カラパイア:超音波で脳を刺激するだけで細胞を活性化させる方法を発見。手術いらずで難病の治療に光明 2022年02月26日より転載します。
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https://karapaia.com/archives/52310538.html
![超音波による脳細胞の活性化](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/b/f/bf4bc7de.jpg)
超音波を使って哺乳類の細胞を活性化させる方法が発見されたそうだ。これを応用すれば、インプラントを埋め込んだりせずとも、脳の奥深くを刺激してパーキンソン病などの難病を治療できるという。
「パーキンソン病」は、脳の神経細胞が破壊され、徐々に体の自由が利かなくなる。だが将来的には、患者たちを手術なしで治せるようなるかもしれないとのことだ。
超音波で脳深部を刺激し細胞を活性化
パーキンソン病の治療法の1つに、「脳深部刺激療法(DBS)」という治療法がある。患者の脳に適切な電気的または磁気的刺激を継続的に送りこむことで、神経回路の働きを調節する。しかし、これをやるには電気刺激を発生させるインプラントを脳に移植しなければならない。
そこで、アメリカ、ソーク研究所の分子生物学者スリカンス・チャラサニ氏は、超音波を照射して遺伝的にマーキングした細胞を刺激する方法を考案した。
その方法は「ソノジェネティクス(音響遺伝学)」と呼ばれるもので、10年前にチャラサニ氏が考案した造語だ。
チャラサニ氏率いる研究チームは、新しい研究で、研究用のヒト細胞株に含まれる「TRPA1」というチャネル・タンパク質が、超音波に反応して開くことを発見した。
このタンパク質は、有害な化合物に反応し、脳や心臓などのヒト細胞を活性化させることで知られていたものだ。
その性質をさらに探るため、マウスの脳にTRPA1の遺伝子を移植してそこに超音波を照射してみると、TRA1遺伝子を移植した神経細胞だけが活性化することも観察されている。
この研究は『Nature Communications』(2022年2月9日付)に掲載された。
Progress for Sonogenetics a non-invasive way to treat brain disorders
手術しなくても脳深部刺激療法が行える
今後ソノジェネティクスの研究が進めば、血液脳関門に阻まれることなく、パーキンソン病を治療できるようになるという。これが完成すれば、わざわざ外科手術でインプラントを移植する必要もなくなる。
「この発見を将来の研究や臨床試験に役立てるため、具体的にTRPA1のどの部分が超音波に反応しているのか明らかにし、その感度を強化する方法などを見つけたいと考えています」と、共著者のコリーネ・リー=クブリ氏は説明する。
ソノジェネティクスで脳細胞を活性化させれば、パーキンソン病と同じく体を不自由にしてしまう「てんかん」や「運動障害」のような病気も手術なしで治せる可能性があるとのこと。
それだけなく、心臓の細胞を活性化することで、ペースメーカーとしても利用できると期待できるそうだ。
References:In a first for “sonogenetics,” researchers control mammalian cells with sound - Salk Institute for Biological Studies / written by hiroching / edited by parumo
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