近況568.松木ジャンダルム(厳冬期登攀) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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また松木ジャンダルムへ冬壁登攀の練習に入ってきました。今回も厳冬期(2月)とは言え壁に雪はなく、おまけに暖かな春の陽気の中でのアックス、アイゼン、ゴム手袋という、形だけの冬壁スタイルです。まあまだまだ初心者レベルなので雪はなくても良いです。


因みに、上画像に水滴がついているのは、渡渉でわたしがドボンしてしまったからです。例年の寒さなら即時撤退ですが、この日は暖かかった上に、ネオプレンソックスだったので、そのまま登攀継続判断としました。皆さん渡渉は気を付けましょう。



さて、今回の狙いは天狗岩左チムニー(Ⅳ)ルートを冬壁スタイルで落とすこと。


1ピッチ目は、わたしは何度も登っているルートなので、同ルート初の仲間にリードを任せるも、なかなかビレイ解除のコールがかからない。この日は風がものすごく強く音がうるさい。もしやコールしているのに聞こえないとか?


でもわたしはクライミングにおいてよっぽどのことがないと声かけしないと決めているので、じーっと待つ。するとコールが来た。あー良かった。ドボンの上この強風、流石に氷像になるところだった。。(あぶね~)



登りだすと時間のかかった理由が判明、仲間はなぜかルート違いの難しいフェイスを登った先でピッチをきっていた。この仲間は難しいところにルートを取ってしまうど根性な傾向があるようだ。わたしのように弱点に逃げようとはけしてしない。将来有望さすがです。


しかし今日は風が強すぎる。登っている際、風であおられて壁から剥がされそうに何度かなった。足元がアイゼンだからリスクは倍増。1ルート登っている間にこの風が治まらないようなら撤退判断とせねばなるまいな。むむむ・・・



仲間のいるフェイスの下部でピッチをきり、仲間にはわたしのところまでクライムダウンしてもらい、トラバースして正規のルートに復帰してもらう。天狗岩正面壁の下でピッチをきった。


ここからが目当ての天狗岩左チムニールート。わたしがリードで挑戦するも、登れそうだけども、今日みたいな条件とメンタルでは登れない難度であると見定めトライを断念。チムニー内は支点が取りやすいので、冬壁の恐怖グレードは低下するので落とせるとみたが、時間は滅茶苦茶かかりそう。2人がぬけるのにこのチムニー内2ピッチ目だけで3時間くらいかかるのではないか。


ここを落とすぞ!というモチベーション高くもって挑みに来なければならないルート。次回へ持ち越しとする。



目当てのルートは諦めて、天狗岩正面壁の弱点をつきつつ、単純に正面壁をトップまで突破するルートに転戦。しかし、弱点といっても夏壁の弱点なので、冬壁スタイルだとかなり難しかった。


一難所を超えたところでピッチをきり、次の難所にそなえる。うーむ、何度か今日は滅茶苦茶立っているな!夏登る分にはダイレクトにまっすぐにだって容易に登れるというのに。今日は弱点を突こうとしているのにとてつもなく難しく感じる。いや、難しいんじゃない、怖いのだ。冬に取りついて初めて気づく、このルートの支点の取れるところの少なさ。


よくよく思えば、いままで冬壁スタイルでⅣ級もぬけてはいるけど、チムニーやルンゼやクラックと、立ったフェイスというのがなかった。立ったフェイスの高感度が半端ない。アイゼンとゴム手では怖い。松木の支点は信用できるようなものがない。落ちない前提の登りを要求されている怖い。



こういう日は撤退判断に限る。支点をカム2、残置ハーケン1と3つ取った時点で撤退判断とした。仲間にリード交代してみるか聞くと、やる気満々なので、交代するも、やはり仲間も支点を進めることができなかった。今日は風も強いし、ここまでで終わろう。



カムを回収して、カラビナ1枚捨ててクライムダウンし、そこから懸垂下降した。


まあ面白かったけど、認識を改めなければならない。冬壁スタイルは支点のなさからくる恐怖グレードの量増しこそが核心ではなかろうか。立った壁をアイゼンで登るのはかなり勇気がいる。天狗岩正面壁は練習壁どころではない。ここを目下の目標として、弱点をついてでも上まで抜けてやる。


冬のウメコバに出る前に、天狗岩正面壁を抜けるという目標ができた。冬の天狗岩正面壁は、やっぱり左チムニーが弱点じゃないかなあ。正面の3級が抜けられなくとも、左チムニー4級なら抜けられる気がする。夏と冬は夏のグレードは無視して、自分の力量と現場で見たものをすり合わせながらルート設定する必要があるかも。


ともあれ、今回は撤退となったが、ドボンして体がこわばっていたからじゃないかーなんて思ったりもしている。今期中にもう1回くらい入りたいけど、無理かなあ。(おわり)