山行報告【磐梯山東壁中央ルンゼダイレクト(雪稜・冬季登攀)】 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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1. 前書き

所属山岳会の仲間が磐梯山の面白そうなルートを見つけてくれたので、組ませてもらって挑戦してきました。今回はその仲間のリーダー力養成ということで、わたしは形式上連れて行ってもらう山行気分で挑んでみます。


2. 報告





スタートは猪苗代ミネロスキー場のリフトを利用させてもらったから楽ちん♪




上部リフトが動くまで、ピットを掘って弱層をチェックするリーダー。一週間前に磐梯山周辺は大雪が降ったらしいので、その確認です。熱心で嬉しくなりますな♪




上部リフトを下りると登山開始です。しかし、猪苗代湖方面の景色が素晴らしい~




まずは赤埴山を登り山頂から東壁の偵察です。あまりの好条件にリーダーのテンションも最高潮です。




因みに赤点線を登ります。(ここが東壁中央ルンゼ)




沼の平からも偵察。核心部の取り付き(雪稜の斜度の変わり目)が切れてるなあ。蒲生岳でもそうだったし、下がたぶん岩なんでしょう。いやらしい感じ




そして、いよいよ東壁中央ルンゼ登攀スタートです。しかし、絵になりますなあ。カッコイイ!




急斜面を登っていきます。



我々はノーロープで登りましたが、他パーティ(ガイドさん)はザイル出してました。出だしの斜面は雪の状態にもよりますが、この日はかなり優しかったし、個人的には斜度も緩かったですね。




核心部に近づくにつれ斜度も急になっていきます。個人的にきれている部分の下に入りたくなかったので、岩が露出している部分をクライミングできるか偵察しようと、リーダーに提案してそちらに向かいました。




岩も弱点を突けば登れそうだったのでそのままダイレクトに登ることにしました。岩場の取り付きから下部を見るとこんな具合。雪稜でバランスを崩しても滑落停止する自信はあるけど、岩登っている最中に落ちてこの斜面になだれ込んだら流石に止まらないかも。。




リーダーが先に行きます。ノーロープで行くと判断したみたい。え~落ちられないじゃないか!



後続パーティーは、正規ルート通り登るようです。ガイドさん引率隊はきれている真下に取り付いています。大丈夫なのかしら。。




もう1パーティはさらに左から雪稜の偵察をしています。このパーティは確保点を見出せないなかったのか、ノーザイルで登ってましたね。ガイド隊は登ってこなかったので核心部取り付きで撤退したようです。流石プロです。ナイス判断♪




わたしたちは岩場を攻略して、その上の急な雪稜をさらにつめて稜線にでました。岩場の上部は本当に急でした(人のブログには斜度最大48度とか書いてありました)。個人的にも白馬主稜の核心部なんて目じゃないくらい立ってました。




振り返っても登ってきたルートが見えない斜度。落ちたら登ってきた岩場から宙に放り出されて、その下の斜面を最後の最後まで転げ落ちるでしょうな!ここをノーザイルで行ったのはミスでした。リーダーに対するわたしの誘導力不足です。言うところはもっと早め早めに言うべきだった。@反省




兎にも角にも、最高の条件の中で見事に山頂に到着!




下山は東尾根を利用しました。




自分たちのつけたトレースを眺めると興奮しますな!東壁を岩場を抜けて登った人はいるんだろうか。かってに今回の岩込みのルートを磐梯山東壁中央ルンゼダイレクトルートと名付けました。雪の状態によるでしょうが、この日は楽しいだけのルートって感じでした。季節を変えれば、雪稜入門から上級雪稜まで対応しそうです。オススメです♪


3. 行動経過

9:40最上部のリフト降り場10:00赤埴山頂10:30沼の平11:20東壁取付点13:00磐梯山頂16:00猪苗代ミネロスキー場駐車場


4主要装備

シングル50mアックス、ピッケル、アイゼン、スノーシュー、その他必要なギア類。


5. まとめ

今回も色々と反省の多い山行でしたが、上手くのりきり成長に繋げられたのは良かったと思います。ルートの情報がほとんどない中での雪稜登攀なので、いかに当日のルートを想像して装備を工夫できるか、結局は机上で勝負の大半は決しているわけです。


それとやっぱり雪稜なんで、雪崩のリスクマネジメントですよね。今回は一週前に大雪が降って、そのあと温かい日が続いていたので、弱層は基本なくなってる。問題は全層のリスクのほうかなと思っていましたが、ルートは東向きのルンゼ、この角度で大雪が降るとこうなって、暖まるとこうなって、いろいろ頭の中でこねくりまわして、結果、ほぼ大丈夫と判断。快晴予報なので現地でオブザベして(そのおかげで上部がきれていると確認できた)、実際にルートに取り付いて雪が想像以上にクサクサしてるとか安定してないとかもなく、心中でこりゃベストコンディションだと判断できました。


ただ、核心部の斜度が変わるところは切れていたので、その上が崩落してくる心配(稜線に近いので日照にさらされている)があったので、なるたけ、ルンゼの右右にルートをとり、岩場を抜けて上がれたも良かったと思っています。


反省はザイルを出せなかったこと。ザイルを出さなくても登れるとは言っても、岩の上は落ちれば危ない箇所だったし、なにより、折角雪稜で支点を作れそうな岩の上にルートを取れたのだから、手持ちギアで支店の構築、確保の練習をしても良かったかなあと。そこだけ残念&反省です。


でもまあこんなルートがあったものだと嬉しくなるようなルートでした。最高に楽しかった♪来年もまた行きたいですなあ。そんときは滑りおりたるで!むふふ・・・(おわり)