1.前書き
事の発端は、2013年に日光のベテランクライマー両名がアイスクライミングのできる滝を奥白根山行中に発見したところから始まる。わたしもその滝でアイスクライミングできるかどうか確かめに行くチームに混ぜてもらった(その記録はブログ「未踏の滝でアイスクライミング♪(http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11732186571.html
)」参照)。
結果20m以上の滝はあったものの、ほとんどが雪で埋まっており、アイスクライミングするなら、もっと早い時期が望ましいという話で落ち着いた。しかし、初心者がシーズン初めにアイスクライミングの練習に使う分にはもってこいのエリアと分かった。
2014年、わたしは所属山岳会のメンバーと当該エリアへアイスクライミングに入った。その年は練習もそこそこで、このルンゼを山頂まで抜けたらどうなるのだろうかという探求心に素直に従い、山頂を目指してみた。結果、雪が多く撤退を余儀なくされた(その記録はブログ「未踏ルート(アイス)を開拓(http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11965533938.html
)」参照)。
両脇がそり立ったルンゼを雪深いときに入るのは雪崩リスクが高いうえ、そもそもアイス(滝)が雪に埋もれていては面白みも半減する。さらにはラッセルが大変だ。本ルートを狙うなら雪が薄い11月末が望ましいと結論付けて、翌シーズンを待つことにした。
2015年、まさかの暖冬も、12月13日に雪上訓練で同山域に入ると、それなりに雪はあった。おまけに若干の寒波到来。雪は少ないが、氷のもとは多分にある。12月20日、同ルートのアイスは氷結していると判断して、同会所属のWさんと初登を目指して入山してみることにした。
山域エリアは、奥白根山の登山口である菅沼駐車場から五色山頂へルンゼをつめるルートになります。日光のベテランクライマー2名も同ルートを抜けたという話は聞いたことがないようだから、ここを抜ければ初登と思われます。名前のないルートなので、便宜上同ルートを「五色山北ルンゼ」と呼ぶことにします。
2.山行記録(2015年12月20日)
7時45分 菅沼駐車場 登攀開始
登山口からの突き当り大看板を廃小屋のある左へ進み、北へ北へとつめると、目的の五色山北ルンゼが見えてきます。昨年、一昨年なら、雪がぎっしり詰まっていたルンゼ内も今年はしっかりとアイスで繋がっていました。このルートが未踏だったのは、上画像のような景色が奥白根山登山道から外れて20分程度奥に入らないと見えないからです。
ルンゼ下部からかなりアイスで繋がっています。
わりと立っているF1(2m)、これまたわりと立っているF2(3m)を抜け、基本アイスで繋がったルンゼを登っていきます。ずっと繋がっているので、一応滑ったら危ないです(初心者はザイル必要)。我々はプレ黄蓮谷右俣と位置づけ、ノーザイルで登っていきます。
そして初心者に練習に向いているF3(25m)。今年は雪が少ないので、いつもより5m増しで登場です。我々はここもノーザイルでクリアしました。
F3をクリアすると、すぐ上にF4(5m)があり、
そこを抜けてルンゼ伝いに左へ折れて進み
突き当りを右に直角に曲がるとF5(3m)。ここは昨年大雪でアイスどころではないラッセル地獄だった場所です。
さらに突き進んでF6(3m)
そして本ルート一の大物F7(45m)ナメ滝が登場です。落ちれば怖いところですが、わたしたちはノーザイルで行きました。確保するなら50mいっぱい必要です。
そして本ルートの核心F8(15m)です。このF8は昨年支点は取れませんでしたがアイスを登れました。しかし、今年はアイスが下まで繋がっておらず、悪戦苦闘するも、足がないので登ることはわたしの実力では不可能でした(足ぶらになってしまう)。
そこで、周囲をオブザベして、左側の岩稜のまっすぐに伸びたミゾに光明を見出しました。ザイルを出し、すぐにピナクルで支点は取れたあとは、信用できる立木まではかなりの距離があります。しかし、わたしは装備にカムを3つ加えていて、その中のカム2種類を見事にルート上で使うことができました。自分の入るエリアではどんな大きさのカムが使えるかと考えて持ってきて、現場でそれが見事にはまると滅茶苦茶嬉しいですよね。今回はまさにしてやったりでした。
核心を越えた先は岩岩したF9(5m)
因みに、ルンゼをつめているので、滝のないところでも、上画像のような斜度のあるところをつめています。
そして最後の岩岩したF10(12m)
F10を抜けると山頂はもう間近。写真ではゆるく見えますが、40度弱程度ある斜度の岩稜を山頂に向けてつめ、
山頂に出る前に大岩の影で一休み。菅沼方面の眺望が素晴らしい。
そして五色山頂に立ったのでした。未踏ルート初登やりました!(後編につづく)