山行報告【明神岳5峰南西尾根~主稜~前穂~奧穂(バリエーションルート)】@2日目後編 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

2日目中編のつづき)

最後に、岳沢小屋周辺の紅葉と、上高地の定番写真をお楽しみください。












6. まとめ

本ルートの難易度は低いと感じました。


①クライミング要素

登りはザイルを出す箇所はなく、わたしたちは3峰を直登しましたが、3峰はまけるので、登りたければ後ろから登れます。直登する場合でも弱点を突けばさして難しくありません。3峰直登をしたとしても2級-程度でした。他に難しい登りはまったく出てきません 


②懸垂下降について

懸垂は、2峰を下降するのに2回、主峰の先のコルに下りるのに1回の計3回必要ですが、50m1本で十分たります。支点はしっかりしたものがあり、2峰の懸垂は23m15m2回。支点を見つけにくいということもありません。


主峰からコルへの懸垂はわたしたちはせずにクライムダウンしましたが、クライムダウンでも難易度2級-程度です。但し、クライミング初心者は懸垂したほうがいいでしょう。ここの懸垂支点も2箇所あり、明瞭です。約25mから懸垂するか、15m程度までクライムダウンしてから懸垂するか選べるようになっていました。


上記に“約”と入れているのは、わたしたちは懸垂しなかったからです。上部の懸垂支点から50m1本で下りられるかは不明です。15mの地点の支点までクライムダウンするのは容易いので、普通はこちらの15m地点の支点を使って懸垂しているのようです。


③ルートファインディング

このルートの問題点をあえて書くなら、明神岳から前穂山頂までのルートファインディングにあると思います。基本主稜線を歩いていれば問題ないのですが、稜線上は片側が切り立っているので、ガスったりして視界不良になれば、稜線上は危険、ルートを稜線の下部に取れば、だだっ広いので、ルートを見失ったりする可能性は少なからずあります。


但し、その難易度も低いように感じます。下りすぎなければ前穂山頂まで一本道ですから。稜線を視界に捉えておきさえすれば、迷うことはないでしょう。悪天候でも読図の基礎があれば通過可能です。


⑤幕営箇所

5峰前の台地、主峰前、主峰直下、コル周辺、前穂下、に幕営可能な箇所があります。


⑥滑落の危険性、浮き石の程度

滑落の危険性は、切り立ったところに近づかないかぎり低いです。一番危ないのは、5峰南西尾根の半ばに出てくる痩せ尾根ですが、トラロ ープが張ってある箇所なので、滑落の危険は低いです。


浮き石も滝谷や松木のように酷いということはなく、基本的に安定していました。浮き石は注意を払って登れさえすれば、特別問題視するようなルートではないです。


⑦人がいない

わたしたちが入った日は、わたしたちの他に登っている人がいませんでした。つまりは怪我をすると数日見つけてもらえない可能性があります(翌日は、下山ルートとして、2パーティー入っていました)。


⑧結論

本ルートは、3級のマルチピッチルートを問題なく登り、懸垂で下りてくることができ、また縦走経験がそれなりにある人なら、問題なく計画を立て完遂することができると判断します。問題は単独行の是非かと思いますが、難易度から判断すれば、単独行で問題ありません。


但し、本ルートの状況からするとオススメできません。⑦で書いたとおり、人が入っていないルートだからです。本ルートはレベルが低いのでまずないと思いますが、仮に怪我をした際には見つけてもらえない可能性が高いです。


わたしはまだ懸垂下降を山奥で1人でやる気がありません。ミスする可能性はないと言い切りたいところではありますが、やはりザイルを扱うルートは何があるか分からないからです。懸垂下降が出てくる以上、単独で入るのは避けたいところです。


但し、バリエーションルート内の懸垂下降で、自分がミスする可能性は0または0に近いと言い切れるレベルに達している人であれば、本ルートに難しいところはほとんどなく、単独行でもおおいに楽しめるルートと思います。参考程度に。(おわり)