近況111.救命入門 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

たまのブログ


宇都宮中央消防署で救命入門コースに参加して指導を受けてきました。この入門コースは、宇都宮消防本部が3時間講習のとっかかりになればとの思いから、この9月から創設したものなのだそうです。内容は基本のDVDを観賞し、その後に実践講習。心臓マッサージと人工呼吸とADRを実際に使う講習を受けました。わたしは過去に受けたことがあるのですが、昔とかなり様変わりしていましたね。それは研究で分かってきた成果が投影されているからだそうです。以下、わたしが気付いた点を紹介します。


心臓蘇生法で一番大事なのは心臓マッサージであること。人工呼吸やADRよりも心臓マッサージが比べものにならないくらい大事です。心臓蘇生法のことをCPRと言うのですが、そのCPRとは「脳への酸素供給維持」のことをさします。つまり救急車が来るまで、なにを第一に意識しなければならないかというと、脳に血を送り続けることです。


よって、救急車が来るまでの平均8分の間は、常に心臓マッサージをしていなくてはなりません。血流はある程度の圧力をかけ続けないと生まれないそうで、心臓マッサージを始めてすぐに血が脳に送り込まれ始めるのではないんだそうです。血流が動き出すにはある程度の時間がかかります。そのやっと生み出した血流が、心臓マッサージを10秒やらないだけで止まってしまうそうです。つまり救急車がくる約8分間で心臓マッサージをやらないでいられる時間は最長時間は10秒未満ということです。


そこで気付いて欲しいのですが、人工呼吸も10秒未満で終わらさないといけないし、ADRも10秒で終わらさないといけない。ADRは機械の指示のもと動けばいいので、機械通りにやっていれば10秒かからないので問題なし。問題は人工呼吸です。人工呼吸は素早く小さく2回やるだけで、その結果や正否にとらわれることなく、10秒未満で心臓マッサージに戻らなければならない。重要なのは人工呼吸でなはく心臓マッサージを続けるということだそうです。心臓マッサージの重要度が圧倒的に高く、他を圧倒していると理解しましょう。


そして人工呼吸は、いまは感染症のリスクを救助者が負う必要はないとの考え方から(肝炎とか危険がいっぱい)、人工呼吸用の道具やマスクでも持っていない限り、やらないように指導しているそうです。できればやって欲しいではなくて、やらないでくださいと言ってました。上にも書いたとおり、人工呼吸の必要度がもの凄く高いわけではありません。兎にも角にも心臓マッサージを救急車が来るまでやり続けてくれればいいとのことでした。人工呼吸用の道具はADRの箱に入っているそうなので、ADRが届けば感染のリスクがなくなりますから、人工呼吸は道具の到着を待って始めればいいでしょう。


という風に、心臓マッサージの重要度がとにかく高いわけですが、昔のわたしが教わったのとはやり方が違っていました。昔は一定のリズムでそれなりの力で胸骨を圧迫すると教わったのですが、最近は、研究の結果でゆっくり過ぎると血流がうまれないことが分かったそうで、いまは兎に角早く強くと教えているそうです。早すぎるデメリットはあまりなく、遅いデメリットは雨霰。強弱も同じだそうです。とにかく心臓マッサージは早く強くと憶えましょう。つまり


早く強い心臓マッサージを30回→10秒未満で人工呼吸を小さく2回→早く強い心臓マッサージを30回→10秒未満で人工呼吸を小さく2回→早く強い...


というわけです。ADRは、始めて触る人でも(それが小学生でも)ちゃんと扱えるような道具になっていましたので、箱を開けて機械の指示に従えば誰でも扱えると思います。気後れしないようにしましょう。ってな感じですか。こういうのは万が一のときの準備なので、実際に必要を迫られないような山行や日常を送りたいものです。(おわり)