#17 キネマ刑事たまの新作レビューはメモ書きで起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!! | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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というわけで、映画ばっかり見ているのに映画のことをまったく書かないおいらのブログを少しくらいは映画色に染めようと始めた企画“キネマ刑事たまの手帳メモ”。これはおいらが自分のために観賞後に書き殴っておいたメモ書きをそのままブログに転載してしまえという乱暴な企画だったのだけど、メリットは結構あって、それは新しく自分でなんら書かなくても素材は山のようにあるという点。・・・だったはずなのに、いまだ転載できたのは18pまで。おいらのメモ書きは既に105pを超えているので、結局この企画もリアルタイムにはほど遠い企画となってしまった。というかコピペすることに飽きたわ。いうわけで、それを補うためにも、ザクザクと皆さんの映画館観賞に役立つようなことも書いてみようと決意し始めた企画が、“キネマ刑事たまの新作レビューはメモ書きで起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!”だ!(どーん!!)


まずアタック・ザ・ブロックから。ある意味感心してしまうぐらいのB級テイスト。これで1000円はこの手の類が好きじゃないと厳しい。るろうに剣心』は、驚くなかれよく出来ている。原作を知らない両親だってみせられる作りだ。ただ龍馬伝の演出や音楽をそのまま流用してしまってるのはどうか。これは大河ドラマじゃないんだから、ちょっと大げさ。『トータル・リコール(2012、プロットは練ってあるけど魂がない。この手のジャンルが好きな人が見ればいいレベル。プロメテウスは、エイリアンLOVEの人間にはたまらない作り。逆にエイリアンLOVEでない人はけして見ないでください。予告やTVCMはまったくとんちんかんなことになっております。騙されないようにしてください。あなたへ』は、主演がなにを喋っているのかもはや聞き取れないので字幕が必要。闇金ウシジマくん、ドラマの延長線上も一部役者がしっかりと動いている。テイク・ディス・ワルツは、かなり厳しい問題作。女性の頭の中(今回の場合監督の頭の中なんだろうが)を赤裸々に物語りにしてしまっているから、理屈や論理や善悪では計り知れない作品となっている。興味深く見たけど、こんな女性ばかりでないことを願う。『籠の中の乙女は、かなり厳しい問題作。ありそうだけど言われてみると確かになったかもしれない。いやあこれは普通の人が見たら絶対つまらないと思う。シチュエーションの提示をしているだけだから、でもはまる人は確実にいると思う。言うことなすことうへ~っと思わされました。トガニ 幼き瞳の告発は、少女や少年らが性的に虐待されていた実話の映画化。主題を虐待されていた子らや大人に持ってくるのでなく、社会や世間というものを置いたが正解。色物ではない良質な作品に仕上がっています。マシンガン・プリーチャーは、トガニが実話物をちゃんと見る人間に行動させるべくある種のプロパガンダ(イイ意味の)として機能するよう巧妙にドラマ化していたの対し、本作はドキュメンタリー出身のマーク・フォスターならではの、押しつけのない事実の提示に止める中途半端さ。それがいいんだけど、マーク・フォスターの仕事選びに感心しているわたしとしては、本作は集大成的な映画にもできたはずなのに、わりと小さく小手先で仕上げている感じがあって拍子抜け。最強のふたりは、やっていることは難しいことではいし、よくある主題で、人生の綺麗なところばかり掬っている映画なんだけど、主演に対する演出がすがすがしい上、脇役の主題との距離感(参加のさせ方)が上手く、脚本の構成がよく練られているから、上手くのせられて楽しめちゃう。今年の最高のビタミン映画だろう。


兎にも角にも、今なにを薦めるか問われたら、おいら桐島、部活やめるってよオススメしますよ。そこに描かれているのは名前のない感情で、それは確かに昔おいらも持っていたものでした。会話シーンの台詞のやり取りにまったく大切なものがのってこない、鬱屈した感じというか、いや鬱屈じゃない、それがあの当時って当たり前だったんだよね。大切なことは会話になんか出てこなかった。映画の登場人物は大事なことを平気で言葉にするけど、リアルに生きるおいららは大切なことは言葉にしてこなかったんだと思う。そこが抜群。映画は台詞でなんでも表現しちゃうかもしれないけど、この脚本の構造は巧みにそれを拒否する。台詞が並べば並ぶほど、その台詞の人物の内面とのギャップが露呈されていき、若者とはなにかということがあぶり出されていく。ここに描かれている感情は誰しもが知っているものではありません。若い頃にこういう感情を抱かずに大人になった人たちも大勢いるでしょう。だからこそ、そういった感情を真摯にすくい取った本作は特別な映画だと思います。脚色構成に妙があり、役者のキャスティングが素晴らしい。ざっと遡ってみたけど、群像劇でこのレベルの邦画って過去10年ぐらいまったくないね。脚本書ける人間がいないことがよく分かりますなあ。兎にも角にも本年の邦画ベスト1確実!!オススメです。(おわり)


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