近況522.会山行担当は思う。 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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今年は4月に会山行「山スキー」を担当したのですが、6月から新年度ということで、早々と先日曜日に7月期の会山行「沢登り」を担当してきましたのでその報告を・・・っと書き進めたいところですが、まだまとめるのには早すぎるのでその準備段階の話し。


会山行担当は2回目です。前回は求められてもいないのに、“次第”を作りましたが、今回も勝手に“しおり”を作成して挑みました。


自分なりに会山行について考えてるんですが、会山行の目的は、会仲間の実力や考え方を知ることで、その特性を把握することに第一義的目的があると思います。つまりは、会仲間がいざ遭難した場合、救助の足がかりになるような情報を事前に掴んでおくわけです。あいつならこういう場合最短ルートをとって動き出しているはずだ、あいつなら安全な場所でじっとしているはずだ、といった具合に。


当然メンバーの親睦を深めることや、うちの会の場合はジャンルレス(岩、沢、氷等)に登っているので、様々なジャンルで初歩的な行動はできるようにしておいて欲しいといった会方針もあります。


つまるところ、じつはわりと重要な意味を持つ会山行ですが、出席率がけして高いわけじゃありません。もともと各々登りたい山があって山岳会に入ってきているわけですし、目指すところやスケジュールもあります。自分もそうですが、上を目指す山屋にとって休みは1日だって惜しいわけです。だからまんねり化した会山行では数年選手の出席率の低下を防げないし、まさにイケイケの中間管理職的なメンバーには、会山行に出向いてくれといったところで、熱が入らなくても致し方ないとも思ったりするわけです。


そこでわたしは考えるんです。せめてわたしくらいは、会山行は必ず新ルートで計画して、会山行の出席率をあげることに務めてみようと。会山行の目的を明確にし、個々人にはそのレベルに合わせた役割を与えて成長を促す必要があるのではないか。山屋って求められると頑張ってしまう性分があると思うんですよね。そこで、今回はいろいろ小難しく役割をふってみました。


ルートは「那須 苦土川 井戸沢遡行~峠沢下降」に決定。


準備山行した結果、明るく開放的で女子的な沢だったので同ルートをチョイス。沢初心者でも十分遡行可能な上、稜線からの景色は素晴らしい。


○ザイル出しがいらないようなルート(準備山行の時はまったく出さなかった)

○沢下降未経験者に沢下降を経験させられる

○ルート上にリスクが少ない(浮き石が少ない、遭難しにくい等)


準備山行記録:http://ameblo.jp/tama-xx/entry-12033878451.html


様々な好条件が揃っていて、如何にも無理難題を押しつけても問題なさそうな好ルートです。


参加表明は17名。最近では異例の大人数でした。先輩から人数が多いので沢をわけたらどうかと提案を受けるも、思案してるので同じルートで遡行させてくださいと伝え、検討に入る。17名での沢登り。ハーネス装着の沢遡行はアルパインと同じ。17名ではリスクは確かに高い。だからといって沢をわけては会山行の意味がない。個人山行と会山行は似ているようでいて、別物でなくてはならないと思うわたしなのだ。これをどう捌くかがわたしに課せられた使命となった。


うちの代表がよく言っている。思い出や経験を共有することが大切なのだと。


沢をつめた先の稜線に出る直前の百メートル前後は、ガレ場で落石の可能性がある。最後の二俣で班別行動にすることにした(7名:10名)。


ザイルを出す必要がないルートとはいえ、多人数山行だから、いつも以上になにかが起こる可能性は高まっている。当然ザイルは適所で出すべきだ。フィックス等のシステム構築の時間短縮を兼ねて、頼りになるメンバー4名を先発隊として選抜、本隊に先行させることにした。そこで無線機携行山行にもなった(わたしは通信未経験だったのでわたしの良い訓練にもなる)。


アンカーには当会の鉄人を配置して、後ろに誰も通さない鉄壁の布陣をひき、先発4名・本隊13名での山行を計画。先発隊と合流する二俣からは、右俣班10名、左俣班7名の班別行動、山頂でまた合流して17名で峠沢下降とした。


わたしは会山行担当だけれども、山行の前面には出ず、個人的に成長を促したい2名にサブリーダーとして指揮監督をしてもうらようお願いし、経験豊富な仲間には遡行図作成提出(やったことのないようなことを要求)、キャリアの浅い仲間には山行報告書作成提出(どういう観点で山行を見ているのか知れるので楽しみ)といった宿題を課してみた。


参加していただけた会の大先輩方には秘密裏にメンバーの観察指導をさりげなくしてもらうようお願いしておいた。(これがあってこその冒険的企画ができるというものだわ)


とまあ、ややこしい会山行を企画立案してみました。こんな感じのややこしい会山行になってしまったのは、個人的に会山行に求めているものが発露した結果でした。こんな面倒臭い計画を立てるなよと思った仲間もいたに違いないけど、これがわたしという山屋なので、そこもひとつ特性として掴んでおいていただけたらなあと思います。


楽しいだけの山行では満足できないんです。やっぱり新しい経験なり成長がないとね。ああ面倒臭くてすいません・・・。


○個人的には、17名山行を計画し成功させることができた、無線機の勉強ができた、事前計画のおかげで大局からメンバーを落ちついて眺めることができた、といった特典がありました。本当は色々アクシンデントがあるかなあと少しは期待していたんですが、それはあれですよ、うちの会の仲間達ですよ。先輩後輩関係なく、そつなくこなしてなーんの問題もなく終わってしまいましたよ。拍子抜けです。流石と言わざるをえん。


成功した山行ってあっけないんだよね。失敗した山行のほうが成長があって嬉しい。でも会山行担当が失敗を望むのは間違ってるので、今回はこれで大成功。役割を課せられたメンバーも各々なにかを感じてくれていたらいいなあと思う今日この頃です。


兎にも角にも、会山行は無事に終了しました。山行についてはまたおって書きますが、17名での沢登り、どうなることかと心配もありましたが、快晴に恵まれ、笑顔の絶えない山行となり、一安心でした。メンバーの実力と協力とユーモアのおかげです。ありがとうございました。@感謝