■誰がウソをついているのか。横田めぐみさんの「歯」に関する発言を「救う会」会長が慌てて取り消した | タマちゃんの暇つぶし

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MAG2 NEWS:誰がウソをついているのか。横田めぐみさんの「歯」に関する発言を「救う会」会長が慌てて取り消したウラ事情2024.06.11より転載します。
 
貼り付け開始、

https://www.mag2.com/p/news/601063
 
ay20240610
 

先日掲載の記事でもお伝えした、北朝鮮から日本政府に提供された「骨壺」内に横田めぐみさんの「歯」が含まれていたという情報。このめぐみさんのものと見られる歯をめぐり、新たな騒動が巻き起こっていました。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』では北朝鮮の拉致問題と真正面から対峙してきたジャーナリストの有田芳生さんが、「救う会」会長が集会で口にしためぐみさんの歯に関する発言を大慌てで訂正した理由を詳しく紹介しています。

【関連】「横田めぐみさんの歯」とカルテが一致。警察が極秘扱いする北朝鮮から提供された拉致被害者の「歯」を巡る情報

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:日朝首脳会談は実現するのか 横田めぐみさんの「歯」をめぐる大混乱(中)

慌てて発言を取り消した謎。「横田めぐみさんの歯」をめぐり起きていた新たな騒動

日朝首脳会談は実現するのか 横田めぐみさんの「歯」をめぐる大混乱(中)

北朝鮮が日本政府との接触さえ拒否したにも関わらず、岸田文雄総理は政権浮揚の目的で、いまだ今夏の首脳会談を諦めていない。

6月6日から7日にモンゴル外務省で行われた「北東アジアの安全保障問題」を議論する「ウランバートル対話」に外務省から北東アジア課第2課長(北朝鮮に関する外交を担当)と大使館員が参加した。昨年と同じく北朝鮮からの出席はなかった。岸田総理は、もし北朝鮮からの参加があれば局長級の派遣を予定していた。その思惑が外れたため、岸田総理は8月にモンゴルを訪問する計画を立てている。北朝鮮との関係が深いウフナーギーン・フレルスフ大統領に仲介を依頼し、できればモンゴル在住の朝鮮労働党関係者と日本の実務者との接触を図りたいのだ。

裏金問題などで低下した支持率から劇的に回復を実現するための日朝首脳会談カードだが、2回目の小泉訪朝から20年間、首脳会談が行われなかった歴史を振り返っても、あまりに認識が甘い。アメリカや韓国に拉致問題の解決への協力を依頼しても、実際には何の動きもなかった。こんどはモンゴルだ。最大の問題は岸田政権が政策的変更を行うしかないのだが、その課題と現状については次号で詳述する。

横田めぐみさんの「歯」が関係者の間で波紋を呼んでいる。2004年に北朝鮮から日本政府に渡された「骨壷」に焼かれた骨といっしょに歯が入っていたという問題だ。これは日本テレビの福澤真由美さんが『北朝鮮拉致問題の解決』(岩波書店)に書き、『毎日新聞』が報じたので広く知られることになった。拉致問題解決に取り組む「家族会」「救う会」は、日本テレビの取材を拒否、福澤証言を公開するのを日本テレビが認めたのかを問うたという。

混乱したのは西岡力「救う会」会長だった。5月30日夜に文京区民センターで行った集会で、約40分にわたり横田めぐみさんの「歯」などの報道について批判的に発言した。西岡会長自身は「歯のことは知らなかった」という。そのうえで横田早紀江さんに電話したときの会話を次のように詳細に語った。

早紀江さんに電話したら、「歯があったことは最初から聞いてました。でも、それは死亡の証拠と何の関係もないので、あらためて説明したいと言われましたけど、いらないと言ったんです。めぐみはたくさん虫歯が多かったんですからね」。

私もいろいろ取材しましたが、まず、歯が入っていたことはどうも事実のようです。入ってていいわけですから。それはめぐみさんだと断定出来るような情報はない。めぐみさんは虫歯が多かったから、出てきたカルテの中に歯の治療の情報があったんです。早紀江さんは「それはそうでしょう」と、「日本にいたときから虫歯がたくさんありました」と。虫歯の治療でもし歯の1本を抜いたとしたって、いつの間にか遺骨の中に入っていただけのことで、死んだ証拠でもなんでもならないし、その歯がめぐみさんのものだと証明されていない、というのは、私が取材で聞きました。

まったく説得力がない「救う会」会長の訂正文書

この集会は18時半から20時半まで行われ、西岡発言も「救う会」のHPですぐに公開された。ところが──。西岡発言は間違いだったというのだ。「救う会」は「訂正」という表現でこんな文書を掲載した。

■東京連続集会西岡発言訂正

本日令和6年5月30日に都内で救う会東京連続集会が開催された。そこで、私、救う会西岡会長は一部の報道が、北朝鮮から提供された横田めぐみさんものだとされた偽遺骨と一緒にめぐみさんのものと思われる歯が入っていたと伝えていたことについて解説する中で、横田早紀江さんは偽遺骨が出てきた当初に政府から歯が入っていることについて説明受けていたと話した。しかし、早紀江さん本人に再確認したところ、そのような事実はないということが明らかになった。西岡発言のその部分を取り消します。なお、早紀江さんが歯の存在について知ったのは、一部の報道があったときだという。

まったく説得力がない。何があったのか。福澤証言にあるように横田めぐみさんの「歯」については、日本政府関係者で、しかも膨大なめぐみさんのカルテを翻訳した人物から取材したものだ。しかも西岡発言は否定したが、カルテと「歯」は一致したという。ただし警察関係者は「歯の存在」を否定してきた。ところが横田早紀江さんは当時から知らされていたと語ったのだった。

西岡発言に慌てたのは警察庁や警視庁からの出向が多い内閣情報調査室だった。これまで20年間にわたって隠してきた事実を間接的にではあっても横田早紀江さんが認めたことが問題になったのだ。西岡力「救う会」会長が大慌てで「訂正」した理由である。ところが「訂正」が行われた時点では、まだ動画は削除されていなかった。はからずも福澤真由美さんの取材が正しかったことを補強してしまったのだ。

横田滋さんが2020年6月5日に亡くなって4年。それをきっかけに開かれた会見のなかで横田早紀江さんは「何でもいいから明らかにしてほしい」とも語っていた。私も同じ言葉を何度も直接に聞いてきた。その思いの背景には何か隠されているのではないかとの疑念がある。(次号に続く)

死文化してしまったストックホルム合意

資料

日朝のストックホルム合意(2014年5月)から10年。共同通信が配信した記事をご紹介します。とくに横田滋さん、早紀江さんとめぐみさんの娘キム・ウンギョンさんとのメッセージ交換を仲立ちしていたことのエッセンスを初めて語りました。

進まぬ拉致問題 ストックホルム合意10年

平壌宣言の精神に戻れ 一歩ずつでも前進大事 有田芳生

─合意から10年。どのように受け止めるか。

「2014年3月に、拉致被害者横田めぐみさんの両親の滋さん、早紀江さん夫妻と、めぐみさんの娘キム・ウンギョンさん夫妻との面会がモンゴル・ウランバートルで実現した。こうした人道的課題が進んだ環境の下で成立した合意だった。福田政権から民主党の野田政権まで積み上げてきた下地があった。進展を期待したが何も動かず、北朝鮮が核・ミサイル開発にまい進し、安倍政権が圧力を強化する中で死文化してしまった」

─進展する可能性はあっただろうか。

「北朝鮮が用意していた調査報告書を日本が受け取っていれば、可能性はあったのではないか。日本は、受け取った上で内容を徹底的に検証して問題点を突き付け、必要ならば調査のために平壌に連絡事務所を設置するなど、一歩でも二歩でも進めればよかった」

「北朝鮮は合意の際に、拉致被害者の田中実さんと、拉致の疑いが拭えない金田龍光さんに関する生存情報を伝えていたと、当時の外務省幹部が今では認めている。安倍政権は全ての拉致被害者の帰国を掲げていたが、この2人の生存を確認するだけでも、政権にとっては成果だった」

─有田氏はストックホルム合意に関わった。

「民主党政権時代の12年10月に訪朝する前、ウンギョンさん夫妻の結婚記念写真を入手し、横田さん夫妻に渡した。安倍政権になってからも、メッセージを伝え合う動画のやりとりなどを手伝っているうちに、横田さん夫妻から『ウンギョンさんに会いたい』という思いを聞き、夫妻に当時の安倍晋三首相と岸田文雄外相に手紙を書くことを勧めた。安倍首相が『実現させましょう』と快諾し、外務省が動いた。13年10月末から11月のことだ」

「ただ、面会は実現したがその後は一度も会えていない。私は安倍首相に参院予算委員会などで何度も、定期的に面会できるよう取り組みを求めたが、首相が何かすることはなかった」

─ここにきて日朝間に動きが出てきている。

「岸田首相が昨年5月、金正恩朝鮮労働党総書記に、条件を付けずに首脳会談を行いたいと呼びかけ、今年1月には金総書記が元日に発生した能登半島地震に対する首相宛ての見舞いの電報を送った。首脳会談を実現するための水面下接触が進んだからだろう。しかし、妹の金与正党副部長が短期間に、首相の訪朝に言及する談話と交渉を拒否する談話を出した。北朝鮮の権力中枢で何か起きているのか、よく分からない」

─今後、日本はどうすればいいのか。

「報告書があるなら受け取り、『不幸な過去を清算し、懸案事項を解決する』とした日朝平壌宣言にもう一度立ち戻って、具体的な政策実現を進めるしかないのではないか。人道問題の観点から雰囲気をつくっていくことは、ストックホルム合意の教訓だと思う。幼児教育・保育や高校の無償化から朝鮮学校を除外しているのは差別であり、こうした問題を解決する必要もあるだろう」

※ 本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2024年6月7日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、初月無料の定期購読にご登録の上お楽しみください。このほか、1ヶ月単位でバックナンバーもご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。

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ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。


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