近況566.「フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」展 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録


先だって今年最初の美術展に足を運んできました。オランダの両看板に誘われて、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されている「フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」展です。


フェルメール作品を見るのは、これで17作品目。今回の作品は「水差しを持つ女」で、日本初公開だとか。



私的には本作は、フェルメール作品の中でも上位に入る作品だと思う。極限まで計算しつくされたシンプルさがいいよね。計算が前面に出ている作品は好きじゃないけど、こういう計算ならいい。他と似て非なるものだと思う。対象を最良に見せようと平面せましと暗躍しているのが伺いしれてニヤニヤしてしまいました。



レンブラント作品の「ベローナ」も日本初公開。両看板から1作品ずつ展示されているだけでお客さんが集まるのだから、日本のオランダ絵画人気はすごいですね。レンブラントの明暗すさまじきコントラストは、わたしも好きな日本人の1人ですが、今回のレンブラント作品はそういう方向の作品ではありませんでしたね。眺めていればいるほど、違和感を覚える作品でした。


さて、本展は同時代に活躍した50名弱の作家の作品が一堂に会す、いつの時代でも通用する普遍的な情景から、時代的な背景価値、当時の流行、良い意味で基本に忠実な美術展でした。個人的には写実的に過ぎるオランダ黄金時代の絵画はあまり好きではありませんけどね。描かれている対象(背景)には興味がわくけど、その技法にはっとするものを感じないのです。


そういえば、森アーツセンターギャラリーには初めて足を運んだのですが、こちらもスマートでなんかはっとする部分を感じない空間でした。美術館でなくてギャラリーという名がまさに相応しい箱です。


普段は現代アートの展示が多い施設という認識ですが、やはりこういう美術展には向かなかったのかも。鑑賞しおえた後の52Fからの東京の眺望は楽しめるとしても、動線や照明の按排等々、箱としては物足りません。隣の現代アート展に長蛇の列が発生していたのも、単に入場のさせ方が悪いだけの気がしました。


あ、でもね、今回いい点があったのですよ。それは想像以上に作品に近づけたこと。フェルメール作品って上野動物園のパンダみたいになっていることが多いのだけど、今回は目と鼻の先で鑑賞できたので、そこは良かったですね。美術館は伊達に月日を重ねていないというわけですな。


本展の作品群は下記公式サイトからお楽しみください。

http://www.tbs.co.jp/vermeer2016/works/


(おわり)