前回の手術も、今回の手術も、目覚めは決まって家族の声でした。
おそらくそれ以前にも何かしら聞こえてはいるのでしょうが、雑音ではなく、自分に向けられた声と一番に認識できるのは、聞きなれた家族の声なんでしょうね。
『あ、起きた起きた!』
いつもの朝、眠りから覚めるのとそんなに大きな差があるわけでもない、麻酔からの目覚め。
ただひとつ大きく違うのは、目覚めたその時、いつの間にか体が管だらけになっているということ。
口には酸素マスク
背中に硬膜外麻酔のチューブ
股からは尿管
両腕に点滴
片腕に血圧測定器
指には酸素飽和度の測定器
両足には血栓予防のフットポンプ
…そして肝心のお腹まわりは。
手術前に履いていたショーツは脱がされ、T字帯と呼ばれる、おむつパッドのようなものを履かされています。
そこに生理用ナプキンより大きな産褥パッドを付け、出血があっても大丈夫なようにされていました。
で、腹帯(ふくたい)をゆったり巻かれている状態。
麻酔が効いているためそこまで痛みはありませんが、やはり全身が熱っぽく、だるい感じ。
それと手術中に気管挿管をするせいで、手術後って喉が痛いんです。
声もかすれて、上手く声が出ない。
ついでに、声をはる気力もない。
ここから、術後の辛くて長い時間が始まります。