カラパイア:電気自動車の未来を変えるかもしれない新型モーターを17歳の少年が発明 2022年08月24日より転載します。
貼り付け開始
https://karapaia.com/archives/52315408.html
アメリカの高校生、17歳の少年がが考案した新型モーターが電気自動車の未来を変えるかもしれないと期待されている。
従来の電気自動車のモーターには、高価で環境への負荷も高いレアアースで作られた磁石が使われている。だが、ロバート・サンソンくんは、そうしたレアアースを必要としない持続可能なモーターを発明したのだ。
1年にわたる試行錯誤を経て開発された新型モーターは、高校生を対象とする国際的な科学技術コンテスト「リジェネロン国際科学技術フェア(ISEF)」で見事に最優秀賞を授賞し、賞金75000ドル(約1000万円)が送られた。
専門家から「次の大発明になる可能性がある」と高く評価される革新的なモーターだ。。
アメリカ、フロリダ州在住のバート・サンソンくんは、若干17歳にして、アニマトロニクス・ハンドから高速ランニングブーツまで、60以上の発明をしてきた生粋のエンジニアだ。
現在主流のモーターにはいくつかの欠点がある。その1つは、モーターの磁石に、ネオジムやジスプロシウムなどの「レアアース(希土類元素)」が使われており、価格の面でも、環境の面でも非常に高くつくことだ。
レアアースの多くは中国で採掘されるため、中国との貿易状況によって価格が大きく左右される。また地面から採掘しなければならない以上、環境への負荷も高い。
サンソンくんは、レアアースを必要としない「同期リラクタンス・モーター(SynRモーター)」に注目。
このモーターはポンプやファンなどには採用されているが、電気自動車に使えるほどのパワーがない。そこでサンソンくんは、どうすればこのモーターの性能を高められるか知恵を絞った。
まれついてのエンジニア、ロバート・サンソンくんと彼が発明した同期リラクタンス・モーター/Society for Science
一般的な電気モーターでは、ローターを囲むようにステーター(固定子)が配置されている。
ステーターにはコイルが巻かれており、ここに電気を流すと磁力が発生。するとローターに取り付けられた永久磁石との間に引力と反発力が生じる(S極とN極があるため)。
この力を利用してローターを回転させるのが、モーターの基本的な仕組みだ。
一方、SynRモーターのローターには磁石がない。代わりに空隙(くうげき:すきまのこと)のあるスチール製ローターを使うことで回転を生じさせる。
ここで鍵になるのが「リラクタンス(磁気抵抗)」だ。スチールと空隙のリラクタンスに差(突極比)があるほど、モーターのトルクは増大する。
彼が開発した同期リラクタンス・モーターは、従来の同タイプのモーターに比べ、トルクと効率が改善されている/Robert Sansone
サンソンくんのアイデアは、空隙の代わりにまた別の磁場を組み込むというものだ。これによって突極比が高くなり、さらにトルクの増大が見込まれる。
ほかにも工夫があるようだが、いずれは特許取得を考えているため、これ以上は秘密であるという。
1年がかりで開発された新型SynRモーターは、高校生を対象とする国際的な科学技術コンテスト「リジェネロン国際科学技術フェア」で見事に最優秀賞を授賞。彼には賞金75000ドル(約1000万円)が送られた。
試行錯誤を繰り返し、ようやく15台目で完成したという試作品は、従来のSynRモーターに比べて、300回転/分でのトルクが39%、効率性が31%アップ。750回転/分ならば効率性は37%に高まるという。
ただし熱でプラスチック製のパーツが溶けてしまったため、これ以上の回転数は試せなかったそうだ。
それでも検証の結果、トルクと効率性の向上は、新設計で突極比を大きくしたことによるものであることが確認されている。
Meet Robert Sansone, winner of the 2022 George D Yancopoulos Innovator Award Regeneron ISEF
ミシガン大学の電気・コンピューター工学の専門家ヒース・ホフマン教授は、「彼が正しい方向を見ていることは間違いありません」「次の大発明になる可能性があります」と、高く評価する。
その一方、SynRモーターの素材は安価かもしれないが、仕組みが複雑で製造が難しいという難点があるのとホフマン教授。これがコスト増につながり、普及を妨げるハードルになる可能性があるという。
サンソンくんもこれを認めているが、いずれ3Dプリンターのような新しい製造技術が登場すれば、克服されるだろうと考えているようだ。
「積層造形のような新技術があれば、いずれはもっと簡単に作れるようになるでしょう」
サンソンくんの実験設備/Robert Sansone そんな彼は今、16番目のモーターの3Dモデリングに取り組んでいる。より頑丈な作りにして、高回転に耐えられるようにする予定であるとのこと。
高回転域でも高い効率性が発揮されれば、いよいよ特許の取得に乗り出すつもりであるそうだ。
現在(2022年8月)サンソンくんは高校3年生。卒業後はマサチューセッツ工科大学への進学を希望している。ISEFで獲得した賞金は、学費にあてられるとのこと。
「ボクが設計したモーターで、完全に持続可能な電気自動車が登場する日を見るのが夢」と、将来の大望を語っている。
References:This 17-Year-Old Designed a Motor That Could Potentially Transform the Electric Car Industry | Innovation| Smithsonian Magazine / written by hiroching / edited by / parumo
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貼り付け終わり
https://karapaia.com/archives/52315408.html
アメリカの高校生、17歳の少年がが考案した新型モーターが電気自動車の未来を変えるかもしれないと期待されている。
従来の電気自動車のモーターには、高価で環境への負荷も高いレアアースで作られた磁石が使われている。だが、ロバート・サンソンくんは、そうしたレアアースを必要としない持続可能なモーターを発明したのだ。
1年にわたる試行錯誤を経て開発された新型モーターは、高校生を対象とする国際的な科学技術コンテスト「リジェネロン国際科学技術フェア(ISEF)」で見事に最優秀賞を授賞し、賞金75000ドル(約1000万円)が送られた。
専門家から「次の大発明になる可能性がある」と高く評価される革新的なモーターだ。。
高校生の天才エンジニアが発明した新型モーター
アメリカ、フロリダ州在住のバート・サンソンくんは、若干17歳にして、アニマトロニクス・ハンドから高速ランニングブーツまで、60以上の発明をしてきた生粋のエンジニアだ。
現在主流のモーターにはいくつかの欠点がある。その1つは、モーターの磁石に、ネオジムやジスプロシウムなどの「レアアース(希土類元素)」が使われており、価格の面でも、環境の面でも非常に高くつくことだ。
レアアースの多くは中国で採掘されるため、中国との貿易状況によって価格が大きく左右される。また地面から採掘しなければならない以上、環境への負荷も高い。
サンソンくんは、レアアースを必要としない「同期リラクタンス・モーター(SynRモーター)」に注目。
このモーターはポンプやファンなどには採用されているが、電気自動車に使えるほどのパワーがない。そこでサンソンくんは、どうすればこのモーターの性能を高められるか知恵を絞った。
レアアースを必要としない画期的な電気モーター
一般的な電気モーターでは、ローターを囲むようにステーター(固定子)が配置されている。
ステーターにはコイルが巻かれており、ここに電気を流すと磁力が発生。するとローターに取り付けられた永久磁石との間に引力と反発力が生じる(S極とN極があるため)。
この力を利用してローターを回転させるのが、モーターの基本的な仕組みだ。
一方、SynRモーターのローターには磁石がない。代わりに空隙(くうげき:すきまのこと)のあるスチール製ローターを使うことで回転を生じさせる。
ここで鍵になるのが「リラクタンス(磁気抵抗)」だ。スチールと空隙のリラクタンスに差(突極比)があるほど、モーターのトルクは増大する。
国際的コンテストで最優秀賞を受賞
サンソンくんのアイデアは、空隙の代わりにまた別の磁場を組み込むというものだ。これによって突極比が高くなり、さらにトルクの増大が見込まれる。
ほかにも工夫があるようだが、いずれは特許取得を考えているため、これ以上は秘密であるという。
1年がかりで開発された新型SynRモーターは、高校生を対象とする国際的な科学技術コンテスト「リジェネロン国際科学技術フェア」で見事に最優秀賞を授賞。彼には賞金75000ドル(約1000万円)が送られた。
試行錯誤を繰り返し、ようやく15台目で完成したという試作品は、従来のSynRモーターに比べて、300回転/分でのトルクが39%、効率性が31%アップ。750回転/分ならば効率性は37%に高まるという。
ただし熱でプラスチック製のパーツが溶けてしまったため、これ以上の回転数は試せなかったそうだ。
それでも検証の結果、トルクと効率性の向上は、新設計で突極比を大きくしたことによるものであることが確認されている。
Meet Robert Sansone, winner of the 2022 George D Yancopoulos Innovator Award Regeneron ISEF
高校生の発明が電気自動車の未来を変える可能性
ミシガン大学の電気・コンピューター工学の専門家ヒース・ホフマン教授は、「彼が正しい方向を見ていることは間違いありません」「次の大発明になる可能性があります」と、高く評価する。
その一方、SynRモーターの素材は安価かもしれないが、仕組みが複雑で製造が難しいという難点があるのとホフマン教授。これがコスト増につながり、普及を妨げるハードルになる可能性があるという。
サンソンくんもこれを認めているが、いずれ3Dプリンターのような新しい製造技術が登場すれば、克服されるだろうと考えているようだ。
「積層造形のような新技術があれば、いずれはもっと簡単に作れるようになるでしょう」
高回転域でも高い効率性が発揮されれば、いよいよ特許の取得に乗り出すつもりであるそうだ。
現在(2022年8月)サンソンくんは高校3年生。卒業後はマサチューセッツ工科大学への進学を希望している。ISEFで獲得した賞金は、学費にあてられるとのこと。
「ボクが設計したモーターで、完全に持続可能な電気自動車が登場する日を見るのが夢」と、将来の大望を語っている。
References:This 17-Year-Old Designed a Motor That Could Potentially Transform the Electric Car Industry | Innovation| Smithsonian Magazine / written by hiroching / edited by / parumo
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