山行報告【鋸岳(厳冬期アルパイン)】前編 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録


メンバー:わたし(L)、他2

予定ルート:戸台口駐車場―角兵衛沢出合―角兵衛沢コル(幕営予定地)―鋸岳(第一高点)―第三高点―第二高点―中ノ川乗越―熊の穴沢―戸台口駐車場


1.前書き

227,28日の最終週末を利用して、夏に登頂を果たせなかった鋸岳にリベンジするべく入山してきました。


因みに、その敗退となった夏の記録は下記アドレス先です。良かったらどうぞ。

山行報告「八丁尾根~鋸岳~甲斐駒ヶ岳」

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-12057748364.html

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-12058330210.html


さて今回のルートは夏とは違い、戸台から入って甲斐駒は登らず帰ってくる12日です。我々にとっては難しいルートではないと考えますが、この暖冬により雪が少なかったりグズグズだったりすれば、現場判断が余儀なくされる予断は許さないルート。冬期にアルパインルートに入るからには、最悪を想定して常に準備しておく必要があるでしょう。


おまけに、蓋を開けてみるとヤマテンから暴風雪予報が出た(初日0時の山頂風速24m/s)。翌日の午前中は20m弱の風が吹くそうだから、その通りなら危ない。ともあれ、仲間からやめませんかのお伺いメールは来なかった。皆モチベーションは高い。山はルートにもよりますが、天気についても入山してからの現場判断がお約束。天気予報が悪いからというだけで、山行をつぶしていたら経験値は稼げません。


というわけで、暴風雪予報のもと、天候を伺いながらの山行となりました。道中も幕営地等の変更、及び増えるリスクの話し合いを持ちつつ、撤退も視野に入れた行軍です。


2.山行記録(227日)

予定スケジュール【7:40戸台口駐車場8:0010:30角兵衛沢出合→11:00角兵衛沢取付→15:00大岩下→17:00角兵衛沢コル(幕営)】



鋸岳を登るルートは一般登山道ではないので、警告看板がやたらと多い。それだけ事故が多いということだろうか。(8:20



「リスクを想定しろ、装備は万全に」といえば、今回のルートは、厳冬期とはいえ、登りでザイルを出すようなところはなく、ザイルは稜線上で懸垂下降2回(10m25m)でしか使わないルートでした。昔のわたしなら50mザイル1本で済ませていたところでしょうが、しっかりリスクを想定してしまうと、50mザイルを背負っている人間(わたし)が滑落した場合のことはもはや無視できない。


50mザイルがなくなっても隊員2名が下山できるようにしておかねばならず、そうなると保険の30mザイルを装備に加える必要が絶対ある。


さらに30mザイルを背負っている人間も落ちた場合のことも考えると、そこに10m捨て縄も追加。今回は50m30m10mをそれぞれが持つ形となった。仲間からは、いらないんじゃないの?と暗にほのめかされたが、想定できるリスクを無視せず向き合うとこの装備は外せない。この装備を担げないなら、このルートに入ってはいけないということだ。必要なのはギアを減らすことではなく、想定できる必要なギアはすべて持っていくこと。そういうことができる体力と歩荷力を養うこと。


リーダー山行をやるなら、自分が落ちていなくなった後の仲間のこと、仲間の動きまで念頭にいれて、装備を組み立てる必要があると思う。というわけで、わたしたちの装備は他パーティよりあきらかに重いと思われます。でも、安全を最優先にするとこうなるのだからしようがない。



角兵衛沢出合まで戸台川沿いを進みます。確か片道5㎞前後。雪がまったくない。稜線上には果たしてあるのか。雪がないことを想定して角兵衛沢出合で水を6L担ぐことにする。(10:30



登りも雪は見当たらず、



雪と対面せぬまま、幕営適地とされる大岩の下に到着。風はまだ全然吹いていないが、予定通りコルまで上がって、そこで24mの風に吹かれてはたまらない。本日はここで幕営とする。(14:00



大岩の下の幕営適地は35張れないこともないけど、落石を考えると完全に安全なのは精々2張程度でした。



幕営適地は水が出ており、雪がなくとも水を上げる必要はなかった。ともあれ翌日の水を楽に調達できたので、そこは目出度い。


この日は14時とかなり早い時間になってしまったけれど、天候様子見で幕営することにしました。その変わり翌日の起床を2時間早めることにして、早めの就寝としました。(後編につづく)