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カラパイア:植物が他の植物が発したメッセージを受け取る瞬間をとらえることに成功 2024年01月17日より転載します。
 
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植物が他の植物のメッセージを受け取る瞬間をとらえることに成功

 埼玉大学の植物学者チームが、植物が近くにいる仲間の植物からのメッセージを受け取って、それに反応する瞬間をリアルタイムで撮影することに成功したそうだ。

 メッセージとは植物の葉っぱをちぎった時にただよう青臭さの成分である化合物だ。

 植物がニオイのような化合物で、近くにいる仲間とコミュニケーションを交わし、害虫のような危険が迫っていることを知らせたりすることは以前から知られていた。

 今回の研究では、そのコミュニケーションの瞬間がリアルタイムで撮影され、植物がニオイによるメッセージをどのように受け取り、反応するかを明らかにしている。
 

植物同士のコミュニケーションを可視化

 じっと押し黙っているかのように思えて、植物は案外おしゃべりだ。彼らはニオイのような化合物を使って、お互いにコミュニケーションを交わしている。

 それはかなり以前から知られていたことなのだが、実際に植物のおしゃべりがリアルタイムで目撃されたことはない。

 そこで埼玉大学の豊田正嗣教授と大学院生の荒谷優里氏らは、その様子を可視化してみることにした。

 まずは容器の中にシシロイヌナズナの葉っぱとイモムシを入れる。イモムシが葉っぱを食べ出すと、葉っぱからその危険を伝えるニオイ(化合物)が放出される。このニオイをポンプでまた別のシロイヌナズナに吹きかけるてみた。
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匂い物質を感じた時に発生するシロイヌナズナのCa2+シグナルのリアルタイムイメージング
(左図)幼虫が葉を食べた時に発生する匂いをシロイヌナズナに吹きかける装置。
(右図)食害を受けた植物から放出される匂い(破線矢印)によって起こるCa2+シグナル(黄矢尻, 600, 1200秒) / 埼玉大学プレスリリース

 

他の植物のニオイを感知し反応する

 そのシロイヌナズナは特別製で、葉っぱの中をカルシウムイオン(さまざまな生物で神経伝達や筋肉の収縮などに使われる)が流れると、緑色の蛍光を発するよう遺伝子組換えで改造されたものだ。

 あとは、ポンプでニオイを吹きかけられたシロイヌナズナを高感度の蛍光イメージング技術で観察すればいい。

 その結果、シロイヌナズナは、自分の葉っぱがかじられたわけでもないのに、ポンプで流れてきたニオイを感知して、葉っぱ全体にカルシウムシグナルを広がらせていることがわかった。
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Aratani et al. Nature Communications, 2023

 こうした反応を通じて、シロイヌナズナは害虫への防御力を高めているようだ。
 

気孔からニオイを嗅ぎシグナルを発生

 ポンプで送られたニオイの分析からは、「(Z)-3-ヘキセナール」と「(E)-2-ヘキセナール」という化合物が、このカルシウムシグナル反応を発生させることがわかった。

 これは「青葉アルデヒド」と呼ばれる成分で、葉っぱをちぎった時に香る「青臭さ」の正体でもある。

 具体的にどの細胞がこのニオイに反応を起こしているのかも調べられている。

 それによると、どうやらシロイヌナズナは気孔からニオイを嗅ぎ、その中にある葉肉細胞などでカルシウムシグナルを発生させるらしいことが明らかになっている。

 青臭いニオイを感じたシロイヌナズナでは、孔辺細胞・葉肉細胞・表皮細胞の順でカルシウムシグナルが発生するのだ。
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シロイヌナズナにおける緑の香り感知Ca2+シグナル伝達モデル
緑の香り(黄色丸)が、シロイヌナズナの葉の内部に取り込まれ(赤矢印)、それぞれの細胞でCa2+シグナルを発生させる。 / image credit:埼玉大学プレスリリース


 孔辺細胞とは、植物が”呼吸”するための小さな孔(気孔)を作っている細胞で、状況に合わせて気孔の開け閉めをする役割がある。

 葉肉細胞は、葉っぱの内側にある細胞で、表皮細胞は葉っぱの一番外側のいわば皮膚を作り出す細胞だ。

 ちなみに気孔が閉じていると青臭さが漂ってもカルシウムシグナルが発生しなくなるとのこと。植物の奥深さが垣間見られる研究結果となったようだ。

 この研究は『Nature Communications』(2023年10月17日付)に掲載された。

References:植物が”匂い”を感じる瞬間の可視化に成功 -植物間コミュニケーションの解明に向けて大きく前進-(大学院理工学研究科 豊田正嗣教授) / Scientists Film Plant 'Talking' to Its Neighbor, And The Footage Is Incredible : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

追記(2023/01/17)本文の誤字を訂正して再送します。



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