山行報告【奧穂高岳・涸沢岳西尾根(冬合宿・北ア厳冬期アルパイン入門)】3日目 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

1.行動予定

3日目(12/31

6:00 起床

8:00 テント撤収出発

10:00 白出沢出会

12:30 新穂高温泉到着


2.山行記録

最終日は帰るだけなので、遅めの起床でテント撤収して帰路につきました。しかし天候によって雪山はこうも違うのかと思わざるを得ません。初日は高速道路が通行止めになるくらいですから、雪はおおいに降ったのですが、温かさから雪がしまり、急斜面といっても歩きやすかった。2日目はガスと吹雪で大変で、3日目となるとトレースが完全になくなるほど降って、その雪質はサラサラのボフボフ。



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そうこれだけサラサラですと、尻滑りで帰ることができるわけです!楽ち~ん♪


1日目と3日目の雪質が逆だったらこうは行きません。サラサラの新雪の中をラッセルで急斜面を登る大変さ、雪のしまった斜面を下山する面倒臭さを考えると、本当に逆で良かったと思い知らされます。



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「シリシェードなんてウェアを傷めるだけだぜ」とは、赤い三連星の一番後ろの本山行のリーダー。うちの会のお洒落番長です。



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白出沢出会まで出たらまた長い林道歩きをして、



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駐車場に到着です。うっしゃー


3.まとめ

同じ日に新穂高温泉から西穂経由で奧穂を目指したパーティーに遭難者が出たそうで、この合宿の日程中は山岳事故が多発しましたね。天候が悪くなるのは事前に分かっていても、計画した以上は登山口まで行くのが山やです。机上で判断をしないというのが力を養う基本なわけです。今回は涸沢西尾根経由で奧穂を目指す合宿でしたが、高速道路の通行止めをうけた時点から、奧穂は無理だろうと頭にあり、行けても涸沢までだなとわたしも考えていました。結果は涸沢までも行けない、取り付き手前での撤退になりましたが、下山の吹雪の強さを考えるとリーダーのナイス判断だったと思います。


因みに、吹雪の2日目、岩稜を下山時に、会の先輩がプチ滑落的なことをしまして、やはり入門コースとはいっても、ワンミスで命取りになるのだなと、痛烈に感じることができました。ロープを出すまでのことはないミスするようなところではないけど、ワンミスしてしまうと命取り、そういうルートが一番危ないそうです。多いに肝に銘じます。


今回は山頂を踏めませんでしたが、冬山は天候次第だから気にしてません。また来ればいいと思ってます。冬山はピークハント欲求が強いと危ないし、自身の能力を過大評価するのもよくない。事故は自分には起きないではなく、自分にも起きえると意識しながら、これからも入山して行きたいと思います。


最後に、同じ29日に新穂高温泉からモデルの花音さんも同じルートで奧穂を目指していたそうで、同じような山行記をブログに書いています。29日はわたしたちと同じように高速通行止めで予定を狂わされ、30日は吹雪で停滞と決め動かず、わたしたちが下山した31日に山頂を目指したそうですが、新雪のラッセルに苦戦し、稜線は風も強いということから撤退を決意、翌1日に下山したそうです。


その他でも調べたかぎり、本年同日同行程で奧穂山頂に到達した人はいないようです。花音さんもそうですが、やはり事故をしないという前提で山に入っているのだから、求められている能力は、天候の見極めや撤退の決断能力なのだと考えます。それと計画立案能力ね。


日本百名山全頂制覇も目指しているわたしですが、奧穂はまたこのルートで厳冬期に入るまで登りたくないですね。12月頭の甲斐駒ヶ岳黒戸尾根に続きピークに行けませんでしたが、まだまだ単に山に入るだけでも勉強になることが多過ぎる自分には、あまりピークを踏めたか否かは関係ありません。初の厳冬期アルパインクライミング、ナイフブリッジ、吹雪での撤退、すべてが楽しく愛おしい時間でありました。


自分が大晦日に山に入っているなんて、いまのいままで考えたこともなかった。本年の大晦日も山にいるのかな、おれ何処まで行くんだろう、楽しみだぜ!(おわり)