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アメリカ社会分断の象徴として、しばしば槍玉に挙げられるドナルド・トランプ氏。“独裁者”とも“悪夢”とも呼ばれる彼が共和党の指名争いを圧勝し、次期大統領の座を窺うまでに復権したのはなぜなのでしょうか?「そもそも米国の分断はトランプのせいではないし、分断の原因を分析するほどの難しい話でもない」と指摘するのは、メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』著者の大澤さんです。
あなたは「マヨルカス氏」を知っているか
米国の報道では頻出ながら、日本ではほとんど報道されない名前があります。
アレハンドロ・マヨルカス氏。米国の国土安全保障(ホームランドセキュリティ)長官です。
彼の弾劾訴追手続きが進んでいます。南部国境で起きている不法移民の急増に対応できていないからです。
弾劾訴追は、身分保障された官職にある者を、義務違反や非行などの事由で、議会の訴追によって罷免し処罰する手続きを指します。
共和党の支配する下院ではその手続きが進んでいます。政策問題で、閣僚が弾劾訴追手続きされるのは極めて異例です。
共和党を支持するFOXニュースは以下のように報じています。
水曜日の公聴会は、3年にわたる移民危機への対応を調査した下院の国土安全保障委員会による調査報告の後、最初の弾劾公聴会となる。
共和党は、先月だけで30万2000人の移民が出くわした歴史的な移民危機を、“キャッチ・アンド・リリース”と呼ばれる、国内への移民の解放を含む政策のせいだと非難している。
そして、不法移民の仮釈放の広範な使用、狭められたICE(移民関税執行局)の執行、壁建設の停止を、マヨルカス長官の義務違反問題として指摘している。
不法移民問題で米共和党と米民主党が激しい攻防
キャッチ・アンド・リリースは、捕まえた不法移民を裁判所に出廷することを条件に米国内に開放することです。共和党支持者は強く非難しており、トランプ支持の理由となっています。
それに対して、民主党系のニーヨークタイムズは以下のように反論しています。
共和党は、マヨルカス氏が弾劾訴追の基準である犯罪を犯したという証拠もなく、事実上、アメリカ国民を危険にさらすと主張する移民政策を理由に同氏を罷免しようとしている。
実際、弾劾訴追が成功する可能性は低いとされています。上院は民主党が多数派のためです。
こういった弾劾訴追や、いくつかのトランプ元大統領への訴訟は、大きく言えば今年11月の大統領選へ向けた政治的なショーの意味合いが大きいです。
共和党系は、大統領選の焦点を不法移民問題にもっていきたいと考えています。それでこのような弾劾訴追を行うのでしょう。
共和党系はここにメディアの焦点をあててほしいのです。
民主党系は、この問題に触れたくない、という立場です。
米国分断の原因はトランプではなく報道姿勢にあった
多くのマスコミは民主党系ですから、この不法移民問題に触れたくありません。
といっても実際、大きな問題になっていますから、最低限の報道をするという感じです。
この「不法移民問題については最低限の報道しかしない」というマスメディアの姿勢が、まさに米国の分断を生んでいる元凶です。
トランプのせいじゃありません。分断の原因を分析するほどの難しい話でもないです。
単に、多くの米国民がもっとも心配する事を、ボカして詳しく報道していないことが問題なのです。
それでも、米国では最低限の報道はされていますが、日本ではほとんどされていません。
もし読者の皆さんが、このホームランドセキュリティー長官の「マヨルカス」という名前を聞き慣れていないのなら、それが証拠の一つでしょう。
(この記事はメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』1月21日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)
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