌薬耐性(AMR)の問題を解決できる可能性がある。
AMRとは、同じ抗菌薬を繰り返し使っていると、微生物が耐性を持ってしまい、薬が効かなくなるという困った現象だ。
抗菌薬耐性は、もっとも重大な脅威のひとつとして認識されていて、新たな抗菌性物質の開発が急務になっている。
この研究は、バースのローマ浴場の温泉水の中にいる微生物が、新たな光明になりえることを明らかにした。
![2](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/7/6/760f2cc5.jpg)
癒しの水は本当に効果があった
ローマ人が作った浴場は、英国だけでなくスペイン、オーストリア、クロアチア、レバノンなどにもある。漫画や映画「テルマエ・ロマエ」を見た人なら知っていると思うが、ローマ人は日本人に負けないくらい温泉好きで、帝国が次々と領土を広げていた時代、占領した先々で故国のこの習慣を持ち込んだ。
そして、2000年近くたった今、彼らに先見の明があったことが科学的に証明されたのだ。
「ローマ浴場の水には薬効があるとは昔から言われていましたが、現代科学のおかげでローマ人が正しかったことが証明されるかもしれないというわけです」
研究チームのリー・ハット博士は述べている。
研究チームは、バースの浴場内にある水温が蒸気で45℃に達するキングス・スプリングや、30℃以下のグレート・バスなど、さまざまなローマ風呂から水、堆積物、生物膜のサンプルを採取した。
![1](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/b/8/b87fd8af.jpg)
ちなみに、バースの浴場の地下から湧き出る地下水は、石灰岩の帯水層を通じて地熱エネルギーが水温を69℃から96℃にまで上げる2700~4300mの深さまで浸透する。
加圧された温水は石灰岩の亀裂や断層に沿って地表まで上昇し、46℃の温水が断層を通じて大量に湧き出てくるという。
人間の健康に良い善玉微生物を発見
研究チームは、最先端の遺伝子配列解析技術と伝統的な細菌培養を組み合わせて、抗菌特性をもつ微生物を分離した。サンプルから合計およそ300の異なる微生物を特定することができ、このうち少なくとも15種は人に害を及ぼす病原菌の広がりを阻止することができる可能性を持つことをつきとめた。
これらの有望な微生物には、高温の水でもっとも繁殖するものもあれば、逆に低温で活発になるものもあり、有益な生命体の多様性がうかがえる。
もちろん、こうした微生物を見つけただけでは人間のためには役に立たない。これらを培養して医薬品にするためにはまだまださまざまなハードルがある。
だがもっとも興味深いのは、こうした"善玉"微生物はこれまで抗生物質の製造に使われたことがないため、大腸菌のような"悪玉"微生物は耐性がないということだ。つまり大腸菌を退治できるということになる。
これは極めて重要なことだ。現在、世界中で年間およそ125万人が薬剤耐性ができてしまった微生物が引き起こす病によって命を落としていると推定されている。
AMRのような薬物耐性は現実的な喫緊の懸案事項になっているのだ。
2000年近くの間、人々はバースを訪れ、温泉の恩恵を受けてきた。
人間だけでなくカピバラからニホンザルなど野生動物までもが入浴や飲泉などで温泉を活用するのは、ただ気持ちがいいという感情的なものだけでなく、地球の恵みであるその効力を本能的に体でわかっていたからなのかもしれない。
この研究は『The Microbe』誌(2024年6月3日付)に掲載された。
References:Could the Roman Baths help scientists counter the challenge of antibiotic resistance? - University of Plymouth / Could the world famous Roman Baths help scientists counter the challenge of antibiotic resistance? | ScienceDaily / written by konohazuku / edited by / parumo
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貼り付け終わり、