カラパイア:ブラックホールがダークエネルギーの源であるという初の証拠を発見2023年02月20日より転載します。
貼り付け開始、
https://karapaia.com/archives/52320353.html
![ブラックホールがダークエネルギーの源である証拠を発見](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/d/5/d578732b.jpg)
宇宙の大部分を満たし、宇宙の膨張を加速していると考えられている不可思議な仮説上のエネルギー「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」の源は、じつはブラックホールだったという証拠がついに見つかったそうだ。
ハワイ大学を中心とする国際的研究チームは、90億年という宇宙の歴史を観察して、「宇宙結合(cosmological coupling)」の証拠を史上初めて観測することに成功した。
もし本当ならば現代宇宙論の大きな謎が解明されるだけでなく、ブラックホールについての理解自体ががらりと変わってしまう革命的な発見だというが、それはどういうことなのか?
宇宙は137億年前に起きたビッグバンによって誕生し、それ以来どんどんと大きく膨れ上がっている。
だがそれも永遠ではないと考えられる。あらゆる物質からは重力が発生している。それらが引き合うために、宇宙を誕生させた大爆発の力も弱まり、膨張はだんだんとゆっくりになり、いずれは収縮に転じるだろうからだ。
ところが1990年代、宇宙の膨張が遅くなるどころか、加速していることがわかったのだ。一体なぜなのか?
その謎を説明するために考案されたのが「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」だ。
その正体はわからないが、この仮説上のエネルギーは負の圧力を持っている。それがこの宇宙の7割近くを満たしており、重力に反発している。だから宇宙の膨張は加速するというのだ。
面白いことに、このダークエネルギーの説明は、かつてアインシュタインが生涯最大の失敗と述べた「宇宙定数」とよく似ているという。
だが謎めいたダークエネルギーとは何なのか? その候補の1つが、やはり謎めいた「ブラックホール」だ。
1960年代に提唱された理論によれば、そこには「真空のエネルギー」が含まれているという。これがダークエネルギーが発現したものと考えられるのだ。
ブラックホールは巨大な恒星が燃え尽きた後、自分の重さに耐えきれず崩壊して生まれる超重力の天体だ。
光すら脱出できない巨大な重力を持つが、特にその中心の重力はすさまじく、それゆえに密度は無限大になる。
ここを「特異点」というが、特殊すぎるゆえにブラックホールの研究を阻む大きな問題となっている。
想像すると恐ろしいが、そんなブラックホールは周囲の物質を飲み込んだり、ブラックホール同士で合体することによって成長する。だから古いブラックホールほど大きいと考えられる。
だとすれば、近くに飲み込むものがなくなってしまえば、ブラックホールはそれ以上成長できないはずだ。
『The Astrophysical Journal Letters』(2023年2月15日付)に掲載された研究では、そのことを実際に確かめようとした。
研究チームが注目したのが「巨大楕円銀河」という古い銀河だ。
この銀河は宇宙の初期に進化したもので、すでに星が形成されなくなっている。つまり、吸収する物質がほとんどとないため、その中心にある超大質量ブラックホールはそれ以上成長できないはずなのだ。
ろ座の方角にあるレンズ状の楕円銀河「NGC 1316」 / image credit:NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)
ところが90億年もの悠久の時間のさまざまな時点の銀河を比べてみると、成長しないはずの楕円銀河のブラックホールが予想よりはるかに大きいことがわかったのだ。
こうしたブラックホールの成長は、物質の吸収や合体だけでは説明できない。
そこで研究チームは、ブラックホールには本当に「真空のエネルギー」(ダークエネルギーが発現したもの)があると考えてみた。
それは宇宙の膨張と結びつき、それに合わせてブラックホールの質量が増加する。こう想定すると、成長しないはずのブラックホールの大きさをうまく説明できたのだ。
研究チームによれば、これは「宇宙結合(cosmorogical coupling)」が起きていることを史上初めて観測したものであるという。そしてダークエネルギーの源がブラックホールであるという証明でもある。
5つの古い楕円銀河にあるブラックホールの質量を現代の楕円銀河と比べ、結合強度(k)を求めたもの。3kという数値は、ブラックホールに特異点ではなく、真空のエネルギーが含まれていることを示す / image credit:Farrah, et al. 2023 [the ApJ Letter]
今回の発見が本当なのかどうか、今後さらなる検証が必要になる。
だがもしも本当ならば、宇宙の膨張がなぜか加速するという、現代宇宙論の矛盾を解決できるだけでなく、ブラックホールの定義自体も大きく変わることになるという。
これまでブラックホール研究を阻んできた、特異点という奇妙な空間も必要なくなるのだ。
だが面白いのは、この発見がまったく予想外ではなかったことだ。
ブラックホールにはダークエネルギー(すなわち真空のエネルギー)があるという仮説は、以前からあった。今回はその証拠がついに見つかったというだけのことだ。
この研究の筆頭著者であるハワイ大学のダンカン・ファラー氏は、「アインシュタインの重力理論におけるブラックホール、それこそがダークエネルギーなのです」と語っている。
References:
・Black holes may be the source of mysterious dark energy that makes up most of the universe
・Scientists find first evidence that black holes are the source of dark energy / written by hiroching / edited by / parumo
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貼り付け終わり、
https://karapaia.com/archives/52320353.html
![ブラックホールがダークエネルギーの源である証拠を発見](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/d/5/d578732b.jpg)
宇宙の大部分を満たし、宇宙の膨張を加速していると考えられている不可思議な仮説上のエネルギー「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」の源は、じつはブラックホールだったという証拠がついに見つかったそうだ。
ハワイ大学を中心とする国際的研究チームは、90億年という宇宙の歴史を観察して、「宇宙結合(cosmological coupling)」の証拠を史上初めて観測することに成功した。
もし本当ならば現代宇宙論の大きな謎が解明されるだけでなく、ブラックホールについての理解自体ががらりと変わってしまう革命的な発見だというが、それはどういうことなのか?
宇宙の7割を占めるといわれているダークエネルギー
宇宙は137億年前に起きたビッグバンによって誕生し、それ以来どんどんと大きく膨れ上がっている。だがそれも永遠ではないと考えられる。あらゆる物質からは重力が発生している。それらが引き合うために、宇宙を誕生させた大爆発の力も弱まり、膨張はだんだんとゆっくりになり、いずれは収縮に転じるだろうからだ。
ところが1990年代、宇宙の膨張が遅くなるどころか、加速していることがわかったのだ。一体なぜなのか?
その謎を説明するために考案されたのが「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」だ。
その正体はわからないが、この仮説上のエネルギーは負の圧力を持っている。それがこの宇宙の7割近くを満たしており、重力に反発している。だから宇宙の膨張は加速するというのだ。
面白いことに、このダークエネルギーの説明は、かつてアインシュタインが生涯最大の失敗と述べた「宇宙定数」とよく似ているという。
![5](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/d/2/d215b01a.jpg)
photo by iStock
ダークエネルギーはブラックホールにある?
だが謎めいたダークエネルギーとは何なのか? その候補の1つが、やはり謎めいた「ブラックホール」だ。1960年代に提唱された理論によれば、そこには「真空のエネルギー」が含まれているという。これがダークエネルギーが発現したものと考えられるのだ。
ブラックホールは巨大な恒星が燃え尽きた後、自分の重さに耐えきれず崩壊して生まれる超重力の天体だ。
光すら脱出できない巨大な重力を持つが、特にその中心の重力はすさまじく、それゆえに密度は無限大になる。
ここを「特異点」というが、特殊すぎるゆえにブラックホールの研究を阻む大きな問題となっている。
想像すると恐ろしいが、そんなブラックホールは周囲の物質を飲み込んだり、ブラックホール同士で合体することによって成長する。だから古いブラックホールほど大きいと考えられる。
だとすれば、近くに飲み込むものがなくなってしまえば、ブラックホールはそれ以上成長できないはずだ。
![2](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/8/1/81d64486.jpg)
photo by iStock
宇宙結合の証拠:それでもブラックホールは成長する
『The Astrophysical Journal Letters』(2023年2月15日付)に掲載された研究では、そのことを実際に確かめようとした。研究チームが注目したのが「巨大楕円銀河」という古い銀河だ。
この銀河は宇宙の初期に進化したもので、すでに星が形成されなくなっている。つまり、吸収する物質がほとんどとないため、その中心にある超大質量ブラックホールはそれ以上成長できないはずなのだ。
![4](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/4/9/49e94b65.jpg)
ところが90億年もの悠久の時間のさまざまな時点の銀河を比べてみると、成長しないはずの楕円銀河のブラックホールが予想よりはるかに大きいことがわかったのだ。
こうしたブラックホールの成長は、物質の吸収や合体だけでは説明できない。
そこで研究チームは、ブラックホールには本当に「真空のエネルギー」(ダークエネルギーが発現したもの)があると考えてみた。
それは宇宙の膨張と結びつき、それに合わせてブラックホールの質量が増加する。こう想定すると、成長しないはずのブラックホールの大きさをうまく説明できたのだ。
研究チームによれば、これは「宇宙結合(cosmorogical coupling)」が起きていることを史上初めて観測したものであるという。そしてダークエネルギーの源がブラックホールであるという証明でもある。
![5_e](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/7/1/7105fde4.jpg)
ブラックホールの意味が根底からくつがえる?
今回の発見が本当なのかどうか、今後さらなる検証が必要になる。だがもしも本当ならば、宇宙の膨張がなぜか加速するという、現代宇宙論の矛盾を解決できるだけでなく、ブラックホールの定義自体も大きく変わることになるという。
これまでブラックホール研究を阻んできた、特異点という奇妙な空間も必要なくなるのだ。
だが面白いのは、この発見がまったく予想外ではなかったことだ。
ブラックホールにはダークエネルギー(すなわち真空のエネルギー)があるという仮説は、以前からあった。今回はその証拠がついに見つかったというだけのことだ。
この研究の筆頭著者であるハワイ大学のダンカン・ファラー氏は、「アインシュタインの重力理論におけるブラックホール、それこそがダークエネルギーなのです」と語っている。
References:
・Black holes may be the source of mysterious dark energy that makes up most of the universe
・Scientists find first evidence that black holes are the source of dark energy / written by hiroching / edited by / parumo
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