今から半世紀も前の話です。
私は学園紛争真っ只中の時代を東京で過ごし、最終年度は機動隊の力で学内がロックアウトされて、12月からは講義も無く卒業式も無いのに、なぜか卒業出来て就職しました。
実感が無いまま社会人になり、3か月間の研修期間を終え、最初の赴任地は大阪でした。
その頃は、高度成長期の入り口に入ったころで、世の中がとても活気に溢れていた時代だったと思います。
同期の人が5人一緒に大阪へ赴任しました。
それぞれの配属先も決まり、最初は先輩たちと一緒に同行して実地研修となりました。
みんなひよっ子で学生気分も抜けず、先輩たちから見たらさぞや頼りなく見えた事だろうと思います。
しかし、先輩たちは丁寧に色んな事を教えてくれました。
当時は、どこの会社も同じだったと思いますが、毎日残業がありました。
多分毎月80時間とか、多いと100時間とかになったと思います。
今ならとても考えられませんね。
夕方6時頃に出前の夕食を事務所で食べ、それから残業で、仕事が終わった後、いつも近くのおでん屋さんで一杯やって帰るので、毎日最終電車に乗るような生活でした。
ある日Mさんという、3歳ほど先輩の人に仕事を同行させてもらいました。
午前中の用が済み、少し遅めの昼食をとるべく喫茶店に入りました。
その頃はまだファミリーレストランなども無く、喫茶店のランチなどで済ませる事が多かったです。
その時Mさんは、ホットケーキなるものをを注文しました。
私は田舎者で、それまでホットケーキを食べた事が有りませんでした。
それで、私も同じものを注文してみました。
初めて見るホットケーキでしたが、食べ方もわからずMさんの見よう見まねで、何とか初めてのホットケーキを食べました。
食べた後の印象は、ふわふわして、おしゃれな感じでとても美味しいなあというものでした。
Mさんは東京出身で、学生時代ダンス部の部長をしていて、ダンスを踊るときはとても身のこなしが軽いという、もっぱらの評判でした。
私も東京で学生時代を過ごしたのに、寮で三食食べていたので、こんな美味しいものを食べた事が有りませんでした。
さすがに、東京育ちの人は違うもんだと感心しました。
コントにでもなりそうな話でしょ。
これが私のホットケーキの思い出です。
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