直木賞受賞作には当たりが少ない?(@大人図書館Vol.4) | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録



長らく予約待ちしていた作品が続きます。今年4冊目は黒川博行著『破門』。直木賞受賞作ですが、悪党たちがシノギを削る大人気ハードボイルド・シリーズの5作目なので、単体として突き抜けた感はありませんでした。関西弁の掛け合いでリズムよく読ませてくれたものの、キャラクターの個性や魅力を前シリーズまでに委ねてしまっているので、単体として読むと求心力に欠けたかな。(★★★・・)




逆に、次に予約順番が回ってきたピエール・ルメートル著『その女アレックス』は心鷲掴みにされました。久々小説を2日で読んでしまった。2015年このミス海外編1位のみならず、色々受賞していて「史上初の6冠達成!」という偉業をなした作品だそうですが、その冠に見合うほどの技巧や熟練を感じたわけじゃないんだけど、一気読みさせられる構成が憎い。そして読み終えるともう二度と味わえないのがなんとも寂しい。(★★★★☆)




そして、すごーく待たされた宮部みゆき著『ペテロの葬列』が今年6冊目。690頁ある大作ながら、大筋が披露されるまでの7,8割は夢中で読めました。話しの締め方はありきたりで、道中の興奮に見合うほどのものはなかったけれど、それはそれで、楽しいひとときをありがとうと言いたい。宮部先生はいまだに面白い作品を書いているんだね。素晴らしいかぎりですな。(★★★★・)




7冊目は天童荒太著『悼む人(上下)』。これも直木賞受賞作品だけど、5冊目、6冊目と素晴らしい読書時間を過ごしてきたので、落差が激しくて全くのれなかった。どの編もわたしにとっては見知っている物語でしかなかったんだよなあ。天童先生の作品では、『永遠の仔』で声を出して泣いた記憶があるだけに、今回は残念でした。(★★・・・)


そんなこんなで、わたしは昔から直木賞受賞作とはあまり相性がよろしくない。直木賞受賞作『テロリスとパラソル』がきっかけで本格的に読書するようになった人間が何を書いてるんだという話しなんだけど、実際そうなんだからしょうがない。今度、古い直木賞の受賞作でもピックアップして読んでみようかな。(おわり)