山行報告『五色山北ルンゼ~金精山』後編 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

(前編のつづき)





山頂からの眺望を楽しみ(上が奥白根山と五色沼、下が日光連山)、下山開始。下山は金精山経由の周回ルートとしました。



金精山まではなんの苦もなく到達しましたが、



金精山から金精峠方面への下山は、かなり急な斜面の下山を余儀なくされました。積雪期のそれなりの歩行技術を身に付けていないと難しい箇所に感じました。(上画像は下降後に斜面を振り返って)


兎にも角にも無事に下山できました。未踏ルートの初登やったぞー!


3.山行時間

7:45 菅沼駐車場-9:20 F3(25mアイス)-10:45 F7(45mアイス)-11:10 F8(本ルートの核心部)-13:55 五色山頂-14:45 金精山頂-16:20 菅沼駐車場

●菅沼駐車場から五色山頂まで(6時間10分)

●全行程(8時間35分)


4.まとめ

本ルートを抜けるには取り付くタイミングがもっとも重要なファクターとなる。アイスが凍結しつつも、雪がそのアイスを隠す前という短い1~2週間が勝負となる。昨年は、今年のF8までのルート上に4つのアイスしか認識できなかったし、また長さも雪に埋もれて短かった。積雪期縦走とは違い、降雪量は意識することなく、冬の早い段階で取り付いたほうが良いと思われる。年によるだろうが、11月末から12月初旬程度が理想と考えます。


アイスクライミングについては、玄人ががっつりと楽しめるようなエリアはありません。ただし、シーズン初めに県内でアイスができるのは貴重ですので、シーズン初めの慣らしの場としては良いかもしれません。わたしたちは今回F8以外ではザイルを出しませんでしたが、初級者を伴う場合はF325m)F745m)ではザイルを出すべきでしょう。


また初級者が練習する分にはF745m)はナメているので、手前のF325m)で十分と思われます。


玄人向きの箇所と言えば、核心のF8ですが、ここは昨年アイスクライミングで抜けましたが、その際は氷が薄くスクリューを打つことはできませんでした(待っても厚くならない箇所と思われます)。結果、プロテクションを取らずに15m登ったわけなので、本来アイスクライミングで抜けるのは、実力者のみと考えたほうがいいでしょう。


逆に、本ルートを安全に抜けるなら、今年わたしが選択したアイスの左側にある岩稜を抜けるのが良いと思います。ピナクル→カム→カム→信頼できない立ち木→信頼できる立ち木→信頼できる立ち木と支点も豊富です。但しカム装備は必須。用いたカムのサイズはBDキャメロット1とBDキャメロット0.5でした。


本ルートで遊ぶだけならアイスクライミングの技術で足ります。しかし、本ルートを山頂まで抜けるというなら、ドライツーリングの技術やナチュラルプロテクションの技術が不可欠となります。様々なタイミングで岩にアックスをひっかけて登る必要がでてきます。本ルートはアイスのルートではなく、あくまでミックスルートであるとわたしは思います。


さらに、下山に使った金精山から金精峠までのルートが、積雪期の急斜面の下降の練習の最適な場所であるとわたしは感じました。涸沢岳西尾根のもっとも斜度の厳しいところと同じレベルの斜度があります。金精道路が冬期閉鎖になる前に、是非皆さん、このルートを登りと下りを活用して欲しいと思います。


そんなこんなで、本ルートは冬季のシーズン初めの練習に打ってつけのルートであると考えます。アイスクライミングができ、某東南稜より斜度のある岩稜のアイゼン歩行やドライツーリングの練習ができ、さらには金精山への周回ルートを選択すれば、積雪期の急斜面の下降練習もできる。冬のシーズン初めに練習すべきことが多方面に渡って内包されているオススメしがいのあるルートだと思います。


5.GPSデータ他



誤差はありますが完登した際のGPSログ



GPSを頼りに書き起こした概念図


6.命名

未踏のルートなのでルート名をWさんと考えました。多くの人に呼んでもらえるよう素直に「五色山北ルンゼ」ルートと名付けます。是非、多くの山岳会の初冬の練習に使ってもらえれば幸いです。よろしくお願いします。(おわり)