■プーチンが核兵器を使う可能性は「ある」。 | タマちゃんの暇つぶし

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MAG2 NEWS:プーチンが核兵器を使う可能性は「ある」。元ロシア在住ジャーナリストが予測する独裁者の“非合理的決断”2024.06.12より転載します。
 
貼り付け開始、

https://www.mag2.com/p/news/601172
 
Yerevan,,Armenia,-,1,October,2019:,Russian,President,Vladimir,Putin
 

自国が提供した兵器によるロシア領内への攻撃を許可した一部の欧米諸国。その動きにプーチン大統領が敏感に反応し、またも核による威嚇を口にし始めています。はたしてロシアはこの先、核兵器使用に踏み切ってしまうのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、その可能性を考察。「戦術脳」であるプーチン氏が合理的とは言えない行動に出ることも十分にあり得るとの見方を記しています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:プーチンは核兵器を使うか?

プーチンは本当に核兵器を使う気なのか?元ロシア在住のジャーナリストが解説

全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!北野です。

プーチンがまた、「核兵器」で恫喝しています。「ロイター」6月6日付。「ロシアが核使わないとの想定は誤りとプーチン氏、外国メディアと対話」。

ロシアのプーチン大統領は5日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで外国メディアの上級編集者らと対話を行い、ロシアが核兵器を使用しないと西側諸国が想定するのは間違いだと述べ、米国とその同盟国を射程圏内に通常型ミサイルを配備することを検討していると語った。

ウクライナを巡り核戦争のリスクがあるかとロイターから問われ、「何らかの理由で、西側諸国はロシアが核兵器を使用することはないと信じている」と指摘。

ここでプーチンは、要するに「ロシアが核兵器を使用する可能性がある」と言っています。では、どんな時にプーチンは、核兵器を使うのでしょうか?

「われわれには核ドクトリンがある。ロシアの主権と領土の一体性が脅かされれば、あらゆる手段を行使することが可能と考えている。これを軽々しく、表面的に受け止めるべきではない」と述べた。
(同上)

「ロシアの主権と領土の一体性が脅かされれば、あらゆる手段を行使する」

つまり、「核兵器を使える」ということでしょう。

ところで、「ロシアの主権と領土の一体性が脅かされる」とはどういうことでしょうか?

皆さんご存知のように、ウクライナは、ロシアから領土を奪うつもりはありません。それで、プーチンが核兵器を使うような事態にはならないのでしょうか?

問題は、プーチンがウクライナに侵略して奪った、クリミア、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、へルソン州です(@4州のうち、ロシアが州全土を支配できているのは、ルガンスク州だけ)。ロシアは、これらの地域を併合しています。だから、ロシア側から見ると、これらの地域は「ロシア領」である。

ウクライナは、勝手に強奪されたこれらの地域奪還を目指して日々戦っている。もしウクライナが、クリミアでロシア軍に勝利し、奪還に成功したらどうなるのでしょうか?プーチンは、「ロシア領土の一体性が脅かされた」として、核を使うのでしょうか?

これ、誰にもわからないのです。おそらく、プーチン自身もわからないのです。そして、ウクライナを支援する欧米も、はっきりはわかりません。

欧米の指導者たちは、「プーチンは、核兵器(特に戦術核)を使うかもしれない」と考えています。それでどういうことが起こっているかというと、「ウクライナ支援が小出しでダラダラしている」のです。なぜかというと、「プーチンが核を使う『レッドライン』がよくわからないから」です。

米議会がウクライナ支援の緊急予算案を可決した背景

振り返ってみましょう。2022年2月24日、プーチンはウクライナ侵攻命令を出しました。そして、ロシア軍は、ウクライナの首都キーウに向けて進軍しました。これは、プーチンが、首都キーウ占領、ゼレンスキー政権打倒、ウクライナ全土支配を目指していたことの証拠です。

もし、プーチンの目標が、「迫害されているルガンスク、ドネツクのロシア系住民を守ること」であれば、ロシア軍はルガンスク、ドネツクに入り、防衛線を構築すればそれで終わりです。ところが、プーチンは、「首都占領」を目指したのです。

ところが、ウクライナ軍は、ロシア軍を撃退し、首都攻防戦に勝利しました。この時、主につかわれていたのは、トルコ製のドローン「バイラクタル」と、歩兵携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」でした。ロシア軍は敗退し、その後侵略初期に占領した、東部ルガンスク、ドネツク、南部ザポリージャ、へルソンに戦場を移しました。

しかし、欧米は、一貫してウクライナ支援に積極的ではありませんでした。ゼレンスキーはその後、「都市を防衛するためにパトリオットミサイルが必要だ!」「反転攻勢に戦車が必要だ!」「航空優勢を確保するためには、戦闘機が必要だ!」などと、繰り返し繰り返し訴えることで、一歩一歩支援を勝ち取ってきました。

なぜ、欧米は支援に積極的ではないのでしょうか?繰り返しになりますが、「プーチンをあまり追い込むと、戦術核を使ってくるかもしれない」と恐れているのです。レッドラインがわからないので、「これをやっても核を使わないかな?」「ここまでは大丈夫かな?」と、動きがゆっくりになります。そして、武器支援がどうしても「小出し」になってしまうのです。

このことは、ウクライナ軍に致命的ともいえる打撃を与えました。どういうことでしょうか?

2023年4月、ウクライナ軍に「反転攻勢」のチャンスが訪れました。米軍は、「すぐ反転攻勢しろ!」とアドバイスした。ところが、ウクライナ軍は、「武器が不足している。欧米から十分な支援が届くまで待つ」と開始を遅らせました。

ゼレンスキーが「反転攻勢開始」を宣言したのは、2か月後の6月に入ってからです。この2か月間に、ロシア軍は、地雷原をつくり、塹壕を掘り、強固な防衛線をつくることに成功したのです。結果、ウクライナの反転攻勢は失敗しました。

その後、2023年10月に「イスラエル―ハマス戦争」が勃発。アメリカの目は、ウクライナではなく、中東に向くようになりました。そして、(トランプの影響下にある共和党が過半数を占める)アメリカ下院が、さらなるウクライナ支援を許さなかった。結果、ウクライナは、武器弾薬不足になり、ロシア軍が優勢になっていったのです。

そうこうしているうちに、ロシア軍は、ルガンスク州、ドネツク州の北に隣接するハルキウ州を猛攻するようになっていきました。そして、CIAのバーンズ長官は、「ウクライナは年内に負ける可能性が高い」と断言するようになったのです。「産経新聞」4月19日付。

米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は18日、ロシアの侵攻が長期化するウクライナに米国が軍事支援をしなければ「年末までに敗北する危険性が非常に高い」と述べた。南部テキサス州ダラスでの会合で語った。

4月20日、アメリカ下院は、9兆4,000億円のウクライナ支援の緊急予算案を可決しました。そして、最近は、「我々が提供した武器で、ロシア領内の軍事施設を攻撃することを許可する」という流れになってきました。これまで、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカなどが認めています。プーチンが、また核による恫喝を繰り返しているのは、これが原因なのです。

非合理的な行動を繰り返す「戦術脳」プーチン

さて、プーチンは、核兵器を使うのでしょうか?はっきりわかりませんが、私は「ありえる」と考えています。

「ありえない」という人は、「プーチンはそんなバカなことをしない」とか、「合理的ではない」などと言います。そういう人は、2022年2月23日の時点でも、「プーチンはウクライナ侵攻を決断しない」なぜなら、「合理的ではないから」などと言っていたことでしょう。

私は2021年12月時点で、「プーチンがウクライナ侵攻を決断することは『あり得る』」と言っていました。なぜでしょうか?プーチンは、大統領になってから、戦争ばかりしてきた男です。

  • 第2次チェチェン戦争
  • ロシアージョージア戦争
  • クリミア併合
  • ウクライナ内戦介入
  • シリア内戦介入
  • IS空爆

など。そして、戦争をするたび、プーチンの支持率は上がるのです。

私は、2022年2月24日の前、二つの事を主張してきました。一つは、プーチンがウクライナ侵攻を決断する可能性がある。二つ目は、プーチンがウクライナ侵攻を決断すれば、ウクライナとの戦闘に勝つ負けるにかかわらず、【 戦略的敗北 】は【 不可避 】である。そして、いずれもそうなりました。

■ロシアは、国際的に孤立しました

国連総会で、ロシアの侵略を非難した国は141か国。ロシアの侵略を支持した国は、北朝鮮、ベラルーシ、シリア、エリトリア、「ならず者国家」4か国だけだった。

■プーチンに、国際刑事裁判所から逮捕状が出されました

彼は国際社会で、オフィシャルな「戦争犯罪容疑者」になってしまったのです。

■プーチンは、「NATO拡大を阻止する!」ためにウクライナに侵攻し、逆にNATOを拡大させてしまいましたこれまで長年中立国だったフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟してしまった。

■プーチンは、「旧ソ連国の盟主」の立場を失いました

ウクライナ、モルドバ、ジョージアが「EU加盟申請」を行いました。アルメニアは、ロシア中心の軍事同盟CSTOから脱退する意向です。中央アジア諸国(カザフスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン)は、ロシアの勢力圏から離れ、中国と「運命共同体」をつくることで合意しました。

■プーチンは、最大顧客だった欧州市場を失いました

欧州は、ロシアの石油、石炭、天然ガスをほとんど輸入しなくなりました。

■ロシアは、SWIFTから排除され、ドル圏、ユーロ圏から追い出されました

■そして、ロシアは欧州向けの石油、ガスを中国に【 人民元 】で輸出するしかなくなりました

■結果、ロシアは、中国の【 属国 】に成り下がったのです

一部ですが、これらすべてが、ロシアの【 戦略的敗北 】です。

私は何が言いたいのか?

プーチンが核兵器を使うのは、確かに「合理的」ではありません。ですが、【 戦略的敗北 】することがわからずウクライナに侵攻することは「合理的」ですか?そう、【 戦術脳 】の彼は、【 非合理的 】なことをするのです。だから、プーチンが「核兵器を使う可能性」はあるのです。そのことがわかっているから、欧米の指導者たちは、常にウクライナ支援に「及び腰」なのです。

もちろん私は、核兵器が使われないまま、この戦争が終わることを、心の底から願っています。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2024年6月8日号より一部抜粋)

image by:  Asatur Yesayants / Shutterstock.com

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