近況461.赤岩滝厳冬期登攀を目指して | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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会津のマッターホルン登頂を果たした我々は、これが一番困難だったと言っても過言でない、暴風雪の西会津から栃木への帰路についた。しかし、そのまま自宅には戻らず、栃木県内に入ったら日光を目指し、竜頭の滝駐車場にテントを張ったのだった。


というのも、もともと12日八ヶ岳という予定だったから、日帰りで家に戻るわけもなく、翌日は翌日で面白いことをやろうと考え、夏に3度も足を運んだ、奧日光の秘瀑・赤岩滝の厳冬期登攀を企ててみたのでした。


ネット上探しても厳冬期の赤岩滝490mの上、5段目の滝の画像が落ちていないので、そうと知ったらどうなってるのか見てみたいじゃないか!


さらに、氷結具合の偵察も兼ね、場合によってはアイスクライミングもやってやれという考えである。赤岩滝は7140mの滝ですが、その下部490mの内4段目50mはアイスクライミングができる可能性があります。そんなこんなで、本日は先日曜に入山してきた赤岩滝厳冬期登攀の山行報告をお楽しみください。


山行報告【赤岩滝(厳冬期登攀・アイスクライミング)】

1.山行記録

この計画のなにがいけないってね、兎に角アプローチが長いことですよ。滝まで片道11.5㎞あるので、往復だと23㎞の行程を歩かねばならない。しかも、わたしたちは岩とアイスのギア双方を背負ってのそれだというのだからたまらない。一体誰がこんなことを考えたのかと思えば、自分自身なのだから本当に困る。とほほ・・・



夏にはバスで行ける西ノ湖入口バス停を目指して、長いバス道を歩きます。



途中の小田代ヶ原で一休み。夏には一際栄える貴婦人(シラカンバ)も冬には背景に埋没して残念な感じでした。。



弓張峠をショートカットしつつバス停に到着。一休みしてからスノーシューを装着して、ノートレースの林道へ奧へ奧へと入っていきます。ここからはラッセルです。


やっとこさ入渓点に到着した時には、既に想定を凌ぐ4時間も費やしており、もはや滝に辿り着いてもクライミングする時間がないことは明白になっていました。そこで仲間から入渓点にクライミングギアの一切合切をデポしないかという提案が具申されました。が、悩んだ末、却下とします。


あくまでクライミングしに来たのだから、クライミングできる状態で滝にたどり着かなければならない!という考えからです。こうなると自己満足の世界でしかありません。同じような装備で歩いてみてこそ偵察ではないでしょうか!


ましかし、ある程度置いていくことにしました。支流に登れそうな氷瀑を見つけたらアイスクライミングに突入できる状態を維持しつつ、ザイル1本とギア類を間引きます。



入渓点から赤岩滝を目指すには、当然渡渉する必要がありますが、想像していたよりもはるかに雪がモコモコとしていたので、それほど苦労なく渡ることができました。



因みに赤岩滝3回目(トレラン)で渡渉した時の画像が上です。



そして5時間30分かけて辿り着いた赤岩滝4段90mがコレだ!(どーん)




夏の赤岩滝はこんな感じでした。



水量の多い滝ですから全体が凍っているとは思っていませんでしたので、氷結具合は想定していた通りの感じでした。左右両端だけが氷結している感じですね。ただまだまだ薄くてもろそうな感じです。年内に登れるような氷瀑になってくれるかは未知数な感じでしょうか。


夏に登攀したルートは、9割雪がついていましたが、登攀は可能だと判断しました。夏にフォローがエイドしてしまったという最後の一手が厳しい核心部2mの壁(抜け口直下)には、雪がついておらず岩壁が剥きだし。急斜面の雪稜を登り詰めてゆき、足場の悪い状態の中で、その核心部を登れるかどうかが赤岩滝の厳冬期登攀を成功させる肝となるでしょう。魅力的です。取り付いてみたいですね~。



名残惜しいですが、記念撮影して下山の途につきました。



素晴らしい景色の数々。厳冬期の奥日光、素敵です♪


2. 行動経過

6:50竜頭の滝駐車場~7:40小田代ヶ原~8:50西ノ湖バス入口バス停~10:50入渓点~12:20赤岩滝~16:30竜頭の滝駐車場


3.装備

ハーフロープ50m×2、カム適度、ナッツ適度、スクリュー×8、アックス×2、アイゼン、スノーシュー、その他必要なギア類多数。


4. まとめ

前日の蒲生岳が想定の2倍くらいの労力を要したため、この日の山行は十分な休養と早出が出来ず、クライミングはできませんでしたが、偵察はしっかりできたので良かったかなと思います。アプローチはやはり長く、トレースなしで5時間30分弱かかるので、厳冬期登攀を目指すなら、12日で計画しなければならないだろう。まあそこまでする必要があるかどうかは別だが。


この日は帰りの道すがら、弓張峠を歩いていたら地元の方に車でひろってもらうことができ(一般の方は車侵入禁止です)、帰りの3㎞は楽することができました。ありがとうございます。トータル20㎞ギアを背負って歩いたのは初めてでしたが、たいした登り下りもないので歩荷という意味では、たいして疲れはしませんでした。


なにが楽しかったって、やっぱり人がいないルート、なかなか目にすることができない景色を味わえたことですかね。この時期の沢筋がどんな感じになっているのかも経験できたし、良かったと思います。沢筋の岩なんてみんな雪に隠れていて、アイゼンいらずでした。赤岩滝5回目、あると思います!(おわり)


5. 過去関連記事

1回目赤岩滝(偵察)

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11945143565.html

2回目赤岩滝(クライミング)

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11945305788.html