2月13-14日に、国立オリンピック記念センターにて開催された日山協・第54回海外登山研究会に参加してきたのですが、文字通り大変多くの方が足を運んでいて、とても内容が充実していたので、簡単にご報告。
内容をざっとまとめると以下の通り。
1.西ネパール・アピ南西壁遠征報告(三戸路拓也)
2.ランダック峰・ランシャール峰登山報告(塩谷晃司、浦澤翔)
3.カンテガ北壁遠征報告(馬目弘二)
4.2015年の海外登山の総括(池田常道)
5.海外登山地の最新情報(岩崎国際常任委員)
6.インド・ヒマラヤの魅力(沖允人)
7.ヒマラヤ登山と下降(山野井泰史)
8.下降技術とタクティクス(馬目弘二)
9.座談会(司会澤田、山野井泰史、馬目弘二)
お気付きですか?そうです、2日目は、山野井さんと馬目さんが揃い踏みだったのです。これ滅多にない珍事でしょう?これもひとえに現国際委員長の人徳の賜物でしょうね。恐れ入ります。
話が長くなってもあれなので、アルパインの下降技術のタクティクスについて頭に残っていることをざっと書いてみます。
まず登山における山頂はゴールではなくあくまで通過点。下山と呼べる箇所がゴールであるという認識を持つ必要性。若いのは山頂でうかれ喜ぶも、下山してくると大抵バテバテである。山頂で喜べるのは下山のほうが過酷であるという想定や認識が薄いからではないか。配分を意識した登山をする必要がある。
特にアルパインクライミングでは登るは簡単、下りるほうが何倍も難しいことがある。ルート選択も課題。事前に下降について想定していないアルパインは考えることができない。
アルパインについては事前にありとあらゆる想像をし、想定されるリスクについては、日本でしっかりと練習しておく必要がある。例えば雨天のクライミング、夜間のクライミング、登れないなら人工登攀?等
リスクを想定すれば、ギアはかなり多くなる。下山用に想定して持参したギアが多数にのぼるときもある。難しいルートに挑むときは、なるべくギアを軽くしたいと考えてしまうが、それは間違いで、難しい時ほど想定リスクが増すので必要なギアは増えてしまうはず。荷を軽くするという考えは捨て、必要なギアを十分に持っていけるだけの体力を養うことこそ肝要である。
逆に、計画書をブラッシュアップして、不要なギアを間引くという作業をする。不要なギアを持って行かないということと、荷を軽くするために必要なギアを置いてくるというのは違う。
という具合ですか。その他各国の最新事情を聞くこともできて、まあ参考になる話ばかりで大変貴重な時間でした。
初日の懇親会では馬目さんとしっかり話せ、翌日の食事会ではネパールで近藤さんから表に出せないような話を聞くことができ、大変充実しておりました。うちの会の代表が、人とのつながりも“山力”であると、入会当初おっしゃっておられたが、まったくその通りだと思いますね。
人とのつながりが密になるにつれ、狭いところだけで山をやっていると細い樹木が単に天に向けて育っていっても簡単に倒れてしまうというような想像をします。天高く幹を伸ばすだけでなく、幹を太くして、枝を空いっぱいに広げなくてはいけません。(おわり)