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厚生労働省によれば、介護職員の必要数は2025年度は243万人、2040年度は約280万人になるとしています。それに対して、2019年度の介護職員数は約211万人で、このままいけば2025年度は約32万人、2040年度は69万人の不足が予想されています。
筆者は、元・現当事者と専門職で構成されたケアラーひきこもり伴走支援団体「よしてよせての会」で代表を務めています。専門職の方々から介護現場の人手不足の原因の声を集約すると、以下が代表的なものになります。
・民間企業ではipadで会議をする会社が増えているが、介護業界でipadで会議する光景は見ず紙ベース。離職率が高い一因ではないか
・複数のヘルパーからいじめをうけ別の訪問介護事業所に転職しました
・8年間、特別養護老人ホームで働きましたが、よりキャリアアップがはっきりとした異業界に転職しました
以上も踏まえ介護業界で人手が足りなくなるのは、「人間関係のストレスが大きい」、「低賃金」、「キャリアアップが見えづらい」の3点があるように思います。
こうした状況において、神奈川県横浜市でパート介護士として勤務する「さかもとままる」さんは、介護業界の人材不足は多様な働き方の拡大で解消に近づく可能性をおおいに秘めていると言います。彼の半生とともに詳しく紹介していきます。
3000万円の借金を背負うものの何とか返済できたワケ
さかもとさんは、神奈川県在住、現在50歳でパート介護士として働いていますが、若い頃は主に飲食店や広告代理店、輸入業、IT企業などを起業し経営していました。
具体的にはサラリーマンを経験後、全くの未経験の状態からフレンチレストランを開業、24歳でマネジメントを4年ほど経験。しかし経営者としての実力があまりにも未熟で事業がうまくいかず、その後複数の事業に手を出すも失敗しました。背負った借金はいつの間にか3000万……。
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「毎月借金の返済に追いかけまわされ、死のうと思ったことが何度もあり精神的においつめられました。今思えば、かなり重い仕事を一番最初にはじめました。無謀でしたね。(笑)でも、自分にとってすごい勉強になりました」(さかもとさん)
ポジティブ思考のさかもとさんは、その後、イタリア料理や和食などのお店を展開する株式会社グローバルダイニングの社員を経験。
「(グローバルダイニングは当時は)1テーブル毎にウェイターがいて、10テーブルを担当できるウェイターと1テーブルしか担当できないウェイターがいるような、完全実力主義の社風でアルバイトが大半でした。優秀なウェイターは月100~200万ほど稼いでいましたね。一攫千金を夢見るも、あまりのハードワークに体を壊し一年も持たずに退職、ここでも挫折は続きました」(さかもとさん)
さかもとさんは借金返済のため、さらにチャレンジを続け、トライアンドエラーを重ねながら、東京でテイクアウト専門店、メイドカフェ、ホームページ、動画制作などインターネットのプロモーションを展開する事業に次々と着手。
そして、ついに30代後半でスマートフォンのアプリケーション開発をするIT企業の経営をはじめ、ビジネスが軌道にのって借金を全額返済しました。
「IT企業は会社の成長スピードが早かったです。スマートフォンのアプリ事業では、大手芸能・音楽事務所や行政とタイアップしたり、バイク会社と組んだりと多業種を担当しました。1日の中でも全く別業界の人達とどんどん話をしていくので、脳みそから煙が出るぐらい忙しかったです。
会社規模はどんどん大きくなって一気に事業案件も複数獲得できました。1日で打ち合わせが10件ある日がザラにありました」(さかもとさん)
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宝塚在住。「ヤングケアラー」、「就職氷河期ケアラー」、「ひきこもり」を経験。現在、介護・福祉担当ライター、関西経営管理協会講師、ケアラー・ひきこもり伴走支援団体「よしてよせての会」代表を務める。NHKおはよう日本、読売新聞などメディア多数出演。
著書『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』国際ソロプチミスト賞受賞者。
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