読書趣味復活にむけて、図書館利用を思い立ったわたしが最初に借りたのは『平成関東大震災-いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった-』(福井晴敏著)でした。なんとなく読みたいと思っていた本だったので~ということなんだけど、どうも読み進めていくと、知っている内容ばかりで困って、それで積読本の山を漁ってみたら、なるほど福井さんの著書『小説・震災後』というのを既に持っていた。わたしが読みたかったのは此方で、借りた作品は既読だったのだ。
おまけに本作、震災後の身には既に知っていることばかりが書いてあり、なんとも新鮮味の欠ける内容でした。積読『小説・震災後』だって、寝かせ続けていれば、古くさい情報ばかりになってしまうかもしれない。作品は普遍的な価値を持っていて欲しいものだが、すべてがそうであるわけないので、この『小説・震災後』は直ぐにでも読んでおいたほうがいいかもしれない。。
1冊目から失敗してしまったが、返却日があるというのは読書において結構意味がある。図書館のルールを守ろうと思えば、習慣が根付いていようといなかろうと読み終えねばならないのだから。そういう意味で、図書館利用は大正解。わたしはちゃんと薄い上記作品を読み終え、返却に行き、その足で作品を借りてくるという連鎖の術中にうまく絡め取られることに成功したのだった。
だいたい図書館というのは素晴らしいところだ。本が無料で読めるなんて天国のようとしか形容しえない。これこそ平和な国のありようであるなあと。わたしは図書館の存在に本当に感銘を受けているのです。税金はこのように使われて欲しいものだ。
わたしのお気に入り貴志裕介先生の著作も、わたしが読書から離れているうちに、3冊出版されているのですが、ここらあたりも買わなくていいんですよね(先生の著作はいまでも全て所有している)、ビックリです。レンタルショップみたいに借りるのに108円かかるわけでもなく、完全無料、本当にありがたい。
まあしかし、お気に入りの作家の著作を買うということで、作家を応援するという姿勢を放棄してしまったわけですが、無い袖は振れないので致し方ないとしてもらうしかあるまい。『極悪鳥になる夢を見る』、『ダーク・ゾーン』、『雀蜂』と、未読だった貴志先生の作品を完読し、これまたお気に入りの和田竜先生の『忍びの国』を読んだ。和田先生の歴史エンタメのバランス感覚は小説ならではのものだ。エンタメしているけれど、映像にすれば陳腐に成らざるを得ない描写も、文字で読むと魅せられてしまう。
この頃になると、もう読書習慣は完全に取り戻していて、小説以外でも山の技術書など、活字をおう時間が増えるようになった(それらの入手先も図書館)。そして図書館の白眉といえば、どんな人気作品であろうと待っていれば“買わずとも必ず読める”ということにつきる。
上記作品群を読んでいる間に、数々の読みたいと思っていた人気作品を予約しておいたのだ。予約は15冊まで可能なので、MAX15冊予約しておいて、あとは順番が来たらメールが届くという寸法だ。なんて楽なんだ!
図書館を利用し始めた当初に予約した『海賊とよばれた男(上下)』(百田尚樹著)も200程度の順番待ちだったけれど、半年も待っていればちゃんと自分の順番が来て読めるのでした。こんなに素晴らしいことはないだろう。
てなわけで、『海賊とよばれた男(上下)』 からは予約しておいた本の順番が回ってくるようになったので、有名作品を読むことが多くなった。まるで撒いた種の芽が出たような感覚ではないか。嬉しいことこの上ない。最後に異色作、麻耶雄嵩の神様探偵シリーズ(『神様ゲーム』『さよなら神様』)を読み終えて年越しを迎えることになった。
昨年は読書量も少なかったので、特別これがベストだ!的な作品には出会ってませんが、最優秀作品を決めるなら、最後の最後に読んだ、麻耶雄嵩先生の『さよなら神様』ということになるだろうね。本作はいままでわたしが読んできたミステリー感に挑戦しているような作品だったし、またその手法は正しいと感じたのだな。こういう事って現実にありえるし、ラストはビックリしました。お見事!
読了した小説(平成26年度)
1.『平成関東大震災-いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった-』 福井晴敏
2.『ダーク・ゾーン』 貴志裕介
3.『雀蜂』貴志裕介
4.『忍びの国』 和田竜
5.『海賊とよばれた男(上下)』 百田尚樹
6.『神様ゲーム』 麻耶雄嵩
7.『さよなら神様』 麻耶雄嵩
最優秀作品
『さよなら神様』 麻耶雄嵩
優秀作品
『神様ゲーム』 麻耶雄嵩
『忍びの国』 和田竜