ヒマラヤ遠征8日目『ロブジェ・イーストに登るため』 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

宿泊地 ディンボチェ 4300m

    8日目、 SPO2  71を記録。75あたりで安定はしているが、予断は許されない。症状は下痢にスコア1付けておいた。頭痛はなし。
    問題の隊長は、熱はあるものの、SPO2が84と66から大幅に改善。簡単に割り切れるものではないが、高山病というより風邪なのだろうという認識。標高を下げずに、停滞して安静にするという形で落ち着いた。個人的には降りて欲しかったが、自分のほうがSPO2が低く出ているので強くは言えず、最終的には隊長判断となった。

    隊長は安静、他3名は予定通りロッジ裏の山を登って高所順応に励みます。ロッジから標高差700mを一気に登りつめられ、次の宿泊地ロブチェの標高を上回れます。

    この日の朝の気温はマイナス5度。室内にいても滅茶苦茶寒いです。雲がなく放射冷却があった模様。つまりは遠征一番の快晴ってことです!

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    カンテガ左とタムサルク右

    ロッジを出ただけで撮影タイム突入ってなもんですから、高所順応で標高を稼げば、あーた、

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    タブチェ左とトブチェ右

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    中央にアイランドピーク

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    中央にマカルー(ネパール第4位の8000m級)

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    アマダブラム。見る方角が変わると別の山のよう。

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    そして私達の遠征の目的ロブジェ・イーストと御対面!

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   この中にロブジェ・イーストもロブジェ・ウエストも写っています。

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    ロブジェ・イーストには本峰何処だ問題があるので、念入りに地形図広げて、観察した山の形を地図に落とし込みます。シェルパの言いなりで目的のピークを決めるのではなく、目的のピークは自分で読図して決めるべきです。
    他の隊員は分からないと諦めていますが、私はこれに一年近い時間を費やしてきたのです。成り行き任せにするわけにはいきません。一人でも地図とにらめっこ。これが私の所属している山岳会の渓嶺イズムというやつです。読図しない奴は宇都宮渓嶺会にはいられませんからね!

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    30分前に目的の標高5000m地点についていた皆と合流。2名は読図を放棄しているので、私とシェルパで入念に本峰の位置確認。あの稜線がこの稜線で、あのスカイラインがこのスカイラインだから・・・
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    私たちは間違っていたようです。シオリに本峰と記載したピークはやはりウエストだったのです。2峰と記載したピークが本峰です。私たちとシェルパはそういう結論に至りました。
    では、大ギャップ(シェルパと認識を共有するため、以後大ギャップはシェルパが使っている名称デンジャラスクレバスに統一します。)はどこにあるのか?それは2峰と記載してある本峰の前にやはりあります。
    つまりこうなります。ジャンクションピーク(偽ピーク1)まで登り、その先の小ギャップを越え、一峰を越えてデンジャラスクレバスまで辿り着き、そこを懸垂下降してクライミングで登り返せば、そこが二峰と記載していた本峰です。
    最近多くの隊が引き返しているデンジャラスクレバスの手前が二峰(偽ピーク2)というわけです。遠くからの写真では判別できない場所です。
    とりあえず、シェルパとはそういう認識で話がまとまりました。シェルパが4月にメインピークとしてお客を登らせた二峰の先にあるデンジャラスクレバスを越えるという認識に齟齬がなければ私たちは問題ありません。

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    5000m地点に1時間近く滞在して下山開始です(私は到着が遅かったので30分)。下りていると、4600mあたりに隊長が寝そべっているのが見えました。体調が回復したのかと、喜んだのですが、、、

    ロッジに帰って話を聞くと、よくなっているどころか悪くなっている印象です。回復していたSPO2も70に近い数字に戻り、熱もまたぶり返したようです。なんでぶり返したのか分からないと隊長が言うので、4600m地点で風を受けながら寝てたからですよ!と私。

    明日は、私の中ではもう行動をともにする案はありませんね、極端にいえば選択肢は下りるの一択です。私の中ではステイもありません。ステイして回復するかはギャンブルで、まず回復しませんから、下りるの一手です、と私。
    下りれば1日で回復することもあります。私のチュルーの時がそうでしたから。1日下りても私たちとロブジェBCに入るのは同じ日です。回復に2日かかっても私たちがBCで停滞している時ですし、3日かかっても私たちがHCへのルートメイクしている日にBCに入れます。
    こういう時は、最終目的から逆算するしかありません。最終目的は4人でロブジェ・イースト本峰に登ること。そして、ただ登るだけではダメで、4人で楽しく登った記憶を持ち帰らなければいけません。フラフラで登ってクライミング中の記憶がないとか、意味ないですから!
    今の段階なら余裕で全回復してBCに戻ってこれますよ。そんな話をしました。最終判断は隊長がすることなので、明日となります。

    話はまだあります。遠征に付いて来ているガイドさんが、ルートを変更したいと言い出したのです。明日はロブジェに泊まる予定でしたが、ロブジェBCに泊まろうと。そして次の日ゴラクシェブ泊。その次にエベレストBCピストンのゴラクシェブ泊。次の日にカラパタールピストンのロブジェBC入り。これでどうか?と。

    ○○か!BCに入るのが1日遅くなってるじゃないか!こっちの計画変えてんじゃねーよ!

    すると、ガイドさんは、明日はロブジェBC泊、次の日エベレストBCまで足を伸ばしてから戻ってのゴラクシェブ泊。次の日に、カラパタールピストンのロブジェBC入り。これなら当初の日数と変わらないでBC入りできる、どうか?ときた。

    ロブジェBCからエベレストBCまで1日で歩いちまったら、トレッキングの距離が伸びてるじゃないか!本番前にオマケのエベレストBC行って疲れるなんて絶対嫌だから、ない、ない、絶対ない。そもそも明日は隊長が別行動になるんだよ?それにガイドさん付き添わなくていいの?

    付いていく

    そうでしょう。ルート変えてる場合じゃなくね?

   ・・・ オーケー、分かった。最初の予定通りでいこう、とガイドさん。

    これがネパール。チュルーの時も無茶なルート変更を言い出されていたのでまたかという印象。こういうのは問答無用。英語ができなくても意思を伝えることは可能なのです。

    一度帰ったガイドさん、戻ってきて次はこんな提案をしてきました。私たちがポーターに背負ってもらっているクライミングギア等が入ったビッグバッグ3個(隊長は別行動になる予定なので4個ではない)を明日、ロブジェの街ではなく、ロブジェのBCに入れたい。だから、必要な寝袋等だけ出して明日から背負って欲しい、てな話。

    まあ寝袋くらいなら担げるなと某隊員

    いやいやいやいや、嫌ですよ!寝袋なんて担いでトレッキングしたくありませんから!寝袋担ぐ数日分の金返してくれるならまだしも、金は戻らない、寝袋は担ぐ、こんな馬鹿な話ありませんから。この人たち日本人舐めてるだけですから。こんな提案ナンセンスで聞くだけでイライラする!

    でもトレッキングに必要ない道具をBCより上に上げたくないというのは一理あるし、雇うポーターの数が減れば彼らの利益も増えるだろう。そこはガイドさんには良くしてもらってるし、顔を立てたい。こういう案でいきませんか?

   トレッキングに 不必要な道具を、ビッグバッグ2つに詰めなおす。残ったビッグバッグ1つに3人の寝袋他を詰めて、これはポーターに背負ってもらって私たちに同行してもらう。2つは明日BCに入れちゃってもいい、どう?

    分かった。それでいいと、ガイドさん。

    こんなことしてたら私の下痢は治らない。(おわり)

高所順応 獲得標高 5000m
停滞地 ディンボチェ  4300m