近況536.おもいもよらない夏⑤「必要なのは目標、情熱、そして仲間」 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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2か月ぶりに今年5回目の古賀志山クライミングをした翌々日、転職で栃木を離れた山岳会仲間から連絡入りました。


「里帰りでそちらに戻るので、古賀志山で朝練やりませんか?」


朝練付き合ってくれる仲間がいないことを憂えていたばかりなので願ったり適ったり。早速、仕事前の平日早朝練習をすることになったのですが、久しぶりに会ったその仲間は、非常にやる気を漲らせており、やはり向上したいと取り組んでいる人間は違うなあと、わたしもモチベーションが上がるのでした。


さて、2か月ぶり5回目の古賀志は全然登れなかったと書きましたが、今回6回目は仲間の綺麗なクライミングにひっぱられて、わたしも中々よい登りをすることができました。


ウォームアップなしで、競技会ルートダイレクト(5.10a)を落とし、シェリー(5.10b)を落とし、今年初めて取り付く鼻カンテ(5.10b)も一発RP。順調そのものです。


そこで、昨日1ピンもかけられなかった死亡遊技(5.11a)に取り付いてみることにしました。今日の仲間に死亡遊技の制限の話しをしてみたところ、その仲間は2ピンかけるまでは制限意識しなくていいのではないかという回答。よし、わたしと同じ考えじゃないか。2ピンまで制限がないなら登れる気がする。



仲間も制限気にせず綺麗に登っていました。


その仲間の登りを見て決めました。今年こそは自然壁の最高グレードを5.11aの大台にのけってみせると。ターゲットはこの死亡遊技(5.11a)。羚羊ハング(5.11a)のほうが簡単だという人も多いけど、羚羊はなかなか自分だけでは練習する機会を得にくい。やはりルートが簡単かどうかではなく、取り付きやすさが肝要だろう。その点、死亡遊技なら自分でトップロープを張ることが可能だから、練習頻度を上げるのが簡単だ。年内中の自然壁のグレードの更新やってみせまっせ!


そんなことはさておいて、わたしの今夏の目標は、クライミングのグレード更新ではありません。ましてや中央アルプス全山縦走でもない。わたしの今夏の目標は、遡行グレード4級の沢を抜けるというものであった。これを年始から言っていたのだ。


当初は夏合宿に甲斐駒ヶ岳黄蓮谷右俣(2泊3日)を考えていたが、いくら2泊3日と易しい計画ににしたところで、参加者の実力次第では抜けられない可能性もあるのが4級の沢というものだろう。わたしはどうしても4級の沢を抜けておきたかったので、黄蓮谷は合宿とせず、合宿の翌週末に1泊2日で強い仲間と抜けてしまおうと計画日程を改めた。


しかし蓋を開けてみると、組んでくれる人を見つけることが、とうとう最後までできなかった。それはわたしに山中間がいないということではなく(現に毎週末誰かしらと山に入っています)、レベルの高い山行になると、誘える人間も限られてしまうという壁にぶつかったからでした。


4級の沢はわたしも初挑戦。個人的にはまったく問題なく遡行して戻ってこれると思ってはいるものの、それは主観でしかないから、やはり組む人間にもそれなりの実力を要求せざるを得ない。


そうなると、本当に人を探すのが難しい。うちの山岳会には人が多いし、登れる人間も多いが、同じようなレベルで登っている人たちは、その人自身にも目標というのがあり、1日だって欠かせないほど時間に追われているのだ。そう簡単に人の山行にのっかってくるという状況にはなりにくいのである。おまけにそれが沢という特殊ジャンルで、1泊2日の山行となると、尚誘える人自体が限られる。


そこで所属山岳会外で知り合った山仲間にも声をかけてみた。この線は可能性はあったのだろうが、当初所属山岳会の仲間と行くという前提で捜していたので、後手にまわってしまい、やはり今回は参加者を見出すことができず、進退窮まってしまった。


皆さんは日程を延期して捜せばいいでしょうと思うかもしれませんが、わたしも山屋として自分をレベルアップさせる欲求に逆らえず、1日だって欠かせないほど時間に追われている1人なのです。年内中の休みの計画はもう決まっていて、延期できるような日は文字通りないのです。


しかし、しかししかししかし!目標の4級の沢を抜けるのはどうしても今季中にやっておきたい。そこで日帰りで遡行グレード4級がついている沢を見つけ出したのです。万太郎谷井戸小屋沢である。ネット上には万太郎谷井戸小屋沢右俣の遡行記録は山ほど落ちているが、その左俣版と言っていいでしょう。右俣より左俣は数段難しいが、沢本掲載上も日帰りとなっているし、遡行中に厳しいと判断したら途中右俣に逃げられるという理想的なルートでもある。


このルートなら、募る参加者の実力をそれなり下げてもいいだろう。そして登攀はわたしよりも実力者だけど、沢は2~3回という所属山岳会の仲間が一緒してくれるというので、狙えることになった。やはり、この組み合わせで4級の沢はどうなの?危ないんじゃない?と先輩に指摘を受けはした。でもダメとは言われなかったので、気をつけて行ってきますと返して、いざ4級の沢!と前日の夜まで息巻いていたが、そこはあなた問屋が卸してくれない。沢当日は雨予報となり、出発すらできないのでした。


明日は中止。古賀志山に転戦しよう。(⑥につづく)