カラパイア:ブタの皮膚から作った人工角膜を移植した20人全員の患者の視力が回復 2022年08月23日より転載します。
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https://karapaia.com/archives/52315300.html
ブタの皮膚に含まれるコラーゲンで作った角膜を移植したところ、20人の視覚障がい者全員の視力を回復させることに成功したそうだ。
実験参加者の中には、盲目だった視力が1.0にまで回復した人たちもいた。移植手術から2年が経過した現在、深刻な合併症や副作用はまったく報告されていないとのことだ。
「角膜」とは、黒目をおおっている透明な膜のこと。
直接外に接しているため傷つきやすい部分だ。世界には、これが曇ったり、歪んだりすることによる視覚障がい者がおよそ1200万人いるとされる。
移植することもできるが、人間のドナーが少ないために、実際に移植手術を受けられるのは、患者70人に1人くらいなのが現状だ。
スウェーデン、リンショーピン大学のメルダッド・ラファット氏らは、ブタの皮膚から抽出した「コラーゲン」で、コンタクトレンズのような柔軟で弾力性のある人工角膜を開発。これを人間の志願者に移植した。
実験に参加した20人は、全員が「円錐角膜」(角膜が薄くなり、円錐形に突出する病気)による視覚障がい者。14人は盲目で、6人は重度の視力障がいだった。
ところが術後、全員の視力が改善し、盲目だった参加者のうち3人は視力が1.0まで回復した。
ラファット氏は、「最初の移植手術が行われた時のことを覚えています」と語る。一晩中眠れず、手術の結果を待っていたが、実際に視力が回復すると想像以上に良好な結果で驚いたそうだ。
豚皮由来のコラーゲンタンパク質で作られた人工角膜 / image credit:Thor Balkhed/Linkoping University
コラーゲンは、個々の細胞を持たない構造化されたタンパク質だ。だから免疫系によって拒絶されることはないと考えられている。
人間の角膜を移植された患者の場合、一般に数年は拒絶反応を抑える薬を服用する必要がある。しかし今回の患者は、8週間免疫抑制剤入りの目薬をさしただけだ。
ただしジョンズ・ホプキンス大学のエーゼン・アクペック氏は、第三者の立場から、それほど画期的ではないと述べている。
これまでも円錐角膜用コンタクトレンズといった治療法が開発されているからだ。ブタの人工角膜でも「既存の医療技術で治せない症状は、治せないでしょう」とのことだ。
また今回の人工角膜が最終的にいくらになるのかもはっきりしない。それでも現在の人間の角膜(米国なら数百万円)よりは手頃なものになるだろうとのことだ。
この研究は『Nature Biotechnology』(2022年8月11日付)に掲載された。
References:Cornea implant made from pig skin restores vision in landmark pilot trial / written by hiroching / edited by / parumo
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https://karapaia.com/archives/52315300.html
ブタの皮膚に含まれるコラーゲンで作った角膜を移植したところ、20人の視覚障がい者全員の視力を回復させることに成功したそうだ。
実験参加者の中には、盲目だった視力が1.0にまで回復した人たちもいた。移植手術から2年が経過した現在、深刻な合併症や副作用はまったく報告されていないとのことだ。
これまで人間のドナーに頼っていた角膜移植
「角膜」とは、黒目をおおっている透明な膜のこと。
直接外に接しているため傷つきやすい部分だ。世界には、これが曇ったり、歪んだりすることによる視覚障がい者がおよそ1200万人いるとされる。
移植することもできるが、人間のドナーが少ないために、実際に移植手術を受けられるのは、患者70人に1人くらいなのが現状だ。
photo by iStock
ブタの皮膚から作った人工角膜を移植した全員の視力が回復
スウェーデン、リンショーピン大学のメルダッド・ラファット氏らは、ブタの皮膚から抽出した「コラーゲン」で、コンタクトレンズのような柔軟で弾力性のある人工角膜を開発。これを人間の志願者に移植した。
実験に参加した20人は、全員が「円錐角膜」(角膜が薄くなり、円錐形に突出する病気)による視覚障がい者。14人は盲目で、6人は重度の視力障がいだった。
ところが術後、全員の視力が改善し、盲目だった参加者のうち3人は視力が1.0まで回復した。
ラファット氏は、「最初の移植手術が行われた時のことを覚えています」と語る。一晩中眠れず、手術の結果を待っていたが、実際に視力が回復すると想像以上に良好な結果で驚いたそうだ。
拒絶反応の心配はなし
コラーゲンは、個々の細胞を持たない構造化されたタンパク質だ。だから免疫系によって拒絶されることはないと考えられている。
人間の角膜を移植された患者の場合、一般に数年は拒絶反応を抑える薬を服用する必要がある。しかし今回の患者は、8週間免疫抑制剤入りの目薬をさしただけだ。
ただしジョンズ・ホプキンス大学のエーゼン・アクペック氏は、第三者の立場から、それほど画期的ではないと述べている。
これまでも円錐角膜用コンタクトレンズといった治療法が開発されているからだ。ブタの人工角膜でも「既存の医療技術で治せない症状は、治せないでしょう」とのことだ。
また今回の人工角膜が最終的にいくらになるのかもはっきりしない。それでも現在の人間の角膜(米国なら数百万円)よりは手頃なものになるだろうとのことだ。
この研究は『Nature Biotechnology』(2022年8月11日付)に掲載された。
References:Cornea implant made from pig skin restores vision in landmark pilot trial / written by hiroching / edited by / parumo
赤い光を見るだけで加齢による視力低下が回復する可能性(英研究)
また別の電脳化技術が! 脳にチップを入れ視力を回復させるバイオニック・アイ(オーストラリア研究)
ありそうでなかった!コンタクトレンズを自動着脱できるロボットが開発され来年実用化予定(アメリカ)
ブタの腎臓を人体に試験的に移植することに成功。異種間臓器移植実現に向けて一歩前進
乱視の人は夜の世界がこんな風に見えている。車のライトの見え方を比較した画像が海外で話題に
貼り付け終わり