■第二の人生に選んだ「ラブホ清掃員」 | タマちゃんの暇つぶし

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日刊ゲンダイDIGITAL:65歳アルバイトの現実 第二の人生に選んだ「ラブホ清掃員」は体力勝負 厳しさに来なくなる人も… 公開日:2024/01/16 06:00より転載します。
 
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/334711
 

ラブホ清掃編(1)

(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
 
 昨年の夏、少し焦った。私は1959年生まれ。5年前に定年退職し、65歳まで会社に雇用延長してもらっているが、よくよく考えたら間もなく65歳の誕生日を迎える。雇用延長の期限が切れると想定できる収入はわずかな年金しかない。そこで慌てて転職サイトに登録し、第二の人生の仕事を探すことにした。

 とはいえ、この年で頭脳労働のデスクワークにありつけるはずもない。また、健康のために退職後は体を使う肉体労働を経験したいとも考えていた。思いついたのが清掃の仕事、ホテルの客室清掃のアルバイトだ。都内のホテルの客室清掃に応募した。

 2023年6月某日、スーツにネクタイの姿で先方のホテルを訪ねると、伊佐山氏(仮名)という作業服姿の男性スタッフが対応してくれた。ここで私は自分が勘違いしていることに気づいた。

 求人募集の文言に「レジャーホテルの清掃」とあったので、てっきりシティーホテルの清掃と思ったら、ラブホテルだったのだ。もちろん職業に貴賤はない。素直に面接に臨んだ。

 高校、大学の学歴及びこれまでの職歴を記した履歴書を持参したのだが、さらに面接前に先方が用意した経歴書に記入させられる。月曜から日曜までそれぞれの曜日の何時から何時まで勤務できるのかと聞いてくる。

 さらに自宅から最寄り駅までの略図まで描けという。何の意味があるのだろうか。とにかく注文が多い。面接したのはフロントの前の待合室だった。

 最初に伊佐山氏から言われたのは「この仕事は体力勝負」だった。掛け布団のカバーと敷布団のシーツをはがし、枕カバーを取り換えて床に掃除機をかけ、トイレと浴室の掃除をする。これを2人一組で20分以内に終了しなければならないという。

「全部で90室ほどです。一番混むのは金曜の夜から日曜の未明で客室の稼働率は90%以上。6時間勤務の場合、1人あたり20室ほど担当してもらうことになります。ただしノルマはなく、休憩は2時間ごとに15分です」

 8時間勤務の場合は2時間ごとに15分休んでもいいし、4時間働いて1時間休み、その後4時間働いてもかまわない。時給は昼間は東京都の最低賃金の1072円(6月当時)で、夜間は1340円に割り増しされる。交通費は出ない。

 伊佐山氏と30分ほど話したが、彼の説明が少しぶれていることが気になった。「スピーディーさが求められる体力勝負の仕事。厳しい現実を知って突然来なくなる人もいます」と言いながら、「でも60代の女性だって元気に働いていますから」としっかりフォローする。

「大変な仕事ですよ」と脅すことも必要だが、その一方で人手が足りない上に低賃金のため、応募者が諦めないようプラスの面も強調しているのだろう。

 ラブホである以上、従業員はそれなりのエチケットが求められるそうだ。カップル客と一緒にエレベーターに乗ってはいけない、廊下ですれ違うときは客の視界に入らないようにする。客の顔を見てはいけない……。一般のホテルも同様のルールがあるが、ラブホのほうが厳しいそうだ。

 面接を終えて駅に向かう途中、スマホに別のホテル数軒から面接の案内メッセージが届いていた。いずれもラブホテルだ。面白そうなので訪ねてみることにした。(つづく)

(林山翔平)
 
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65歳アルバイトの現実コロナ収束で客数が戻ったラブホテル「20分お待ちください」に我慢できない客公開日:2024/01/17 06:0003時59分37秒より転載します。

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/334779
 

ラブホ清掃編(2)

 
(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
 

 シティーホテルだと勘違いして求人サイトで応募したら、数軒から「面接にどうぞ」との連絡を受けた。いずれも都内のラブホテルである。

 2023年6月某日、スーツ&ネクタイ姿でその一軒を訪ねた。「面接に伺いました」とフロントに声をかけると、美人の受付嬢が「裏の事務所にどうぞ」と案内してくれた。面接場所は物置のような狭い事務所。面接担当は30代の江藤氏(仮名)。先日訪ねた別のラブホと同じく、「この仕事は体力勝負。体力に自信はありますか?」と質問された。

「大丈夫です」

「そうですか。でもけっこう動きますよ」

「そんなに忙しいんですか」

「コロナが収束し、お客さんが戻ってきましたからね。毎日4、5人態勢でやっても追いつかないことがあるんです」

「追いつかないとは?」

「お客さんが次々と来店するのに、客室の清掃が終わっていない。やむなく『あと20分お待ちください』とお願いするのですが、大抵の方が『だったら他のホテルに行くよ』と出て行ってしまいます」

 忙しい日の客室稼働率は80%で、スタッフを拡充してこの数字を100%に引き上げたいのがラブホ側の本音。だが働き手が集まらないという。

 客室の清掃は基本的に2人一組で行う。ベッドのシーツや枕カバーを換え、床に掃除機をかけ、トイレと浴室を掃除。2人だと10分でこの工程を終えなければならない。なかには他人と協調するのが苦手なため1人で作業したがるスタッフもいて、その場合は15~20分が目安だそうだ。

 忙しい原因は新型コロナ。当時は客数が減ったため清掃のバイトも減らした。コロナ収束で客数が戻ったが、人手不足で採用がままならない。江藤氏自身、休みは週に1日しか取れないという。

 ちなみに客の8割がデリヘル嬢などを呼ぶ風俗客。客と風俗嬢がトラブルになることもあるが、その場合はフロント係が対応するため、清掃のアルバイターが関知することはない。

 時給は6月時点で東京都の最低賃金だった1072円、夜間は25%増しになる。交通費は1日1000円まで支給され、足が出たら自分持ちだ。休憩は8時間勤務の場合、1時間休めるが、7時間以下だと休憩時間はない。入店して3カ月間は試用期間だ。

「何か私に聞きたいことはありますか?」と尋ねたら、「若い人とうまくやっていけますか?」と質問された。ラブホのバイトには無名のバンドマンなど音楽関係者が多く、ほとんどが20代。最初は彼らに仕事を教えてもらうことになるが、60代の男性は注意を受けた際にプライドが優先して「この若造が」と激高したりして、「大学にも行かず、バンドなどにうつつを抜かしおって」と叱りつけて人間関係がズタズタになる人もいるそうだ。

「面接で、年下の人に敬意を払えますかと聞くと、ほとんどの人が『大丈夫です』と答えるのですが、作業中に口ゲンカになり、翌日からポイと来なくなったりするんです。本当に大丈夫ですか?」

 何度も確認する江藤氏に「大丈夫です。若者が好きです」と答えたが、正直なところ自信はない。30も40も年下に文句を言われながら働く自分を想像する。 (つづく)

(林山翔平)
 
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