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21日、ガザ地区の死者が2万5,000人を超えたと発表したパレスチナの保健当局。戦火は周辺地域にも拡大する様相を呈しており、ウクライナ戦争と同じく先が見通せない状況となっています。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、中東での戦争を世界に広げないために日本政府ができることを考察。さらにトランプ氏が再選した際に我が国はどう動くべきかについて解説しています。
露は画策、米は撤退、中東は拡大…紛争が続けば「ヨハネの黙示録」完結へ、これを阻止するには?
ガザでのハマス掃討も進み、次にガザの支配権をどうするかに議論が起こるようだ。アラブ諸国は、パレスチナ国家樹立に向けた「不可逆的」措置にイスラエルが同意するなら、サウジアラビアなどとの正常化を提案するという。この構想の一環として、ガザでの停戦とハマスに拘束されている人質の解放を実現する。
しかし、ネタニヤフ首相は「いかなるシナリオにおいてもパレスチナ国家の建設には反対」という。2国共存は望まないとして、この地域全体を支配するという。これに対して、バイデン大統領は「2国家共存」の考えを改めて強調した。
そして、イスラエル軍のハレビ参謀総長は17日、同国北隣のレバノンとの国境線で戦争が勃発する可能性が高くなっているとした。
これは、イスラエル領土を拡張しようとしていることであり、レバノン南部も支配下に置くようである。イスラエルは、領土拡張主義国になってしまったようである。
それと、ギリシャ船や米国船などが、紅海でミサイルを被弾したことで、米国は、フーシ派の対艦ミサイルなどを攻撃した。バイデン政権は、フーシ派を国際テロ組織に再指定したが、フーシ派との戦争は望まずという。しかし、フーシ派の紅海での攻撃は止まらない。
この上に、イランは16日、隣国パキスタン南西部バルチスタン州にある「テロリスト集団の拠点2か所」をミサイルと無人機で破壊したと報じた。イラク、シリアに続く周辺国への軍事行動となった。
一連の報復では、ラスクの警察署襲撃にイスラエルの対外情報機関モサドの関与も示唆し、その拠点としてイラク北部を攻撃した。敵対勢力への力による報復を誇示した。国内の不満解消で国民の目を外に向けるようである。
この攻撃に対して、パキスタンは、イランへの報復攻撃を開始した。パキスタン外務省は18日「イラン西部スィースターン・バルーチェスターン州にあるテロリストの隠れ家に対して精密攻撃を実施した」と発表。イラン国営メディアは「パキスタンの攻撃で民間人7名が死亡して複数人が負傷者した」と報じた。報復合戦になると、戦争になることもあり得る。
イスラエルとしては、アラブ諸国の一致を一番警戒しているので、シーア派とスンニ派の分断は、願っていることである。しかし、イスラエルのモサドが支援するテロ組織を攻撃しているようにも見える。このため、イランとパキスタンが互いの領土を攻撃したことを巡り、イランのアブドラヒアン外相とパキスタンのジラニ外相は19日に電話会談し、緊張緩和を図る方針で合意した。
戦争拡大防止の役割を果たす絶好の位置にいる日本
このような世界情勢で、上川外相は、今後のウクライナや中東情勢を協議するためにトルコのエルドアン大統領らと会談した。上川外相はイラン首脳とも会談しているし、ウクライナの首脳陣とも会談している。イスラエルの首脳とも会談して、日本はウクライナや中東の関係者の多くと会談していることになる。
日本はイスラエル寄りではないことで、中立的な位置にいる。その上、日本は、キリスト教文化でもなく、黙示録の影響を受けていないことで、戦争拡大防止の役割を果たす絶好の位置にいる。
聖書にあるヨハネの黙示録では、イスラエルに攻め込む国は、ロシア、トルコ、エジプト、イラン、イラク、シリア、イエメンである。この国々も徐々に形成してきている。
日本の役割は、中東戦争を世界戦争に広げずに、中東だけでの戦争にすることである。核戦争で地球の滅亡を避けることである。
トランプ氏が大統領になると、福音派は地球最終戦争をけしかけるので、上川外相を中心として、トランプ大統領に取り入り、中東戦争で戦争を止めて世界核戦争にしない方向で、日米が協力することである。日本は関係国全体との関係を持っているので、仲介できることが重要である。
中東戦争になったとき、ウクライナでの戦争を停戦にして、ロシアが中東で戦えるようにして、中東戦争が終わってから再度、ウクライナ戦争を始めればよいのである。ウ軍は戦闘体制を整える時間ができる。ロ軍は引き続き戦争の状態である。
戦争を始める必要がない北朝鮮と戦争を始められない中国
中国は、不動産バブル崩壊であるが、2024年の大型景気刺激策を否定した。その上に、中国から米国への輸出が極端に減っており、1年で13%も減少した。その上に2023年末の総人口は14億967万人と、前年から208万人も減少した。
このため、中国株の暴落が止まらないし、外国人投資家はほぼ撤退したようである。この中国が台湾武力統一しないように、日米は中国に対して、共同でけん制する必要がある。
また、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が韓国を「主敵」と位置付け、威嚇を強める中、米国の著名な専門家2人が「正恩氏は戦争への戦略的決断をした」とする論評した。
しかし、北朝鮮は100万発の砲弾やミサイルなどをロシアに提供しているので、戦争ができるようには見えない。継戦能力がない。
北朝鮮は、自分たちが弱いとみると、威嚇してくる。それと、トランプ大統領になれば、交渉できるとみているので、ここで戦争を始める必要がない。
トランプ氏が大統領になれば、交渉して、北朝鮮も核大国になり、自国の存立を確保するという目的は達するはずである。
問題は、中国が中東戦争と同時に戦争を始めないように、トランプ氏と習近平主席が会談をして、平和な状態を維持することである。
そして、中国は、防空にロシア製S-400であり、ウクライナ戦争の実績から性能が良くないことがわかり、防空面で大きな弱みを持っていることが、分かっている。ロシア製兵器を性能の良い中国製兵器に交換するまでは、戦争ができなように思う。
という意味では、トランプ氏が大統領になり、東アジアを中東や欧州での戦争の中で、平和ではないが、戦争なし状態にしていくことが望ましいことになる。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2024年1月22日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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