12p. 山行報告(南アルプス全山縦走達成記録)8日目後編 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

3.山小屋情報

光小屋は、もとの計画ではテン場でのツェルト泊を考えていたけど、ポール代わりのストックをなくしてからというもの、小屋泊の素泊まりに切り替えていたので、ここも素直に素泊まりにすることにした。それによく考えるとここが最後の宿泊地である。お客さんたちにこの8泊目までの成果を披露したいじゃないか。別に自慢したいとかじゃなくて、最後の南アルプスの夜、山の話しで盛り上がりたい。


小屋情報としては、とても快適な小屋だったといえます。ストーブ焚いているわけじゃないのに、干し場に干していた濡れ物はみな翌朝にはしっかり乾いていたし(なんかヒミツがあるのだろうか?南ア一番の乾き方)、兎岳避難小屋から来たと告げれば、携帯トイレ持参したなら預かるよとの優しいお言葉をかけてもらえ、寒いならストーブ焚くよとか言ってくれるし、物も豊富に売っており、水は光小屋から少し離れた水場が枯れていたため、小屋内で無料提供をうけられる状態になっていたし、調理を室内でできる仕様になっていて、小屋の就寝スペースも広かった。トイレもバイオトイレ含め豊富で綺麗。洗面所のようなところもありました。


ここで北岳山荘以来の4日ぶりのワンデイコンタクト交換をした。ワンデイを4日使っていて且つ目薬も持参してなかったというのに、まったく目がゴロゴロするということや違和感を覚えるようなことはありませんでした。やはり空気が綺麗だということは目に優しいということでしょう。さらには山の中では地図を読むくらいしか目を使いませんから、普段の社会生活より目を極端に使ってなかったのかもしれません(下山後に身体の能力で違和感を一番覚えたのは視力です)。小さな文字に焦点を合わせて読むというのができなくて(細かいメニューとか)、3時間くらいは難儀しました。


話し戻りますが、この小屋の情報として特記しておかねばならないことがあります。というのは、この小屋で食事にありつくには条件があるのです。それは①50代未満であること、②茶臼小屋より遠くから登ってきたこと、③4名以上の団体さんではないことの3つです。ようするに若い奴は体力あるんだから飯持ってこいということだし、茶臼小屋なんて距離も離れてないんだから飯背負って来られるだろってことだし、団体さんもやはり自分たちで荷物分担すれば食料持って来られるだろ?ってことみたいです。女将さんの根が体育会系ぽいので、そこらへん把握しておかないと揉めるかもしれません。でもわたしは女将さんと話しててもいい印象しか受けませんでした。


4.その他

最終日には団体さんが宿泊していたので、山の話しでおおいに盛り上がり、サラミや梅干しやお茶などを御馳走になりしました。またサンダルでの縦走には山小屋御主人がえらく感嘆してくれ、変な奴がいるもんだと盛り上がりました。楽しい一時を過ごすことができて、最後の小屋泊が光小屋で本当に良かったなとしみじみと思うのでした。楽しく会話しながらも実はしんみりしていたわたしです。


さてさて、明日が最終日なので、しんみりしながらもムクムクと社会人であるわたしの顔が呼び戻されていきます。これには本当に驚きました。脳みその驚異のシステムです。明日下山したあとの明後日からの仕事はなんであったかなんて、ついさっきまではこれっぽちも思い出さなかったのに、こうやって直前になると思い出してきます。脳みそが事前準備にかってに取りかかってくれるのです。人の対応力ってすごいなと思いましたね。しかしわたしにはまだ、最終日に向けて色々と調整する必要がありました。


まずは明日下山する畑薙第一ダムでの迎えとの合流時間の変更。15時としていましたが、16時に変更することにしました。膝の状態から考えて地図表記通りのタイムで進むことができない可能性があったからです。携帯電話をONにして下界に連絡。時間変更を伝えました。携帯のバッテリーは底をつきかけていたから単3電池2本で1回充電したものの、下界では2本で半分くらい充電できるはずなのに、3000m級の標高では10%くらいしか充電できないという不足の事態に見舞われており、携帯のバッテリーには四苦八苦していました。だから用件だけ伝えて即切りました。それでも単3電池はまだ2本あり。これで充電すれば、最低でも明日の下山には支障はないと考えていました。


そして、いままで書いてこなかった明日に向けての最大にして最後の問題がひとつ残されていました。それというのは、カメラのバッテリーがもう底に到達しているということでした。バッテリー表示が赤く点滅し出してからも、聖岳と小聖岳で2回撮影しており、場合によっては残すところ1枚も撮れないかもしれないという状態にまでバッテリーを失っていたのだ。明日最後の山頂である光岳に行っても、山頂写真を撮れないかもしれない。最後の撮影ができなかったら、仮に全山縦走達成したとしても画竜点睛を欠いてしまうではないか。わたしが撮りたい最後の写真は、携帯電話だと自分では撮れないものだった。携帯で撮るなら誰かに撮ってもらわねばならない。16時におりるために早出しなければならない身とあっては、コンデジでの三脚撮影が絶対条件。いけるのか、最後の1枚???


光小屋には物が豊富に売っており、懐かしいフィルムの使い捨てカメラが売っていたりしたが、2000円との価格表示を見てしまえば、山頂で一度試す前に買うのはためらわれ、一か八かで山頂でコンデジ撮影これしかないと腹を決め、明日の撮影に向けての準備をタオルに施し、そうそう、この日は前半戦駆けている途中に手ぬぐいを紛失しました。首に結んでいたものが途中どこかで落ちたらしい。長期縦走の物の紛失は致命傷にもなりかねないので、注意したいでですね。


閑話休題。兎にも角にも明日が最終日である。天気は悪くならないようなことを小屋の主人が言っていた。本当にそうであって欲しいと願いながら眠りについた。明日の山行は膝痛の回復が鍵である。睡眠は1分でも多い方がいい。寝よ。


次回「山行報告(南アルプス全山縦走達成記録)最終日」に続く