穂高岳CC@2日目アプローチ編 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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2.2日目アプローチ編

予定通り1時起床。9時間も睡眠でき鋭気みなぎっています。食事をとったあと、前穂北尾根か滝谷か稜線上のガス等の具合を確かめ、予定通り滝谷ドーム中央稜に登ると決め、2時20分に出発しました。




暗闇の中を北穂南稜をいきます。涸沢の逆方向に目をやれば、前穂北尾根を目指して3時出発くらいの隊が登りだしていました。さらに3時30分発、4時発の隊と前穂北尾根には続々とパーティが向かっています。やはり北尾根は人気のようです。5.6のコル幕営組や奧白又経由の隊がどれだけいるかは分かりませんが、日の出前から涸沢側でもこの動き出しだと、前穂北尾根は相当の混雑が予想されます。


一番隊はガレの登りで早々と「ら~くっ」と大声で叫んでいたので、夜中のガレは他パーティの下を歩くのは危険ですね。危険を回避しつつ北尾根を一番乗りするためには、やはり5,6のコルに幕営する、これが一番かもしれません。ガレは前日の午後にでも登っておいてね。




2時間で滝谷の稜線上に出ました。ドームを回り込んで取り付きに向けてアプローチ下降に入ります。丁度明るくなり出してくれ、さらには同ルートを狙う隊は前にも後ろにもまだいないよう。してやったり。シルバーウィークにして岩の墓場「滝谷」一番のりやで!


さて、早速昨年の夏合宿で確認した懸垂下降地点(レリーフがある場所)へ向かいます。うん、なるほど。ここは昨年雨の中、ここが懸垂下降地点だと確認して引き返した場所だったが、ちゃんと下調べしてきた今なら分かる。ここはまったく違う場所だ。わたし判断的には、ここは4ピッチ目へのトラバースポイントだ。支点はあるけど、これは懸垂用ではないはず。


そこで、そこからクライムダウンで下降していくことにする。下降は3級程度のクライムダウンです。細心の注意を払います。




ある程度下りると懸垂下降支点を発見。ここから懸垂下降だろうか。結構下りてきているので、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。取り敢えず、わたしだけザイル1本で懸垂してみることにする。ザイル1本の懸垂で丁度トポ通りな感じの左上する踏み跡に降り立った。


ここで合っているのかもしれない。フォローも下ろして踏み跡を垂壁まで左上トラバースしてみた。うん、支点発見!そして、ルートを見出すと、岩肌にもハーケンを確認。よしルート上に出たぞ。


でも待てよと、ここはわたしが下調べした1ピッチ目とは似てない気がする。デジカメに入れたきた1ピッチ目の写真と見比べる、違う、ならなんだここは・・・ガーンここは2ピッチ目の登り出しそのものじゃないか?!


てなわけで、ここで2ピッチ目から登り出しちゃうという考えもよぎるも、やはり折角だから、1ピッチ目から登りたいやね。よし、取り敢えず、戻ろう。上部のほうから人の声が聞こえてきた。ドーム中央稜狙いの別パーティが追いついてきたようだ。




しかし快晴である。滝谷側からの槍もまた格別だわね。


兎にも角にも、2ピッチ目の支点から懸垂で下降した踏み跡までクライムダウンすることにした。クライムダウンを始めると早々とフォローがちょっと怖いという1ポイントがあったので、ボディビレイで下ろす判断とした。ザイルを出していると、横の岩肌にペツルが打ってあることに気付く。なんだ、それならボディビレイにする必要はないじゃないか。懸垂で下ろそう。


1本のザイルで懸垂システムを作り、まずはわたしが下りる。1ポイントのための懸垂だ、直ぐに立てる場所に下り立つ。おっ、そうだそうだ、せっかく懸垂のシステムを作ったんだから、ザイル一杯下りてしまったほうが時間短縮に繋がるじゃないか。


てなわけで、クライムダウンする時間を短縮するため、ザイル一杯懸垂で下りることにした。するする下りていると、まさにそれは起こった。一瞬の出来事。パッともポッともつかないニュアンスで、わたしは体ごと宙に投げ出されたのである。


一瞬なにが起きたか分からなかったが、ザイルと接点を失った体はバク転の様相で斜面に叩き付けられ転がり始めた。衝撃とともに否応なく気付かされる。懸垂がすっぽ抜けたんだ!やばい、滑落してる!(つづく)