
荒野に朝日がうっすら色をつけ始めた頃、僕たちはスペイン南部、
そしてこの旅最西端の町グラナダに到着した。
宿を探し終え、狭い部屋で自分のにおいを嗅いでみた。
「やべぇ…」トマトの実力はやなり深刻であった。
そーいえば、昨日トマトまみれになった後、おっちゃんにホースで
水をかけてもらっただけで、フロには入ってなかった。
丸1日以上トマティーニャ状態でいたってことになる。
ちょっと日本では考えられないな…(苦笑)
シャワーを浴び、生気を取り戻した僕たちは、休憩もそこそこに
町へくり出した。
こじんまりとまとまった町並みは、どこかドイツ・フライブルクを思い出す。
立派な教会、石畳の道路、丘陵に立てられた町はスペインへ来たってことを
強烈に感じさせてくれた。
目指す場所は私個人の旅最大の目的地である「アルハンブラ宮殿」
(旅4日目にして、早くも2人の旅最大のイベントが終了することになる)
万全を期すためにネットで予約したチケットを持ち、宮殿へ向かった。
アルハンブラ宮殿はグラナダ市内を一望できる丘の最上部に立ち並ぶ、
まさに「天空の城」といった感じの宮殿群。
イスラム教がヨーロッパ終焉の際に、最後に咲かせた花と言われるほど
美しいその建物と庭園は、イスラム文化の繁栄を今に伝えている。
急な坂を上るだけで早くも参ってしまったおじさん2人は、少し休憩を
とって園内に入った。
一度入ってしまうと方向感覚を失うほど広く、迷い迷い散策した。
造形美を極めた庭園や建物が所狭しと並び、発色のよい花々が輝いている。
きれいに手入れされており、王族の気分を味わっているような気にさせてくれる。
歩き回りお腹いっぱいになって入り口へ戻る途中、
ガイドブックにまだ見ていない建物の写真があった。
2人で「もう行けるとこは行ったよな?」なんて話をしながら、
もう一度地図を見てみると、なんとまだ僕たちは広い園内の離れのような所
にしか行っていなかったのた。
しかも、メインはもっとすごく、さらに広いようだ。
期待半分、精神的な疲労1/4、肉体的な疲労1/4ぐらいで向かうことに。
チケットを持ってメインの宮殿に入ろうとしたところ、警備員に止められる。
・・・・・そういえば・・・・・。
予約したときに指定された「16h-16h30」の文字。
今は17時13分をまわったところ。
必死にお願いしてはみたものの、最後には機械を通すから無理と言われ、撃沈。
そこから長い長い挫折と討論が始まる。
チケット代は€10。結構な金額である。
それにもうプラス€10払い見るか、
それともフラメンコを見るか…。
今からチケットを取りに、またスタート地点へ戻るか、
少しでも疲労回復に努めるか…。
長い沈黙の後、アルハンブラの魅力が勝った。
スタート地点のチケット売り場に戻り、Infoのお姉さんと話した結果、
夜のアルハンブラを見るほうが良いのではないかと進められ、従うことに。
夜の部はなんと22~23:30まで。
スペインは本当に日が暮れるのが遅い。
夜8時でも、日本の3時ぐらいと全く変わらない明るさである。
夜まで時間があったため、長い長い下り坂を下りて、ホテルへ戻ることに。
スーパーでサラミとチーズとポテチを買い、ささやかな晩酌をする。
疲れきった体に、ビールは吸い込まれていくように入った。
しばらく寝た後、さらにだるくなった体を引きずり、
再び心臓破りの坂を上る。
夜のチケットは限定150人。
そのチケットを手にし、いざパレス宮へ。
いやそこはもうすごいのなんのって。
美・優・剛・富など、全てそろった大宮殿であった。
グラナダの夜景を一望できるその宮殿は、目がチカチカするほど彫刻された
壁でできており、言葉を失った。
代わりに愛機の一眼レフがうなりをあげる。
€10は出してよかったと思い、後悔の気持ちはない。
あとはユーロのレートが下がる日を願うばかりである。